電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

門徒

2007-03-25 23:24:30 | Weblog
マーケットの話が続いているので、ちょっと休憩話です。
毎回、香港に行くとDVDを買いすぎて、帰りの荷物はDVDでパンパン。今回は押さえ気味にしていたのですが、やはり仕事で使うものやら調子こいて買ってしまい、予算オーバーとなってしまいました。
さて、今回、劇場で観れる映画の中で『門徒』がまだやっているので、さっそく観に行きました。ところで香港の劇場事情ですが、昔からの劇場はもうほとんど残っておらず、ほとんどの劇場はシネコンになってしまいました。昔は早場と四點場に旧作が上映されていて、観ていない作品をよく拾っていましたが、シネコンになると古い作品など上映しなくなったので、それが寂しくもあり、香港で映画を観る楽しみが減った部分かもしれません。
『門徒』が上映されている劇場は、KCRのモンコック(旺角)駅が入っているショッピングセンターの中にあるゴールデンハーベスト・シアターで、2回上映のうちの2時20分の回でした。平日の昼さがりなのでお客は15人ほど。売店でコーラとチェリソー(棒状の揚げ物)を買ったんですが、「これがら揚げるので席まで持っていく」とカウンターの女の子が言いました。ほんとに持ってきてくれるのかなあと思っていたら、予告編観ている時に持ってきてくれたので、昔に比べてちゃんとしてるなあと感心しました。
さて『門徒』ですが、アンディ・ラウとダニエル・ウー主演。監督がデレク・イー・トンシンです。ストーリーはダニエル・ウー扮する警官が潜入捜査官となってドラッグの売人となりながら、麻薬ルートを探って行きます。その香港での製造の大元締めがアンディ・ラウです。アンディの身重の奥さんがアニタ・ユンで、監督自らもダニエルの上司役で登場します。
さて、ダニエル扮するリックはあるきっかけで、隣のアパートに住む一人の女性とその幼い娘と出会います(台所の窓から彼女の部屋が見えている)。彼女は家を出て行った夫の影響でジャンキーになっていて、子供の食事させることもままならないくらい生活苦に陥っていて、生活費をかせぐために身体を売ることをしています。この出会いがその後のリックの心にいろんなことを投げかけ、危ない橋を渡りながら麻薬の元締めのアンディを逮捕するのですが、全てがハッピーエンドに終わらない内容になってます。
途中、麻薬製造所の存在が知れて、リックを潜入捜査官としらない香港警察のCIDたちが彼を捕まえて麻薬製造所を急襲するシーンでは、香港映画特有のグロいシーンがあったりして、おもわず笑ってしまいますが、デレク・イー監督のタッチが全般的に出ていて、かなり面白く観ることができました。また、ルイス・クーが隣のアパートの女の夫役で登場するのですが、これがお客にうけてました。なにせこの役もジャンキーでどうしようもない男でそれを彼は見事に演じていて、さすが“兄貴!”っていっちゃいそうでしたが、リックがこの男にある復讐をするクライマックスも見物です。
ハリウッドでのリメイクも決まっているとのことですが、日本がこの作品を買うかどうかはよっぽど買い付け値段が落ちなければ難しいかもしれません。その理由として香港で大ヒットしたのとハリウッド・リメイクが決まったということが足かせになるように思われるからです。
アンディ・ラウは最近、押さえた感じの演技で好演してますが、この作品でも糖尿病で腎臓を悪くしている大物の麻薬ブローカーで、これがけっこういい味を出しています。
題名の『門徒』の意味も劇中で語られますが、春節は明るい映画がヒットしていた香港映画で、こんな暗い話がヒットすることからも、香港の人たちもだいぶ変わったなあと思ったのでした。