とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

S3E1"The Empty Hearse"(空の霊柩車)レビュー4

2014年01月24日 23時45分01秒 | SHERLOCK/シャーロック



第3シリーズのUK版DVDが届きましたです~~~~~!


そんでもって、アメリカから送っていただいたEntertainment Weekly~~~~~!




Oh it's Christmas!!!









せっかくDVDが届いたのだから、本編しっかり見直しながらレビューすりゃいいようなもんですが、なんだかもったいなくってまだ再生できましえーん。


レビュー1
レビュー2
レビュー3



メアリー・モースタンというキャラクターについて、みなさんはどうお感じになったでしょうか。

わたくしの印象は、こちらの記事でもすこしふれました。彼女に関しては、物語の進展とともにますます重要度が増していくので、E2、E3のレビューでもたっぷり論じることになると思います。


とりあえず、彼女の初登場時の感想から順を追って書いていくほうが、いいでしょうね。イヤその前に、第3シリーズ放送前にわたくしがどう思ってたか。


ネタバレは極力回避してたものの、ネット世界にいる以上、断片的な情報が入って来てしまうのはふせぎようがなく。S3に「メアリー」なるキャラが登場するというのは、わりと前から聞いてました。

ホームズ譚において「メアリー」っつったら、ワトソン博士の公式な嫁のメアリー・モースタン以外にいない。てことは、ジョンがS3で結婚する、しかも女性と結婚するのは、もう避けがたいなりゆきなのだろうな~(泣)と思ってた。


メアリー役のアマンダ・アビントンには、一部の心ないファンから脅迫状まで届いたらしい。そんな行為は断じてゆるせません。しかしそれとは別に、ジョンの結婚には、わたしも複雑な思いでした。


昨年秋に、アメリカのファンダム研究者のLori Morimotoさんが来日したとき、大阪で会ってシャーロックの話題で大盛り上がりしたんですけど、「メアリーってどんな役柄だと思う?」の問いに、わたしは思わず「メアリーは登場してすぐ死んじゃうんでしょ。で、ジョンがシャーロックのところにすぐ戻って、またふたりで暮らすんでしょ。そうにちがいない」と、ヒドイ力説をしてた。


でもね、アマンダとマーティンのカップルは、前から大好きだったんですよ。なんという可愛いカップルだと。なんてお似合いなんだと。

だから、いざメアリーが登場したら、こんなにも愛すべきキャラだったのかと驚愕すると同時に、アマンダ&マーティンなんだから当然っちゃー当然だわな、と妙に納得もした。


ジョンがシャーロックを詰問する一連のシークエンスを、メアリーに注目して見てると、アマンダがいかに細かい芝居をしてるか、よくわかります。時にはジョンとおなじ表情をしたり、時にはシャーロックに共感したり。それがいちいちおもしろい。さすがはマーティンを選んだ女性だけあります。



では、シャーロックはメアリーをどう見たのか?


これは、S3の全エピを通じてのひとつの大きなテーマでもあるんで、ここで簡単にまとめてしまうことはできません。


E1のみにかぎって言うなら、やはりポイントは、ジョンの頭突きで鼻血ブーになったシャーロックが、はじめてメアリーとふたりきりで会話するシーンでしょうね。メアリーが"I will talk him around."「わたしがジョンを説得するわ」と言った瞬間に、シャーロックの推理スイッチが突然入る。


これまで「シャーロック」を何百回も観てきたみなさんなら、このスイッチがどういう瞬間に入るか、よくおわかりでしょう。たとえば、S2E1で宮殿からの使者が来た時。事件の依頼人がカンにさわることを言った時。そう、つまり、相手を「敵」とみなした瞬間にスイッチが入るのです。


「わたしがジョンを説得するわ」---この人間は、ジョンに対してそんな力をもっているのか?ただちょっとデートしてただけの相手じゃないのか?コノオンナ、イッタイナニモノナンダ?











画面中にあふれる推理の中に、liar(嘘つき)の一語があったのを、ファンは見逃さない(というか、一時停止して確かめました)。でも、それなのに、シャーロックはそのサインをやりすごしてしまう!


