素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

ナウマンゾウの絶滅原因を探る(11)中本博皓

2020年04月30日 08時41分39秒 | ナウマン象と日本列島

ナウマンゾウの絶滅原因を探る(11)

 

 

 絶滅したナウマンゾウのはなし(第一話)

 絶滅説を考える(その1)

 1) 大型哺乳類の温暖化絶滅説、すなわち気候変動による大型動物の絶滅説には、小生もすごく関心を持っています。以下、国立科学博物館地学研究部の冨田幸光氏が語る示唆に富む一説に注目しながら言及したいと思います。

 冨田氏は、「1つは、最後の氷期が終わると急激にあったかくなりますから、その環境変化が問題だったのではないか、と。しかしながら、もし環境変化だとしたら、大型動物だけが絶滅するのはおかしいじゃないか、とも考えられます。というのは小型の哺乳類、具体的にはネズミとかビーバーとかですが、ああいうちっちゃいやつがどれだけ減ったかっていうと、5%から10%ぐらいなんです。

 一方で、大型哺乳類は70%ぐらい絶滅しているんですよ」(第5回「日本の巨獣はなぜ消えた」『Webナショジオ』・2014/7/18)と説いておられます。大変興味ある話です。

 2) また、米国の古生物学者スティーブン・M・スタンレー(Steven・M・Stanley:1941-)は、「地球の気候変化が生物絶滅の最も重要な原因である」(長谷川善和・清水長訳『生物と大絶滅』、1991)といっています。そして彼は、生物という広い分野での大絶滅を取り上げ、二つの原因を指摘しています。

 一つは、「地質学的には突然である全地球規模での海面の低下が、海生生物の大絶滅の原因として一番重要だと認められてきている」といい、二つ目として、「全地球規模での気候変化が、大絶滅の最も根本的な原因だ」と指摘しています。

 この点では、前述の冨田氏も同じですが、冨田氏は、大型哺乳類が大絶滅あるいは大量絶滅に至った原因をもう一つ挙げています。それは、前にも取り上げたことなのですが、冨田氏は、「もう一つは、人が狩ったせいだ、という説ですね。オーストラリアでは、5万年前にアボリジニの祖先がやってきて4万5000年くらい前にバタバタッと大きな哺乳類がいなくなった。

 だから、やっぱり南北アメリカも人間のせいでしょっていう意識が強いんです。ただ、ネイティヴ・アメリカンの祖先がアジアからアラスカに渡ったのは、3万年ぐらい前のことでした。それは最終氷時代の真っただ中のことなので、南に進めたのは、間氷期に近づいた今から1万2000年ぐらい前のことなんです。

 ゾウ類を追って南へ下ってきたハンター(人類)が少し増えたとしても、1000年後の1万1000年前に絶滅してしまうほど過剰殺戮が行われたかは疑問なんです」、と述べちます。冨田氏が『Webナシヨジオ』で語っていることは、ナウマンゾウの絶滅説を考える上では、とても大切な話だと思えるんです。



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