今合唱団ではモンテヴェルディのマドリガル「愛する女の墓に流す涙」を練習
している。連作になっていて6曲ある。このうちの第3曲「夜には光をたたえ」のみ
昔仙台の合唱団で歌ったことがあった。もう30年近く前の話だ。
この曲を歌っていると当時練習場だった木造の古い教会の集会室の隅々まで
思い出して懐かしくなる。メンバーで残っている方はもう誰もいない。
今回こちらの合唱団でまた歌ってみて、意外にも歌詞やメロデイーを覚えていた
のにびっくりした。かつて歌ったはずの曲でもかなり忘れている曲が多い中、
珍しい。よほど印象的だったのかもしれない。
持っているCDも1990年のコンソートオブミュージック。装飾としての
グリッサンドが効果的でかっこいい。
30年前のエマ・カークビー初め、メンバーはみな若く活気に満ち溢れている。
90年代初め、宮城県北の中新田のバッハホールでカークビーと
エヴリン・タブ、アントニー・ルーリー(リュート)の3人の実演も聴いた。
この時はイタリア物一色で、モンテヴェルデイやディンディアのデユオ、
ミケランジェロ・ガリレイのリュート曲など初めて聴き、イタリアバロックの
芳醇な世界に魅せられたのだった。
このCDはマドリガル第6巻の曲が収められており「アリアンナの嘆き」
「西が戻り」などの有名曲も含んでいる。マドリガル5巻からはBCも入り
一層ドラマチックになり、小オペラといってもいいくらいだ。
90年代にはこの後コンチェルト・イタリアーノやラ・ヴェネクシアーナなど
本家イタリアのグループが出てきて今やモンテヴェルデイは日本でも盛んに
演奏されるようになった。隔世の感を覚える。