とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

ベネディクト・カンバーバッチ

2012年08月27日 20時39分28秒 | SHERLOCK/シャーロック



(ちょっとだけ画像を追加しました 8/29)


まずは、こちらのベネディクト・カンバーグラフをごらんください。





(作成者ソース:http://scientitss.tumblr.com/post/27366959923



横軸はベネディクトを見ている時間、タテ軸はベネディクトを魅力的だと感じる度合いをあらわしております。

曲線の起点、つまりベネディクトを初めて知ったころ(おそらく多くの人が「シャーロック」)は、タテ軸の数値はほぼ0ですね。中にはマイナスの人もいるでしょう。

こんな宇宙人みたいなヘンな顔の役者が、なぜ堂々とドラマの主役などはっているのか。相当な不信感を抱いております。

それでも「シャーロック」はおもしろいですし、映画のほうも『戦火の馬』、『裏切りのサーカス』とたてつづけに秀作に出演しているので、まあいわゆる演技派ってやつなのかなくらいな軽い印象です。


そのうち、シャーロックを演じてる時の髪型がステキだな、とか、細くて長い指がまさにホームズだな、とか、各パーツがアピールしてくるようになります。これは欧米に特有なのですが、高い頬骨がなかなか良いじゃないと感じる方も多いようです。

しかしまだこの段階では「アゴがないし」とか「顔がなげー」などひっかかりは多少あります。


ところが、ある日とつぜん、非常に重大なことに気がつきます。


「なんてすてきな声・・・」


もっと早い段階で気づく人もいますが、遅かれ早かれ通る道であります。

もしかすると、ベネディクトの声にひたっていたいがために自分は「シャーロック」を見続けているんじゃなかろうか、いやそうにちがいない・・・


このへんで、Youtubeにアップされているベネディクトの朗読やラジオドラマに手を出し始める人が、8割以上はいるものと推測されます。グラフの曲線がここから急激に右上がりなのがおわかりいただけるでしょう。




John Keats- Ode to a Nightingale

キーツ「ナイチンゲールに寄す」




こうなりますと、かつて「宇宙人」だったものが、しらないうちに「王子様」に見えてくるのですから、人間というのは恐ろしいものです。

「シャーロック」では髪を濃茶色に染めているベネディクトですが、地毛は赤毛に近い金髪、いわゆるジンジャーヘアというやつです。初めて彼の地毛を見ると、はなはだしく違和感を感じます。地毛なのに。

しかし、すでにベネディクト=カンバーランドの王子様の公式がすべてに適用されていますので、ジンジャーバッチもどんどん愛おしくなってきます。









この段階になると、6割以上の人が彼の過去の出演作品をガンガン観るというデータが出ております。インタビューやら、CMやら、とにかくなんでも観たくなります。名前が同じベネディクトだというだけで、ローマ法王のニュースにさえびくっと反応してしまうほどです。


ベネディクトのインタビューやトークを見て、その高い知性に腰くだけになるのもこの時期。著名なパブリックスクールであるハロー校を出てマンチェスター大学を卒業した秀才です。



↓ 戯曲家テレンス・ラティガンのドキュメンタリー「The Ratigan Enigma」で案内人をつとめたベネディクト。ラティガンも同じハロー校出身。ベネディクトが母校を訪問している。わたしはこの番組でラティガンを知り、興味がわいて読み始めました。

Benedict Cumberbatch -The Rattigan Enigma Part 1 of 4



*YouTubeのリンク先動画は削除されています。

↓ vimeoに全編あがっていました(英語音声・字幕なし)。
彼の声をぼけーと聴いてるだけで、ウットリ・・・
プラス、ジンジャーバッチ&もみあげバッチを一時間堪能できます!!

http://vimeo.com/27118875




わたしなど彼がしゃべる難しい英単語の半分も理解できません。ネイティブの人でさえ「ベネディクトを知ってから辞書を引く回数が増えた」と言います。でもけっして格好つけたりせず、とにかくよくしゃべる(わたしはそこが好き)。


鋭敏な批評家のように語る若い映画俳優というものに、人々ははじめて出会うわけです。


ここまでくれば、あなたも立派なカンバービッチ(=ベネディクトファンはこう自称している)。カンバーグラフの曲線は右上がりにふりきれ、ベネディクトのやることなすことにときめき、寝ても覚めてもバッチ、バッチ。日常生活に支障をきたすほど愛してしまうでしょう。


・・・と、これが、ごく平均的なベネディクトファンがたどる道。上のグラフを最初に見た時は思わず「うまい!」と叫んでしまった(笑)

まあもっとも、わたし自身はわりと冷静に、いわば弟の成長を見守る姉のような気分でベネディクトを応援しているのですがね(ほんまかいな)。


「シャーロック」でハドソン夫人を演じているウーナ・スタッブスがうまいこと言ってます。


「ベネディクトって、ある瞬間には不細工に見えるのに、次の瞬間にはとってもゴージャスなの。不思議よね」


もおーほんっと、そう!まちがってもブラピやジョニデのようなプリティな顔とはいえない。おなじ英国出身のジュード・ロウやユアン・マクレガー、マイケル・ファスビンダーらと並べても、まったく別物、まさに異星人的。なのに、なのに、どうしてこんなに惹かれてしまうの??


