とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

「猪木兄弟の結婚式」その1

2005年12月27日 18時12分56秒 | とんねるずコント研究
「猪木兄弟の結婚式」その1
(『とんねるずのビデオ 2』所収。初演1996年)


<登場人物>
猪木兄・・・石橋貴明
猪木弟・・・木梨憲武

<あらすじ>
アントニオ猪木に双子の弟がいた!山本小鉄とジャガー横田の結婚式に参加する猪木兄弟。はたして結婚式と二次会の運命やいかに・・・!



「猪木兄弟の結婚式」は、「馬場兄弟」とはちがってスピード感が身上の作品である。「馬場兄弟」でも述べた通り、コントの構造はまったく「馬場兄弟」と同じであるが、登場人物が燃える闘魂アントニオ猪木氏であるため、力強さと熱血を前面に出し、「馬場兄弟」との差異を鮮明にしている。また、初演時も再演時(Vol.10)も同じく「馬場兄弟」に引き続いてすぐ演じられた。

このように、「猪木兄弟」はある意味「馬場兄弟」の別バージョン、セルフパロディ的な面をもっていると考えてよいと思う。コントの内容がもつ意味云々というよりも、「馬場兄弟」とまったく対照的なものを演じるという点に「猪木兄弟」の意義がある、とわたしは位置付けている。
したがって本稿では、それ以外にとりこぼしたと思われるいくつかの点について、思いつくままにまとめていこうと思う。まとまりに欠ける内容になるかもしれないが、どうかご容赦願いたい。

まずコントのオープニングをおさえておこう。こちらのMCは、もちろんテレビ朝日「ワールドプロレスリング」実況の雄であった古舘伊知郎氏である。BGMももちろん猪木氏のテーマソング「炎のファイター」。

 「燃える闘魂、アントニオ猪木が入場してまいりました。古代ローマ、パンクラチオンの時代から、人々は強いものへの憧憬を深めました。そして猪木は、混迷の現代に戦いの●(*単語聞き取り不能)をひっさげて、幾多の名勝負を展開してまいりました。卍固め、延髄蹴りで闘いのワンダーランドをきずきあげ、そして現役引退後、新団体UFO(*1)を旗揚げし、世界マット界に新風を巻き起こしております。闘魂の炎は燃え尽きない!おーっと、アントニオ猪木に、双子の弟がいたのか!?」

『ワールドプロレスリング』は、新日本プロレス設立当時から20年以上プロレス中継を行っている番組。阪神タイガースにとってのサンテレビのようなものといえばよいか。筆者も幼い頃はよくこの中継で、タイガー・ジェット・シンの試合などを驚愕しながら見ていた記憶がある。

舞台中央、タカさん扮する猪木兄がポーズを決めて立っている。MCが明け明転すると、上手からすごい勢いでノリさん扮する猪木弟が入ってくる。「やるぞーっ!」「俺もやるぞーっ!」…ふたりともハイテンションである。

ふたりのいでたちは、黒のパンツにやはり編み上げの黒のファイティングブーツ。首から真っ赤なタオルをかけている。馬場兄弟は白い礼服用のネクタイを絞めていたが、猪木兄弟は黒の蝶ネクタイで若さとモダンさを強調している。ちなみに、靴はやはり本物のブーツではない。黒のスニーカー(?)に黒のハイソックスをはき、ハイソックスに白いヒモを縫い付けてブーツのように仕立てている。衣裳さんの工夫が感じられる。

馬場兄弟とは違い、冒頭でしばらくアクティブに組み合うふたり。猪木がアリ戦でやったような寝技を兄が一瞬見せたり、組み手を繰り返したりする。ふたりとも猪木なので、テンションがまったく同じなのが非常におかしい。

ビデオ収録分では、組み手でにらみ合った時、すきをねらって兄が弟にパシン!と張り手をかます。猪木の得意技のひとつである。「さっきの返したぞー!」と叫びつつ、腕を噛まれたジェスチャーをする兄。「絶対来ると思ったんだよ!」と弟。「馬場兄弟」の仕返しをタカさんは「猪木兄弟」で遂げたのだ(笑)。


(*1 UFO=Universal Fighting arts Organization(世界格闘技連盟))




その2へつづくぞー!!





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