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***以下の内容はネタバレしています。「シャーロック」第3シリーズ未見の方は十分ご注意下さい***
レビュー1
レビュー2
レビュー3
レビュー4
最後にもう一度、ジョンとシャーロックの再会をふりかえって、長々とつづけてしまった第1話のレビューを、ひとまず終えたいと思います。
第3シリーズ全体に、もしサブタイトルをつけるとするなら、《シャーロックの感情教育》とでもなるでしょうか。自称「ハートをもたない男」シャーロックが、意識/無意識のレベルでハートを育てていく、あるいは発見していく、第3シリーズはその端緒となるシリーズだと言えます。
レストランで、ジョンと2年ぶりに目と目を合わせて会話する瞬間までは、シャーロックは以前のままのシャーロックだった。つまり、傲慢な犯罪捜査オタクの天才。自分が生きていたと知れば、ジョンは大喜びこそすれ、激怒するとは思ってもみなかった。
「突然気づいたけど、どうやら僕は君に謝らないといけないらしいな」というシャーロックのセリフが、まさにそれを物語っています。
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(Provided by Atsuko Tachibana)
シャーロックのこんな表情は、かつて見たことがなかった。「バスカヴィルの犬」でジョンとケンカした時でさえ。
この時から、シャーロックの感情教育は始まった。わたしには、そう見えます。
ジョンに対するシャーロックのスタンスは、基本的には変わることはない。S1でもS2でも、危険に巻き込まれるのはジョンで、シャーロックはすべてを投げうってジョンを救ってきた。その究極が「ライヘンバッハ・フォール」だったわけで。
His Last Vowでマグヌーセンが皮肉にも的確に言い当てたように、ジョンはいつだってシャーロックにとっての"Damsel in distress"です(モリアーティといいアイリーンといい、悪役のほうが全部お見通しなのよね~)。
E1でジョンがBon fireで火あぶりの刑にされかけるのを、シャーロックが救出にむかうシーンには、胸が熱くなりました。すでに炎がめらめら燃え上がっている中へ、ためらいもせず突進していくシャーロック・・・
ジョンのためならたとえ火の中水の中、を文字通りやってのけた、すごいシーンだったと思う。炎の前で一瞬ひるんだりとか、そういうことを一切しなかったのがね・・・なんか、すごかった(いい演出でした)。
しかし、2年間のウソをそんなことくらいでジョンが許すわけはなく。翌日221Bを訪れたジョンの態度は、前よりはずっとやわらかくなってはいたけれど、やっぱりまだ何かがひっかかっている。
シャーロックの方も「ゆうべ命を助けてやったんだから、これでおあいこだろう」などとは、言わない。むしろこの時点でもまだシャーロックがジョンに謝っているのが、意外というか、新鮮というか・・・
このあと、テロリストが地下鉄による爆破を計画していることに気づいたふたりは、ウエストミンスター駅に向かう。それにしても、ビッグベンがドッカーンと爆発するショット、最高でしたな~!アナログな特殊効果が多い「シャーロック」にはめずらしく、デジタルなVFXだなと思いました。ゲイティス師匠もあのショットは良かったとどこかで話してました。
モラン卿が地下鉄車両にしかけた爆弾を、解除しようとするジョンとシャーロック。ところが、突然カウンターが作動しはじめる。タイムリミットはあと2分半!!
・・・あのね、こういう爆弾ネタって、使い古されてボロンチョになったクリシェですよね。だけど、それをあえてクライマックスに持ってくるところが、逆にキャンプ趣味を感じて、なんかおもしろいんですよね。
だいたい、2分しかないのにしゃべりすぎだっつーの(笑)映画内時間を意図的に拡張していると思われますが、ちっとも不自然じゃないのがおもしろい。
というのも、ここまでお膳立てが整わなければ、シャーロックが本気の土下座をすることができないからなんですね。
この時シャーロックは、ジョンの前に膝をつき、手を合わせてほとんど拝むようにして、ジョンの許しを乞うている。土下座に慣れたわれわれ日本人には、たいしたことには見えないけれども、欧米人がこういう謝罪をやるのは、かなりものすごいことなのではないでしょうか。あと2分で吹っ飛ばされちゃうんだから(とジョンは思ってるから)もうなんだってできるわけです。
人の威厳というのは、まさにこういうギリギリの瞬間に何をするかで、決まるんでしょう。この時、ジョン・ワトソンが何をしたか---彼は、シャーロックを「許す」と、口に出して言うのです。ジョンは、許すのです。
実際には、とっくの昔にジョンはシャーロックを許してたけれども、それを言葉にすることのほうが、ジョンにとっては難しかったのでしょう。
放送当初、けっこう多くのファンが「ジョンをひっかけるなんてヒドイ」と、ちょっとひいてました。まあ、たしかに、ヒドイけども(笑)それでも許し合えるほどの絆の強さだと解釈するほうが、楽しい気がします。それに、シャーロックの言う通り、はじめからジョンをひっかけるつもりじゃなかったですからね。たまたま爆弾のオフスイッチが見つかったから、これは使えると・・・
・・・ていうかね。スイッチておい!!!!!!(笑)
観てて、マジにずっこけましたよ。吉本新喜劇なみに。
クリシェ中のクリシェである爆弾解除ネタを、こんなにアホらしく、こんなに楽しく処理したドラマ/映画は、初めて見ました。いやーあっぱれ。こういうシーンに、ゲイティス師匠のコメディアンとしての良さが、出るんですねえ。
ラストは、昔の仲間が221Bに集まっての大団円。でも、もっともプライベートな空間は、やっぱり、玄関ドアを出る前の、あのせまくほの暗い空間です。他に誰もいないあの場所で、ふたりはようやく昔通りのふたりに戻るのです・・・
おしまい!E2へつづく(次はもっと短くします、とベネディクト的言い訳をしてみる)。
sherlock | short version, not dead.