やはり何をおいても名前ですよ。

ベネディクト・カンバーバッチ

なんてややこしい名前でしょう。こんなのすぐおぼえられないよ~と思ったけど、意外とすぐおぼえた。しかも、このややこしい名前を口にするのがなんだかとっても楽しい。

名前で遊べるのも魅力。ジンジャーバッチにブロンドバッチにギラムバッチ(ギラムは『裏切りのサーカス』の役名)。なが~い脚はカンバーレッグ、キュートなお尻はカンバーバム(bum)。





カンバーネック!!(ドキドキドキ・・・)





ベネディクト・キューカンバーバッチ





カンバーリップ!・・・もう重症だね




だけどね、やっぱ顔じゃないんですよ。女は(男も)才能に惚れるんですよ。

いわゆるカメレオン役者で、役柄によってガラッと印象が変わる。でも、若い頃のデ・ニーロみたいに劇的にルックスが変化するとかではなく、もっと繊細な・・・

どちらかと言うと、オールドタイプの演技者です。それが逆に新鮮というか。ナチュラルに演じることがうまい演技だというメソッド・アクティング的なこれまでの常識を、くつがえすような役者だと思う。












舞台『フランケンシュタイン』でW主演のジョニー・リー・ミラーと






『フランケンシュタイン』では全裸で体当たり演技を見せているらしい
ぜ、全裸で・・・・・・・・・・・




とても感情的な演技ができる俳優です。感受性がとても豊かなのだろうと思うんだけど、その役柄の痛み苦しみよろこびが、底のほうからふつふつとにじみでて、こちらの心に伝染してくるような、そんなすばらしい芝居をしてくれるんです。現代最高の役者のひとりであることは、誰の目にも明らか。

それでいて、どこか脆いような、無垢な魅力もある・・・





ベネディクト と シャーロック




なにより快感なのは、そんなすぐれた才能が花開く瞬間をいままさにわたしたちが目撃している、その事実なんですね。スター誕生の瞬間をまのあたりにしている。

英国ではすでに輝かしいキャリアをつんでいたけれど、「シャーロック」をきっかけにして世界的にブレイクしたわけですからね。


大スターへの道、その山も谷も、わたしたちはこれから、彼と共に歩んでゆく。


ハリウッドからも続々と大作のオファーが入っているようです。『ホビット』、『スタートレック2』への客演のあと、スティーブ・マックイーン監督最新作でブラピと共演し、その次はメリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツとの共演が決まったらしい。

「遠くへいっちゃわないで」とファンはすこしやきもきしているようですが、もーこうなったら外野の声なんか気にしないで思いきってドンドンやってもらいたいね。


トム・ヒドルストン、トム・ハーディ、ジェームズ・マカヴォイといった若い英国人俳優にくらべ、ベネディクトは遅咲きでした。じっくりと培ってきたものが、まさにこれから実を結ぶとき。


ベネディクトのスケールは、はっきり言ってハリウッドの枠におさまりきらないほど大きい。そんな彼がこの先どこまで伸びてゆくのか、本当にたのしみ!






アメリカ滞在中にパパラッチされた肉体美。
こういうのを“流出”させなきゃいけないのが、いかにもハリウッドなんだよね・・・






ちなみにこのファンキーな海水パンツ、数年前にもあるテレビ番組ではいてました。
どうやらベネディクトの大事な私物らしい(笑)




「ベルグレーヴィアの醜聞」に、 "Brainy is the new sexy" 、つまり、聡明さこそあたらしい時代のセックスアピールだ、というセリフがあります。これ、まるでベネディクトのためのキャッチコピーのよう。


聡明さとは、どうでもいい雑学をやたらに頭につめこんでいることじゃない。自分の頭でしっかりと考え、分析し、判断し、行動できる力のことです。


“不確実”な現代にシャーロック・ホームズが求められていることと、ベネディクト・カンバーバッチが求められていることは、奇妙にシンクロしているように思えます。










さあ何度でも言おう!
ベネディクト・カンバーバッチ♪ ベネディクト・カンバーバッチ♪





24日に英国のトーク番組The Oneに出演したときのベネディクト。
ま・じ・で・ゴージャス!!






「カンバーバッチ首相」
(あながち冗談にもみえない・・・)





追記:



先日「シャーロック」シーズン3の3つのキーワードがついに発表されました!
RAT WEDDING BOW 
です。後日詳述をまて!








