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[墜落続報]墜落機なぜ滑走路を間違えたかが焦点

2006-08-29 | 事故・事件・トラブル
<コメント>
 離陸するために、滑走路があと19メートル必要だった!
 日本人2名を含む乗員乗客49名が死亡、1名が重体となった、コムエアー社の墜落事故で、事故原因が明らかになりつつある。フライトレコーダーの解析発表前ではありますが、報じられている内容を整理してみます。
※空港図の簡単な説明
・黒い実線が滑走路で、長いのが本来使用する22。当該機は横に走る短い滑走路から離陸
・機はターミナルを出て誘導路「A」「A-7」を経由し22から離陸予定だったが、誤って「A」から左に旋回し離陸

[事故当該機]
・デルタ航空関連のコムエアー社、ケンタッキー州のレキシントン空港発ジョージア州アトランタ行きのCRJ100コミューター機
・乗員3名、乗客47名の合計50名が搭乗
[事故要因]
・十分な速度を得られないまま機首上げを行い、失速し墜落
・機首上げから約15秒で墜落し炎上
・離陸不可能なランウェイ26に進入し離陸を実施
・パイロットの睡眠不足説
[仮説:誘導路]
・誘導路が改修されていた事を知らなかった(22への誘導路は「A」を通り「A-7」に変更になっていた)
・昼間のみ使用されるランウェイ26に照明が手違いで点灯されていて、パイロットが勘違い


[経過と結果(あくまで仮説です)]
 乗客乗員50名を乗せたコムエアー社アトランタ行きのCRJ100型機は、管制より許可を得てプッシュバックを開始。燃料もほぼ満タンで機が重い。機首を時方位070へ向けタキシングを要請。当日は薄暗く多少霧がでていたものの飛行に障害なく管制はランウェイ「22」へのタキシングおよび離陸を許可。
機長は当該機7年以上のキャリアを持つベテランで、誘導路「A」を通り左へチルトを切り、ヘディングを滑走路のセンターに合わせ、そのままスロットルを上げてエンジンのチェック。異常無い事を確認し「TO/GA」をエンゲージ。機はコンピューターが出した離陸推力で加速を開始した。
 機長は滑走路改修前のランウェイを熟知していてランウェイ22(通常の滑走路)へはタキシーウェイ「A」を通り左へチルトを切り滑走路に入る事を知っていた。が、改修後は「A」を通り過ぎ「A-7」から22へ入るように変更となっている(ことに気付かなかった?)。
 滑走路に進入した機の前は、照明が灯され(普段は消灯されているが当日は手違いで点灯)ていて、何の疑問も持たずスロットルを前方へ押す。「スタビライズ」の声がかかり、「TO/GA」を入れた。重い機体を前へ押し出す。グングンとスピードがのってきてコパイより「80Kt(エイティー)」・・・「V1」「Vr」と続くはずが、すでに目の前に滑走路はない。機長は滑走路の間違いに気づいたが、滑走路内での停止は不可能と判断。無謀にも飛び上がる可能性を信じ操縦桿を引き機首を上げる。当然通常のピッチで機首は上がらず、さらにピッチを上げなんとか地面から機が離れた。
 離陸速度は正確にわからないが、例えば100Kt(185.2Km/h)と仮定すると1秒間に約51メートル進む。機は約800メートル先に墜落したと報じられているので約15秒後に大惨事となったと思われる。燃料満タンの機体が地面に衝突するとどうなるか・・・当然火災が発生し大爆発を起こした。
 生存者1名は機首の右側に座っていた副操縦士。飛行機が墜落する場面を普通に想像すると、機首を下げ地面に先頭から落ちて行く姿を思われるでしょうが、今回は極端な機首上げにより失速し、機体後部から地面に墜落したため、最前方の副操縦士が生存したものと考えられます。
 上空で失速した場合、機首を下げ速度を上げる事もできますが、当該機の下はすぐ森林が広がり必至に機首上げ操作を継続したものと思います。
 最後に、この空港では先のブログにも記しましたが過去にも誤って短い滑走路に進入した旅客機があり、管制の指示で大事に至らなかった事が解っています。それなのになぜ、何の対策もなされていなかったのか?使用しない時間帯にバリケードなどを滑走路手前に設置するとか、簡単な防御策もあったのではと思います。
 事故を起こしたコムエアー社の親会社であるデルタ航空は破綻し、リストラの最中。当然コムエアーにも影響が出て、パイロットの酷使やプレッシャーは相当なものだったのではと思います。定時運行にも厳しく、考えにくいですが離陸を中止するとリストラの対象になる。と思ってしまったのかも知れない。飛行機を安全に飛ばすとは「心(平安)」「技(技量)」「体(社の体力や整備全般)」どれが欠けても成り立たない事を今回このような形で露わにされたのではと思う。
改めて今回犠牲になられました方々の魂が平安でありますよう祈ります。(T.O)

