とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

シャーロックS3最終話 今夜英国で放映

2014年01月12日 20時58分43秒 | SHERLOCK/シャーロック



「あと一週間で、シャーロックファンダムは休止期間(hiatus)に入る。しかし、つい1週間前にもシャーロックファンダムは休止期間中であった」


「3週間の至福。そのあと、3年間の地獄」



・・・シリーズ3に関するシャーロックファン語録です。的確すぎ・・・


英国では、3週間の至福が、今夜終わります。

英国時間の今夜8時半から、「シャーロック」第3シリーズ最終話 His Last Vow(最後の誓い)が放送されます。あと・・・9時間ほど。


新シリーズがいままさに「絶賛放映中」!!と、いうことが信じがたいような、シュールな気分でお正月以降をすごしてきました。はっきりいって、一日の3分の2くらいは「シャーロック」のことを考えてて、ほかのことがまったく手につきません。最終話が終わったら、ようやく年明け、という気さえします。


が、それもまもなくおしまい・・・


「まだ心の準備ができてません!あと1年くらいは待てますから、お願い、まだ放送しないでBBCさん!」


・・・こう叫んだファンの気持ちもよくわかる。早く観たい、でもまだ観たくない。始まったら、3週後には終わってしまう。ああシャーロックファンダムの複雑な乙女心・・・








最終話の放送を間近にひかえて、いまふたたびこの気分におそわれているファン、多し・・・





***以下の内容にはネタバレが含まれます。シリーズ3未見の方でネタバレを避けたい方は、読まないようご注意下さい。***
















さて、第1話と2話を観た感想から、第3話にむけたどんな予測ができるでしょうか。

いつもは、ドラマや映画の“予測”なんてぜんぜん立てないんですが、「シャーロック」の場合、作り手が余裕でこちらの予想を大きく裏切ってくれるので、ちょっとそれに挑戦したいという気になっちゃう。


ここまでのシリーズ3、まず、とにかく笑えます。特に第2話 The Sign of Three は完全にコメディ回。「シャーロック・アクチュアリー」と呼んだ慧眼なレビューもあるくらいに、ミステリーの要素はうすく、明るいラブコメとして作られています。


まあ、よーく見れば、じつは単なるどんちゃん騒ぎラブコメではなく、底流に非常にふかーい心理的テーマが隠されてはいるのですけれどね。これについては、いずれじっくり書ける機会もあろうかと思います。


ここまでの明るさが、逆にコワイですね。モファットxゲイティスのことだから・・・ファンをさんざん笑わせ、楽しい気分にさせておいて(とはいえ第2話は決してハッピーエンドじゃないんだけど)、最終話で絶望のどん底にたたきおとす・・・というパターンではないでしょうか。


かなり疑心暗鬼(笑)







悪の集団(笑 ウソ)






第2話でメアリー・モースタンと結婚したジョン。彼とシャーロックの関係性が、結婚によって変わるのかどうか。原作のように、ジョンは結婚してもかわらずシャーロックと犯罪捜査をつづけるのか、それともそうは問屋が卸さないのか?ハドソン夫人がさんざん予言したように、「結婚は人を変えてしまう」のか。


これは21世紀のシャーロック・ホームズですから、当然、結婚によってジョンは変わるでしょう。それによってシャーロックとのあつれきもうまれるかもしれない。


それを考えるためには、やはりメアリーの存在が非常に重要になります。多くのファンが予想するように、メアリーは死ぬのか(*)。でも、第2話の終わり方を見るかぎり、その可能性は消えたと言えるのではなかろうか。


メアリーは、期待以上にすばらしいキャラクターでした。シャーロックとジョンのあいだに入ってここまで憎めない女性キャラを演じるのは、じつに難しいと思うけれども、アマンダ・アビントンはそれを完璧に演じた。彼女以外のメアリーは、まったく考えられない!いい役者さんです(もちろん彼女が実生活でマーティンのパートナーだということは、大きい)


こうなってしまっては、彼女が実は悪女だったとか、惨殺されるとか、メアリーに不利な展開はやや考えづらい。よしんば彼女が悪に加担する人物だったとしても(彼女に秘密があることは、1話と2話を通じて何度か視聴者に知らされる)、それは彼女の望んだことではなく、彼女も被害者でなくてはならないと思う。


それに、メアリーがもし死ぬとしたら、それはあまりにジョンにとって残酷すぎる。ほんの2年前に親友をなくし、苦しみ抜いた果てに、いまはシャーロックも戻って、結婚もして、やったねランラン♪なジョンではありますが、さらなる精神的ストレスに彼が耐えられるかどうか。たとえ“鋼鉄の神経”をもったジョンでも、それはちょっと酷すぎるのでは。


メアリーはじつはマイクロフトの部下ではないか、という、ファンによる仮説もあります。これは、かなり興味深い説だと思いますがどうでしょう?苦しむジョンを守るために、マイクロフトがメアリーを近づかせたと。それだと、“gurdian/ liar”というシャーロックの推理がばっちりあてはまるし、彼女が“skip code”を知っていたことも説明がつく。


ただ、もし彼女がエージェントかなにかだとすれば、シャーロックは必ず気づくはずなんだよね。そこで、わたしの推理は・・・メアリーはジェイソン・ボーンのように記憶を書き換えられた元エージェントで、いまはメアリー・モースタンとして生きているが、じつはまったくの別人である。彼女自身に記憶がないから、シャーロックにも推理のしようがないのである・・・!