最新の画像もっと見る

59 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
笑いました^^ (あると)
2012-08-27 23:05:44
はじめまして!
こちらの記事に笑いこけました( ̄▽ ̄)
この夏からの「SHERLOCK」ファンです。
カンバーバッチさんですが、最近目が慣れました(^_^;)
私はまだ、上のグラフの始めのほうですね。
初めに見た時は「変な顔」って思いましたから。
「彼を主役にするイギリスすげーな!」って思ってたのです(良い意味です)。

「SHERLOCK」の俳優さん、皆さん演技が素晴らしいです!!
イギリスすごい!うらやましいです(T_T)
返信する
まさに! (カオリン)
2012-08-28 02:23:34
そのグラフの通りです(^^;)
ギラムバッチが最近のお気に入りでしたが、
バッチ首相が一押しになりました!!
返信する
みんな同じだ! (ころん)
2012-08-28 21:53:36
今でも「ハンサムじゃないよな…」と思いながら
でもグラフはもうかなり右方向へ
追いかけすぎて最近すごく睡眠不足になってきました
ギラムはとてもセクシーでしたね
返信する
ありがとうございます!! (ki-chi)
2012-08-28 22:27:19
この記事をみて思わず笑ってしまいました。特にグラフ(笑)いやーうまいですね。すいません、取り乱してしまいました。

どうして彼はこんな変な顔なのに脳内で王子様化しているのか、理由がはっきりとわかりました。
確かにすばらしい声の持ち主ですよね。しかし私は全く違うポイントで撃沈しました。それは

「首筋の右側(つまり向かって左側)にホクロがある!!」ことです。
「シャーロック」ではロングコートを着てマフラーをしているシーンが多いですが、結構ブラウスをはだけているシーンもありますよね?顕微鏡覗いてるシーンとか。
あのあたりで発見しました。

あの声+首筋ホクロ=最高です・・・。なんもいえないっす。すいません変態です。
返信する
あるとさん (ファイアー)
2012-08-29 01:54:29
はじめまして!コメントありがとうございます。
笑っていただけましたか。いやーよかった^^
わたしもハマったのはこの春なんですよ。
グラフを一気にかけのぼった感じです(笑)

本当にイギリスのドラマ界は熱いですね!
こういう変な人をちゃんと生かせるって、すばらしいですよね。
返信する
カオリンさん (ファイアー)
2012-08-29 01:57:03
バッチ首相、案外実現しそうな・・・(笑)
この画像はトニー・ブレアの体にベネディクトの頭をくっつけてるらしいです。

あ、ギレムじゃなくてギラムでしたね。
失礼しました!ありがとうございます。
本文も訂正します。
返信する
ころんさん (ファイアー)
2012-08-29 01:59:27
コメントありがとうございます!
睡眠不足、ううむそれはグラフのかなり高い数値をはじきだしてますね^^
ギラムバッチは素敵でしたね~切なかったし(涙)
返信する
ki-chiさん (ファイアー)
2012-08-29 02:05:30
なあんだ、ki-chiさん、ハマってらっしゃるじゃないですか!
「やっぱり映画版の方がお好きなのかな・・」と思ってたんですよ~
(映画版も好きですけど)

>「首筋の右側(つまり向かって左側)にホクロがある!!」

うぎゃあ、まったく同じ所でツボってる!
あのホクロ!たまりませんね!
ホクロ画像をさがしたけど見つからなかったんですよ。
シャーロックの時は紫とか黒のピタピタシャツを着てるから、
余計に白くて長い首が強調されるんですよね。
同じくあの首にヤラレてます・・・(変態です)

ところで『アベンジャーズ』はごらんになりましたか?
わたしはまだ・・・
返信する
Unknown (カオリン)
2012-08-29 15:43:25
バッチ首相は顔だけご本人なんですか?!
てっきり何かのスチールに英国国旗をコラージュしたのかと思いました。
確かによく見ればバッチさんなら指がもう少し長いような・・・
ブレア首相も仕草がエレガントなんですね。
返信する
こんばんは。 (ki-chi)
2012-08-29 20:18:43
まさかファイヤーさんと同じところでツボっていたとは!
安心しました。これで私が変態ではないことが証明されました(笑)
ダウニーホームズももちろん大好きです。ジュードワトソンとの身長差に萌えてしまいます。年上のほうが背が低いというシチュエーションに弱いです。BBC版もそうですよね?
「アベンジャーズ」観ましたよ♪本当に最高に幸せな時間を過ごせました。一見の価値はあります。
追記
ファイヤーさんのおかげで「シャーロック」や「モーリス」
「アナザーカントリー」に出会うことができました。イギリス映画との縁ができたきっかけになりました。感謝してもしきれないくらいです。ありがとうございます。
返信する

コメントを投稿