(時事通信) - 8月29日3時1分更新
 【レキシントン(米ケンタッキー州)28日時事】米デルタ航空の子会社コムエアーの旅客機が27日に当地で墜落した事故で、米運輸安全委員会(NTSB)は28日、機体の飛行記録やボイスレコーダー(音声記録装置)を詳細に分析するなど、本格的な事故原因の調査に乗り出した。
 事故機は日中しか使われない小型機用の滑走路(約1100メートル)に進入し、十分に加速しないまま離陸したため、墜落したとみられる。NTSB当局者は記者会見で、パイロットは離陸前、通常の滑走路(約2100メートル)を使用すると管制官に伝えていたと説明。また、パイロットが睡眠不足だった可能性についても調べると指摘した。パイロットがなぜ滑走路を誤認したのかが原因究明の焦点に浮上している。
 離陸時は早朝で小雨が降っていた。照明が十分ではなかった可能性があるほか、普段はついていない照明が手違いで点灯していたことが誤認の理由との見方も出ている。NTSBは29日早朝、事故当時と同じ条件下で視界などの検証を行う予定。

(時事通信) - 8月29日3時1分更新
 【レキシントン(米ケンタッキー州)28日時事】米デルタ航空の子会社コムエアー社の旅客機墜落事故で、事故機に搭乗していたとみられる光野哲也さん(34)と菜穂子さん(31)夫妻は、夏休みを取り、1週間の予定でカリフォルニア州のヨセミテ国立公園に向かう予定だったことが28日、分かった。光野さんが出向中だった住友建機の北米販売総括会社「LBX」社が明らかにした。 

☆NNNへのリンク(動画)


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2 コメント

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いろいろ出てきますね (flight2005)
2006-08-30 09:29:56
>f_simさん、おはようございます。

日を追う事に、いろいろ出てきますね、考えにくい事故要因が。

改修された誘導路の告知がされず、パイロットは「以前のままの誘導路」を通ってしまった、とか。管制官も「パイロットは改修を知っている」だろう!と、会話を交わしただけ。

事故は複合的なものが重なって起きると言いますが、まさに人とのコミュニケーション不足によって起きた事故と言えるかもしれませんね。
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プロとして恥ずかしくないか・・・ (f_sim)
2006-08-29 18:19:38
 亡くなられた機長には申し訳ないが、事故の全責任は彼にあります。乗客には、死ななければならない理由など全く無かったのに・・・・。さぞ無念だったことでしょう・・・。



 今回、奇跡的に助かったのがコパイさんとのことですから、後日、この事故の真相を全て公表して欲しいものですね。例えそれがパイロットとして恥をさらすような内容だったとしても・・・・。



 しかし、コクピットの二人が、揃いも揃ってこれから離陸しようとするRWYの磁方位すら計器(ND)で確認しないまま、TO/GAスイッチをプッシュするなんて・・・もう、狂気の沙汰としか言いようがないですね。



 それとも、ひょっとしたらFMCなんて面倒なものは一切使わずに、手動操縦で簡単に離陸しようとしていたのでしょうか???



 いずれにしても、あまりにお粗末極まりないことばかりのようで、亡くなった乗客は救われないですね。



 空港関係者を含めて「プロとして恥ずかしくないか・・・」胸に手を当てて、真剣に自問して欲しいものです。
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