アチャコちゃんの京都日誌

あちゃこが巡る京都の古刹巡礼

916 新シリーズ 令和に巡る京の神社  第29番 梨木神社 参道にマンション

2022-04-07 12:56:39 | 日記

第29番 梨木神社

 

京都市上京区寺町通広小路上ル染殿町680

主祭神    三條實萬 三條實美

 

神社や寺院の中には財政が苦しく、トンデモな判断をする場合がある。

京都御苑の東隣にある梨木神社は、三条實萬(さねつむ)公と子の實美(さねとみ)公の2柱を祀る。五摂家に次ぐ公卿最高の家柄である三条家の幕末における2人の親子は、宮中の故実礼典に精通し学問を究めていた。特に、父の實萬公は光格・仁孝・孝明と明治直前の3人の天皇に仕え主に武家伝奏役を務め朝幕関係のかなめになっていた。朝廷の威信回復に大きく寄与し没後「忠成公」とおくり名され、さらに明治18年にこの地に神として祀られた。境内地は、平安の昔、藤原良房公邸宅「染殿第」のあった地で、實萬公の生誕の地でもあった。大正時代になって子の實美公も合祀された。實美公も長州への「七卿落ち」を経験するなど維新の重要人物であり新政府でも一時内閣総理大臣を兼任するなど貢献し葬式は「国葬」とされた人物である。従って、皇室への畏敬の念を持つ信者に支えられ、境内には、3代目の京都知事北垣国道の撰文により建てられ有栖川熾仁親王が筆を入れた顕彰碑が建っている。

鳥居の向こうにマンション

さて、京都御苑の東の入り口「清和院御門」の前にあるこの神社の鳥居の前に立つ。本殿の方を向いて深く頭を垂れて遥拝する。そして目を前に向けるとそこには高級マンションが鎮座しているではないか。本殿は見えない。あたかもマンションの住人に向かって拝んでいるようなものだ。これこそがトンデモな判断と言いたい。実は社殿の修復等の資金集めに苦慮していた時に、境内の参道を含む土地をマンション開発業者に60年の定期借地権で貸し、その賃貸料を社殿の修復費用に充てることとしたのだ。京都の神社やお寺の財政状態は実は苦しく、文化財の保存には苦慮していて敷地内に学校や幼稚園など経営している光景はよく目にする。境内一杯駐車場にしていることも多い。しかし、参道のど真ん中にマンションを建てたのは聞いたことはない。実はその為当社は神社本庁から離脱して独立し、別表神社の列から当社は外されている。

染井

歌碑

因みに境内の染井(井戸)の水は、京の3名水(縣井・佐女牛井)の一つで今でもこんこんと湧き出ていて飲料に適した清水である。その時も2~3人並んでいてペットボトルに汲んで持ち帰って行った。なお、京都(御所)三名水と混同されることがある。こちらは醒ヶ井・県井・染殿井の三つ。あと、ノーベル賞受賞者湯川秀樹の歌碑など、意外に見どころの多い神社だった。

帰り道は、御苑内をそぞろ歩きしながらとした。


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