AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

包括した独自性

2024-04-14 01:02:31 | ノンジャンル

前進バンドAVENGERから数えて40年の節目か。

RAGEの『AFTERLIFELINES』。
前作『RESURRECTION DAY』ではツインギターの4人編成と、初期の編成に戻っていたが、去年7月に片割れのギタリストであるシュテファン・ウェーバーが無期限活動休止の状態となった(まァ、簡潔に言えば離脱したって事だろう)ので、再び3人編成へ。

メンバー編成で言えば、オレは個人的に3人編成で続けてくれた方が嬉しい。
卑下するワケではないが、ほぼ同期にあたるジャーマンスラッシュの重鎮DESTRUCTION、SODOMは4人編成へとなってしまった事に一抹の寂しさを感じていた中で、RAGEが前作で4人になったのを知った時に「やっぱりギターもう一つないとこれ以上やれないと感じてるのか・・・」とガッカリしたのを覚えている(苦笑)。

だから、去年SUMMERBREEZE Festでのライヴをチェックした時に、3人になっていたのを見た時は「あれ?」と思った(驚きだったのは、因縁めいた別れ方をしたヴィクター・スモールスキ時代の曲を演奏していた点も挙げられる)。
で、今作の先行MVを見た時に、3人に戻ったんだなと確信が持てた。

現在のラインアップはピーター❝ピーヴィー❞ワグナー(Vo&B)、ヴァシリオス’❝ラッキー❞マニアトプロス(Ds&Vo)、ジーン・ボーマン(G)となっている。

そんな中でリリースされた『AFTERLIFELINES』だが、今作は2枚組。
純粋なバンド演奏のみで展開される一枚目と、オーケストラが加わった2枚目という構成であるが、楽曲が同じというワケではなく、飽くまでもメロディックパワー/スラッシュメタル然としたバンドの核である表現と、その時々に表出されていたシンフォニックメタルというもう一つの表現を、この40年という節目でまとめあげたという考察ができそうだ。

なので、
この2枚は表現された雰囲気としてはそれなりにハッキリと分かれた形をとっているが、全てアルバム構成として繋がっている。
曲目を見ると、一枚目最初が「IN THE BEGINNING」で、二枚目最後が「IN THE END」となっているので、そう考えるのが順当かと。
一枚目のボーナストラック扱いとなっている「HIGHER THAN THE SKY」のライヴトラックに関しても、実はこのアルバムの流れの中に組み込まれていると考えられるんだよね。

ヴィクター在籍時のプログレ/テクニカル強化時代と比べると、現在のRAGEは初期のパワーメタル然としたストレートな曲調が強まるようになったのは、まァ当然かと思う。
ただ、現在在籍しているジーンはヴィクター時代の楽曲もこなせる技巧派であるというのが去年のライヴでも確認できたので、現在のラインアップはバンドの歴史を包括するに足る状態であると言えるだろうね。

それに、正直オレからするとRAGEは決してよくあるパワーメタルという風に聴こえた事は無い。

彼らが出てきた時期は、それこそ世界的にスラッシュメタルが頭角を現し始めた時期であり、同郷ではHELLOWEENがメロディック・パワーメタルを具象化しつつある時期でもあった。
そんなバンド達が周囲に存在し、恐らくそこから刺激を受けつつも、独自のスタイルを磨き上げて行った末の今であると思う。
また、『LINGA MORTIS』でのオーケストラとの共演は、シンフォニックメタルというカテゴリーを先んじて体現させたとも言われ、楽曲のオーケストレイション導入にあたっては、RAGEの中ではあって当然の表現であるのがそこから理解できる。

フックを持たせたフレーズと歌唱、攻撃性と壮大性を組み合わせた音楽形態は、最早RAGEというバンド、延いてはピーヴィーというシンガー/ソングライターでないと有り得ない唯一無二の存在だと言える。

まァ、曲一つ一つに於けるインパクトという点に関しちゃ、個人的にはヴィクター時代が強烈に感じたものだが、それでも今のRAGEが弱体化したかと言われれば、そうでもない。

この数年、RAGEはメンバーが不安定な状態が続いているから、できればこのラインアップが長く続いてほしいモンだね。
今回のアルバムは、前作よりも聴き応えのある力作だと感じたしね。



最新の画像もっと見る