SHERLOCK Recap: Puppet Edition
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Sherlockが(裏覚えのままですが)"I am sorry. You are supposed to say that"って言いますよね。私はこのSupposed toがずっと頭に焼き付いています。そうです。学習したんです「そういわなきゃいけないよ」って。ところがジョンがなかなか教科書通りに「許す」っ言葉を使っては許してくれないんですよね。
書く場所が違いますが、このシリーズのもう一つのポイントはジョンとシャーロックの関係がプラトニックであるということだと思いました。ここで3のことを書くのは憚られるのですが、最後は握手です。それを見た瞬間にこれは強いメッセージだなと思いました。
横レスになりますが、レビュー4へのまゆみさんのコメント。私もこれから先話がどうなるのか、さっぱり想像ができずちょっと不安。視聴者も登場人物もOut of Element状態に置き続け、ビックリさせ続けるのでしょうか、それとも今回の新しいパラダイムでしばらく続けるのでしょうか?
S4に関しては、何の予想もせず、何の妄想も抱かずに観るつもりです。一旦、想像(もしくは妄想)の世界に入ってしまうと、自分で勝手に創り上げた世界とのギャップが必ず出てきます。そうなれば、せっかくモファットとゲイティスが準備してくれるサプライズ・パーティが台無しになってしまいますものね。
それから、このThe New Yorker の記事が面白かったのでリンクを貼っておきますね。個人的には、ああ、遂にThe New Yorkerに取り上げられたんだなあ、と感慨深いものがあります。知的層が読者を占める、あのThe New Yorkerですから。
http://www.newyorker.com/arts/critics/television/2014/01/27/140127crte_television_nussbaum?currentPage=all?mbid=social_retweet
BCが、自分のファンダムを知的と表現してるのを何処かで聞きましたが、確かに皆さんのようなファンがSHERLOCKに益々付加価値を付け足してより完成度の高い作品へと創り上げていかれてるそんな気がします。
英語力が皆無のわたしが、J様のご助言により、かろうじて視聴出来たS3でしたが、まだまだ、人生をかけて「見直し」作業に取り組まねば皆さんに追いつけません、というより人生をかけて何度も楽しませて頂きますわ。
S3は全3話が複雑にからみあっているから、
他のエピのことでもどんどん書いちゃって下さいね!
一応わたしは、エピを順に見ていった自分の心理の変化もあわせて記録しておこうと思い、
一話ごとのレビューにしました。
仰るようにE3は、E2とは違いバディ感が前に出たというか、
どちらかというとmasculinityを全面に出してた感じがしましたね。
個人的には、プラトニックか否かという点ではいろいろいろいろと思うところがあるのですが(笑)
そのへんはまたあとあと書いてみようと思ってます^^
そしてお互い噴き出して終わるのですから、シャーロックis back!を印象づけるエピでしたね。
>S4に関しては、何の予想もせず、何の妄想も抱かずに
まゆみさん、最高のお客さんです!
「シャーロック」だとなぜかついついあれこれ妄想しちゃって・・・
その内それを吐露してしまうと思うので、その辺はとばして読んでくださいませ^^;
ニューヨーカーの記事のリンク、ありがとうございます!
何度読んでもすばらしい記事ですね。掲載のイラストもステキ。
さすがという感じですね。
シャーロックを通して、わたしもファンダムの存在や、ファンダム研究という分野を知る事ができました。
自分のような傾向をもったミーハーファンは、世界中にいたんだなあという、
うれしい発見をさせてくれたのがシャーロックです^^