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[中華航空機]速度計の異常原因は「虫」だった

2007-10-10 | 事故・事件・トラブル
<コメント>
 佐賀空港で、あきらかに離陸位置を越え飛び立った中華航空機のトラブルですが、原因は『虫』のようです。
中華航空機、アワヤの離陸についてはこちらからご覧ください

 旅客機の速度は『ピトー管』と呼ばれるもので計測しています(写真)。菅の先は前方に向かっていて、先端から入った空気の速度を測ります。中華航空機のピトー管直径は6ミリで、2週間の駐機中に虫が入ったのではないかと思われています。
 通常は駐機中に異物が菅内に入らないようにするため、専用のカバーをつけますが、今回それがなされていたかどうかは不明。また、先端から虫が入ってきたのか、それとも菅内で成長したのかも不明。

 一歩間違えば大惨事となっていたかもしれない、今回の速度トラブル。6ミリにも満たない虫が引き起こしていたとは・・・ハイテク航空機の弱点が露呈した格好となりました。


<関連リンク>
ピトー管(ウィキペディア)

中華機の速度計不具合、虫の混入が原因と判明…佐賀空港 10月10日3時9分配信 読売新聞

 佐賀空港で中華航空機(ボーイング737―800型機)が、速度計の不具合で、滑走路を越えて離陸したトラブルで、同機の機首部分にある気圧を計測する部品に虫が詰まっていたため、速度が正確に検出できない状態だったことが9日、わかった。
 中華航空によると、虫が入っていたのは、大気圧などを測定して、機体の速度、高度を検出する「ピトー管」と呼ばれる金属製の管状の部品(内径約6ミリ)。
 この管には異物混入を防ぐためにカバーをかけるのが一般的といい、同機は佐賀空港に2週間にわたって駐機していたことから、同空港事務所などで機体管理状況などを調べている。
 中華航空は「虫を取り除いたら速度計が直った」としており、12日に改めて台北に向けて出発する予定。


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8 コメント

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ローテクを基盤としたハイテク機 (Staff)
2007-10-10 16:50:46
所詮、と言っては寂しいですが、所詮ハイテク旅客機もジャイロとピトー管があって初めてフライトが成り立つわけで、ゲームセンターのようなコクピットを指してハイテク、ハイテクと喜んでいると「本質」を見失いがちです。

ピトー管の弱点はかねてから「凍結」「カバーのはずし忘れ」などによる速度計の誤反応となって実害として現れてますので、せめてカバーくらいは着けておいて欲しかったと思いますね。危険予知能力です。

それから灯火を壊してお詫びに戻ってきた飛行機ですが、何のために80ノットでコールしているかを考えれば、左右独立したピトー管のチェックをしているわけですから、どちらが正常かを判断する前にNo‐Goの判断をするべきでした。すなわちRTOですね。今回の離陸操作はそれを正当化できる根拠がなく、危険極まりない行為でした。

事故原因が単独というのは稀で、複数要因によって引き起こされるケースが多いのですが、要因のどれもこれもが人間であるところに中華航空の人材の薄さ(スキルという点で)を感じずに入られません。
きっとどこのエアラインも同じ印象を持っておられるのではないでしょうか。

この業界についてだけは「安かろう悪かろう」と認識していますので、Staffは国内・国際線ともに"J"か"A"しか使いません。ただ今日まで意図せずして"A"を使っていますが。。。
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なぜRTOしなかったのか (flight2005)
2007-10-10 18:56:11
Staffさん、今回もズバッとコメントありがとうございます。
書かれているように、ジャイロやピトー管がコンピューター制御の航空機にも重要で、トラブルが起こると正常に飛べない。何とも不思議ですね。

それと長期駐機するのに『カバー』なしとは考えにくいですが、本当なら危機管理不足ですね。台湾ではほっていても虫が進入する事などないのでしょうか?

最後に、よくまあ不安なまま推力を上げ続けたものですね。即RTOでしょうに。

結局、ヒューマンスキルの問題かも知れませんね。
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差があることに気付いたのが遅かったからかも (kojisaka)
2007-10-11 00:04:32
> 何のために80ノットでコールしているかを考えれば、
> 左右独立したピトー管のチェックをしているわけですから、
> どちらが正常かを判断する前にNo‐Goの判断をするべきでした。
> すなわちRTOですね。

> なぜRTOしなかったのか

左右の計器に差があるということ、そのものに気付いたのが、ほとんどV1になってしまってからだったからではないでしょうか?
(もし、もっと前に気付いていたら、怖くて中断していたように思えるのです。以前の福岡空港でのガルーダインドネシア航空機の強引中断、滑走路、はみ出し事故とかみると...)

もしそうだとして、今回、なぜ気付いたのがそんなに遅かったのかは、ボーっとしていたからなのか、V1近くになるまで本当に計器に差が現れなかったからなのか、事故調査報告を見てみないとわかりませんが...

