久しぶりの展覧会行きは「ルドルフ2世展」へ。もうあとわずかで閉展になる。
「ウェルトゥムヌス(果樹果物の神)としてのルドルフ2世」という肖像画は異彩を
放っていた。
アルチンボルトの描いた、植物や動物の「寄絵」は、ここ数年ですっかりおなじみ
になった。見慣れたとはいえやはり不思議な絵。追随者の同種の絵もあったが、
アルチンボルトが傑出していることを証明するばかりだ。
ルドルフ2世の系図を見ていたら、母方の兄がスペインのフェリペ2世で、少年時代は
スペインで君主教育をうけていた。ハプスブルグ家はオーストリアとスペイン系統が
あり政略結婚の歴史も恐ろしいばかりだ。ルドルフ2世は政治には無能よばわりだったが
芸術・文化の庇護者として知られ、世界中の動物を収集し、動物園まで作ったそうで、
動物の絵も多かった。中でもサーフェリー「動物に音楽を奏でるオルフェウス」では
オルフェウスは数多くの動物たちに埋もれてしまうように描かれ、表情まではわかり
ずらかったが、動物たちはオルフェウスの竪琴の聴き入っているように見えた。
他に楽器の絵はあまり面白くもないリュートの絵があっただけだったが、
音声ガイドには同時代のリュートや歌、リコーダーなどのBGMが流れていた。
ルドルフ2世のコレクションは「驚異の部屋」やCurious Cabinet
(珍品陳列棚)と呼ばれ、のちの博物館の原型となったそうだ。
J.Wilbye のマドリガル、
Sweet honey-sucking beees の歌詞には・・You store your Curious Cabinet
という箇所があるので、この言葉が17世紀初めにイギリスでも使われていたことが
わかり面白い。
珍品には占星術、錬金術などルネッサンスから近代へ移る時代の広がる好奇心
を示す物や精緻な工芸品なども興味深かった。
ヤン・ブリューゲルの花の絵「陶製の花瓶に生けられた小さな花束」も植物の
名前当てクイズのよう。少し萎びたシクラメンは寒さにやられた我が家のとそっくりだった。
次の展覧会行きは「ブリューゲル展」になる予定。4月1日までなのでもうすぐだ。