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[佐賀空港]あの中華航空機オーバーランあわや

2007-10-06 | 事故・事件・トラブル
<コメント>
 まずは、写真をご覧ください。
もう、滑走路が終わり、フェンスにぶつかりそうな飛行機の写真です。これはCGでも何でもなく、実際に佐賀空港で撮影されたものです。

この機材は、那覇空港で炎上した同型機の中華航空機で、数日前機体後部に亀裂が見つかり修理を終えて台湾に帰るため離陸したものです。なぜこんな事が起こってしまったのでしょうか?

 この機には、機長と副操縦士しか乗っておらず、重量は軽量。当然離陸距離は短く恐らく滑走路の半分ほどでリフトオフのはずと思われます。が・・・

 離陸時は、まず機長と副操縦士がスラストと呼ばれるアクセルを前方に少し動かし、エンジンが正常か確認します。正常であれば、『TO/GA』と言われる理想的な推力ボタンをオンにし、エンジンが高回転しグングンとスピードが増して行きます。コクピットの2人はまだスラストを握ったままです。スピードを副操縦士が機長に、「80(80ノット)」「v1」とコールします。「V1」コール以降はトラブルが発生してもそのまま離陸して行きます。そのほうが安全だからです。が・・・
いつまで立っても副操縦士から「v1」コールがありません。速度計の故障で「V1」に達せず、コール出来なかったと思うのが普通でしょうが、それならば機長はコールを聞かず最悪を避けるため、離陸に踏み切ったのかも知れません。

 2重3重のバックアップがある航空機ですが、なぜ今回のような事が起こってしまったのか、製造ミスなのか、整備ミスなのか、徹底した調査をお願いしたいものです。


中華航空機 設備壊しオーバーラン離陸 亀裂修理後 佐賀 10月6日10時15分配信 毎日新聞

 胴体底部に亀裂が見つかり、修理のため先月20日から佐賀空港(佐賀市)に駐機していた中華航空機(乗客なし、乗員2人、ボーイング737-800型)の修理が終わり、5日午後2時半ごろに台湾に向け離陸しようとしたところ、滑走路上の「過走帯灯」1基を壊したうえ、滑走路を約60メートルオーバーランして離陸した。さらに同機は離陸直後に計器トラブルが発生し、26分後に佐賀空港に引き返した。
 「過走帯灯」は、アスファルト舗装された滑走路の終点を示す保安装置。過走帯灯の手前で離陸を完了させるのが通常の離陸となる。
 佐賀空港の滑走路は2000メートル。しかし、同機は滑走路先端に進むまで機首を上げず、滑走路を越えた直後にやっと離陸した。過走帯灯は、離陸の際に同機の主脚がぶつかり、壊された。同機が離陸しないまま、さらに数十メートル進んでいれば、隣接する田地に乗り上げていた状態だった。
 機首を上げるタイミングは、燃料の量や旅客人数などで変わるが、同機には機長と副操縦士しか乗っていなかった。佐賀空港事務所などによると、滑走路をいっぱいに使って離陸するような状態ではなかったという。
 中華航空東京支店は、同機が佐賀空港に引き返した理由について「機長と副操縦士の速度計に差が生じたため」とした。しかし、オーバーラン、過走帯灯破損については「報告が来ていないので分からない」と話した。
 航空評論家の青木謙知さんは「(離陸のタイミングの遅れは)重大な事故につながっていた可能性がある。機長らの速度計の表示が違っていたことが、機首を上げるタイミングを狂わせたのではないか」と推測した。


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2 コメント

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体感はあてにならないし... (kojisaka)
2007-10-07 14:15:04
「滑走路は2000mもあるので滑走路の端に着くかなり前にVRを超えているとわかる筈だ。操縦ミスだ」
と思う人が多いかもしれませんが、
操縦士が引き上げ操作を滑走路端まで遅らせたのは、体感と速度計のどちらを信じていいのか、滑走路端まで行っても、わからなかったからじゃないか、と思います。

地上に対する速度が明らかにVRを超えていても(外を見てひと目でわかっても)、もし追い風になっていたら対気速度はVRに達していないかもしれませんし、
また、追い風を考慮しても対気速度もVRを超えている、といえるくらい、地上に対する速度がVRを大幅に超えているように見えても、操縦士は、体感というのはあてにならないことをよく知っているので、体感に従っていいのか、わからなかったと思います。

もし本当に加速が悪くて対気速度がVRに達していないのに早目に引き上げ操作を始めると、かえって滑走距離が延びる(浮上開始が遅くなる)こともあるので、引き上げ操作のタイミングをぎりぎりまで遅らせたんじゃないかと思います。
あの場合、操縦士は、ああするしかなかったと思います。

速度のように重要な情報は、絶対に把握できるようになっていないといけないと思います(体感をあてにしてはならない)。

把握できなかった原因が、
整備が適切なら絶対に狂わない筈なのに狂った整備上の問題なのか、
整備が適切でも狂う可能性があるのにバックアップ等で把握できる設計になっていない設計上の問題なのか
どちらなのか、はっきりさせてほしいです。

この問題が解決するまでは、
そういう事態を想定したマニュアルが必要になって来ますし、
そういう事態を想定した訓練も必要になって来ますね。
(速度が把握できなくてもできるようなことが、現実にあるのかどうかはわかりませんが...)
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解らない事が多いですね (flight2005)
2007-10-07 14:33:23
kojisakaさん、こんにちは。
少なくとも、エンジンはスタビライズだったと思うのが普通でしょうね。離陸を中止していないのですから。
正常にエンジンが回っていたなら、速度計の異常でスピードテープが上がらず、いつまで経ってもVrにならない。

その後、Vrがコールされたのか否かは現在不明ですが、亀裂と関連があるのかしっかり調査発表していただきたいものです。
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