・・・そんなわけないか・・・書いてて自分で恥ずかしくなっちゃったよ・・・



さらに気になるのは、His Last Vowの意味とは?Hisとは誰のことなのか。なんのVow(誓い)なのか。


しかも、このフレーズはすでに第2話のラストで使われたのですよね。シャーロックが「人生最初で最後の宣誓」として、ジョンとメアリーへの永遠の友情を公衆の面前で誓う・・・それが、そのまま最終話にかかわってくるのか。それとも、いつものモファティスによるダジャレなのか!?



ともかく、最終話は、かなり暗いトーンになるのではないでしょうか。以前よりも“人間らしく”なって、ジョンの大切さ、ジョンへの深い想いに気づいたシャーロック・・・ジョンをうしなうことの本当の苦しみを知りかけているシャーロックが、どんな行動に出るのか。


一部のファンは、シャーロックの成熟ぶりが、このドラマを今後とんでもなく革命的な方向へ進めていくための、伏線になっているのではないか、と分析しています。

この分析には同感できるところが多くあって、もしそれがドラマのなかで実現するなら、もうほんとに筆舌につくしがたい、ドラマ史上に残る、もんのすごい事件になるであろうと・・・

・・・気をもたせるようなことばっか言ってますね。失礼。何とかなにかのかたちでご紹介し、わたし自身の考えも披瀝してみなさんと議論できるよう、かんがえてみます。





またしばらくのあいだ、さよなら、シャーロック。さよなら、ジョン。
早く再会したいね。

日本のファンには、まだもうすこし、シャーロックを待つぜいたくが許されている・・・と、ポジティブにとらえましょう。

でも、一日も早く日本での放映を(できることなら、地上波で)。






*ドイルの原作小説では、メアリーの存在はいつのまにか物語からフェードアウトするという、ある意味すごい展開になっている。ホームズが生還する「空き家の事件」で、ワトソンがメアリーと「悲しい別れ」をしたとだけ書かれていて、死別だと考えられているが、確証はない。

とにかく、ぼんやりしたなんらかの理由で、ワトソンはすでにメアリーと別れており、ホームズが帰還するやいなや、ワトソンは喜び勇んで221Bに戻り、ふたたびホームズと同居しはじめる。


「これは、ホウムズが生きて還ってきてから何か月か経った頃のことで、私は彼に乞われて医者の仕事を人に譲り、ベイカー街のなつかしい下宿で彼と起居を共にするようになっていた。ヴァーナーという若い医者が、ケンジントン界隈の私の地盤を、こちらが言い出しかねるような最高値段で、しかもあきれるほど気前よく買い取ったのだった。---このわけは、数年後に、ヴァーナーがホウムズの遠縁で、実際に金を出したのもホウムズだということがわかって、すっかり明らかになった」

(「ノーウッドの土建屋」より 『シァーロク・ホウムズの生還』鈴木幸夫訳 角川文庫)








http://hallor.tumblr.com/post/1308656322/curtain-sojourn-2010-interpreting-the-adventure



「・・・するとホウムズの手が忍びより、大丈夫だよと私の手を握りしめた。それはちょうど、万事好調で安心してよいといっているようであった」

(「奸賊ミルヴァートン」鈴木幸夫訳)








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4 コメント

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アフター・ショック (まゆみ)
2014-01-14 08:24:58
ファイアーさん

私は、最後の10分は涙がハラハラとこぼれ続け、24時間経った今もアフターショックから完全に回復していません。シャーロックのジョンの友情の為の自己犠牲に圧倒されました。マイクロフトにも胸を締め付けられました。
シリーズ4は、どういう風に展開してゆくんでしょうね。3で冒険して、4はまた二人で221Bに戻るのかなとも思っています。一人で暮らすシャーロックが、今回はとてもかわいそうでした。
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まゆみさん (ファイアー)
2014-01-14 14:30:02
ああ~~~まゆみさん!!
まゆみさんのコメントを読んで、うるうるきてしまいました・・・
昨夜、最終話の2回目を観て、感動でふるえました。
初見は早起きしてネットストリーミングで観たんです(初めてのリアルタイム!)が、
なぜかそのときはピンとこなかったんですよ。
2回目で、完全にモファットにやられました・・・

>一人で暮らすシャーロックが、今回はとてもかわいそう

でしたね(涙)
原作でも、グラナダ版でもそうですが、
何となくさびしそうで、ジョンが幸福なのはうれしいけど、
離れて暮らしてるのがいまいち納得いってないというか・・・
確か原作でも、ワトソンが結婚したのは彼が唯一とったわがままな行動だった、なんて
ちくりとホームズが言ってますよね。
わがままも何も、結婚なんだからしゃーないやん、とホームズにツッコミつつ、
実は読者/視聴者も納得がいっていないのです・・・
たぶんドイルもそうだったんでしょうね。
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Unknown (ひろちゃん)
2014-01-21 01:39:52
シャーロックの自己犠牲…

そうです、そうなんです、やっぱりアガペーなんです
天使の側にいる天使です。。。
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ひろちゃんさん (ファイアー)
2014-01-24 02:17:40
シャーロック、大人になりましたね、ほんと・・・(涙)
でもS3E3の他の所行を見てると、やっぱまだまだ子供だわね~とも思いますが(笑)
ていうか、まだ子供でいてほしい・・・いつまでもジョンが世話を焼かないと♪
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