ところで、V1~VRの間に速度が把握できなくなった場合について、航空業界では、一体、以下のどれということになっているのでしょうかね?
(a) 整備が適切なら速度計は絶対に故障しないので、想定していない。
  もし故障したのなら、整備に故意の手抜きがあったに決まっている。
(b) 整備が適切でも速度計が故障することはあるのに、
  正しい速度が把握できる予備の方法を用意していない設計思想が悪い。
  製造メーカが悪い。
(c) V1~VRの間に速度が把握できなくなった場合を想定したマニュアルがあり
  その場合の訓練も行っている。今回のは単なる操縦ミス。

今後のことを考えると、(a)(b)(c)のどれなのかはっきりさせておかないといけないように思えるのですが、製造メーカは(a)と言い張って今後も予備の方法を用意せず、航空会社は(b)「今後何かあったら製造メーカのせいだ」と言い張って放置する、なんてことにならないか心配です。
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技量の問題か (flight2005)
2007-10-11 07:44:34
kojisakaさん、おはようございます。
技量というか安全に対する考え方(個人、企業)の問題のように思えてなりません。
80コールが正常に行われ、V1コールがこない。「おい、どうなってんだ」なんて会話がコクピットであったのでは。
もし、そうなら即RTOでしょう。

当該機の機長は、離陸速度不明のため、滑走路ギリギリまで使い切り飛び立ったような報道がされていますが、どうなんですかね、これって。乗客がいても同じ事をするつもりだったのでしょうかね、この一か八かを!
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事故調査報告が出るまで待ってみませんか? (kojisaka)
2007-10-11 11:30:50
> V1コールがこない。「おい、どうなってんだ」なんて会話がコクピットであったのでは。
> もし、そうなら即RTOでしょう。

???
V1コールがこない。「おい、どうなってんだ」となってしまってからだと、すでにV1を超えていますし、
異変に気付いたのがもう少し前で、速度表示が左右ともぎりぎりV1を超えていなかったとしても、本当に超えていないのかどうか操縦士にはわからない(左右で食い違っていたら両方とも表示が間違っている可能性も考えないといけない)わけですから、
RTOしていいのは地面の動きを見て目測でV1以前だと確信が持てた場合だけです(速度計が信用できないから)。

RTOをした方がよかったのかどうかは、操縦士が異変に気付いたのがどの時点だったのかによると思います。

どうでしょう、事故調査報告が出るまで待ってみませんか?

それで、
 V1よりずっと前だったとなったら、
あるいは、
 V1以降だったけど速度計が食い違っていたのはV1よりずっと前から
 なのに操縦士がボーっとしていて気付くのが遅れたからだ
となったのなら、お2人のおっしゃられる通りです。
(速度表示が左右で食い違い始めたのがV1近くになってからだった、という可能性も残されています)

参考までに...
V1を少しくらい超えていてもRTOすべきだという考えもあります(ある機関が操縦士達にアンケートをとった結果、RTOすると答えた人多数)が、福岡空港でのガルーダの事故のときは、日本のマスコミはRTOした行為を袋叩きにしたんです。
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すべては想像ですからね (flight2005)
2007-10-11 13:48:42
kojisakaさん、こんにちは。

すべては想像や可能性の元に記した根拠のあるものではありませんからね。
今解っている事といえば・・・
・ピトー管にムシが入り速度計に異常
・V1、Vr含めコパイからの指示不明
・機長、出来るだけ速度を高めるため滑走路一杯使い離陸

現段階では、これ以上進みませんね。報告書が出てから見直しましょうね。ありがとうございます。
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事故調査報告は永久に出ずm(_)m & 詳細報道発見 (kojisaka)
2007-10-14 15:40:03
すみません。私、1つ勘違いしていました。

http://d.hatena.ne.jp/caltec/20071005

国土交通省は、今回の事態を、事故とは判断していないそうですので(あの書き方だとおそらくインシデントとも判断していない)、事故調査報告は永久に出て来ません。

それから、もう少し詳細な報道を見つけました。

http://www.saga-s.co.jp/view.php?pageId=1036&blockId=659447&newsMode=article
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/saga/20071006/20071006_003.shtml

(a) 離陸滑走中、速度表示が食い違い始めたのは、108ノット(200km/h)。
(b) 速度計の異常は駐機場を離れた後に気付いたが、滑走前に直ったので出発した。

(a)は、食い違い始めたのは108ノットでも気付いたのはもっと後かもしれませんので、RTOした方がよかったかどうかは、依然わかりませんが、(b)はおかしい。

タクシー中に引き返すべきだったと思います。
そもそも滑走路まで行ったのがおかしいです。

P.S.
今回の件とは関係ないですが、今回のことで、
「離陸滑走中、高速になってから、速度計が信用できないと気付いたときの、マニュアルもなく訓練もしていない、予備の速度計もない」
という状況であることが偶然わかったわけですが、私は、そっちも気になります。このまま放置しておくのかなあ~
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【訂正】滑走路の端まで行ったのは仕方ないが...その後、戻るべき (kojisaka)
2007-10-14 16:04:47
> そもそも滑走路まで行ったのがおかしいです。

一部訂正。

佐賀空港って、誘導路がないから滑走路の端まで行かないと折り返せないので、滑走路の端まで行ったのは仕方ないですね。

しかし、折り返した後、駐機場に戻らずに、離陸したのは、やっぱり、おかしいです。
いくら直っているように見えても、自然に直るわけないわけですから...
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