ジョンの危険をしらせるメールがメアリーの携帯に入った時だって、そうです。メアリーがskip codeを知っていたことに、シャーロックは一瞬けげんな顔をするが、それ以上は追求しない。

さらに、そのメールがシャーロックではなくメアリーの携帯に入るというのも、考えてみればおかしい。メールの文面は、あきらかにシャーロックにあてて書かれていましたからね。

それでも、シャーロックはあやしまない。これは、いかにもシャーロックらしからぬ行動です。


まあもちろん、ここであやしんだら話が先に進まないってのもあるけれども、でもやはりここでも、シャーロックとジョンの関係性を下敷きにしながらかんがえるほうが、合理的だという気がするんです。

つまり、メアリーがジョンにとって、過去のガールフレンドたちと全然ちがうレベルの存在なのだということを、シャーロックは一瞬で悟ったのではないでしょうか。


いままでシャーロックが知らなかったジョン。シャーロックが人生のすべてだった頃のジョンは、もういない。メアリーとジョンの関係は、シャーロックでさえも茶化すことのできない種類のもの。メアリーと敵対することは、シャーロックが本当にジョンをうしなってしまうことを意味する・・・


だからこそ、意図的か否かはわからぬが、シャーロックはメアリーへの「疑惑」に覆いをかけてしまった。そのことが、E3の悲劇へとつながってゆくわけです。



次回で(たぶん)ラスト!早くE2を語りたいにゃお~










Sherlock - 'The Empty Hearse'















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2 コメント

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メアリー (まゆみ)
2014-01-26 03:01:42
E3を観てしまった後で、E1とE2のメアリーを語るのは非常に困難なのでここでは控えますが、視聴者としても気付いたものもあれば気付かなかったものもあれど、かなりの数の伏線は用意されていましたよね。

私の解釈では、E1でシャーロックが見過ごしてしまったのは、ジョンに許してもらおうという感情が先行した為、彼本来の判断が鈍ってしまったから。E2では、ジョンにベスト・フレンドと言われ密かに感動してしまったシャーロックが、ベストマンとして最善を果たすべく健闘する過程で、やはり感覚が鈍っていたから、というものです。最終的に、E3のシャーロックの自己犠牲的行動も、メアリー=ジョンの為だった訳ですから。

Empireのモファット&ゲイティスのネタバレ・インタビューがとても面白かったのですが、その中でモファットが「シャーロック・ホームズが感情的になると、いつも恐ろしいことが起きる」と言っていました。
http://www.empireonline.com/features/sherlock-series-3-secrets/p1

私が懸念しているのは、今後主人公二人の人間関係の力学がどのように変化してゆくのだろうということです。原作でメアリーがどうなったかは誰もが知るところですが、このシリーズが原作をふまえながらも、その通りに進んでゆくとは限らないですし。しかし、私の中では、メアリーが加わって3人で事件を解決するとか、シャーロックは221Bでずっと一人で暮らすとか、それが上手く想像できないのです。一体、モファットとゲイティスは、今後の展開としてどんなことを考えているのでしょう。小憎らしいお二人です。
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まゆみさん (ファイアー)
2014-01-28 01:22:28
難しいところをコメントいただいて、ありがとうございます。

>彼本来の判断が鈍ってしまった

そうなんですよね。
メアリーにも"You were slow"とか言われてたし・・・
誰のせいやとおもとんねん!!

>ジョンにベスト・フレンドと言われ密かに感動してしまったシャーロック

もーほんとに、E2のシャーロックのがんばりは、頭をよしよししてあげたくなりました・・・

Empireのポッドキャスト、ざーっと聴きましたが面白いですよね。
「サプライズ・パーティをやるのに前もってやるって言うわけないだろ?」と、
嘘にウソを重ねた説明をしてましたが(笑)
でもおっしゃるとおりなんだよな~
感情云々のところはわかってなかったです。聞き直そう。

>メアリーが加わって3人で事件を解決するとか、シャーロックは221Bでずっと一人で暮らすとか、
それが上手く想像できない

わたしもです。
これについては、E3レビューでふれると思います。
S4にむけてのまゆみさんのお考えも、また聴かせて下さいませ。
モファット&ゲイティスの考えてることは、わたしにはもうさっぱり・・・w
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