OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

恩師のことば

2010年06月29日 | その他いろいろ
30年以上経っても、先生という存在はありがたい。
もう退職してから何年も経って、「ただのおばあちゃんよ~」とおっしゃるけれど、いやいや、含蓄の深いことばをくださいます。

英語科のO先生、当時3~40才代でいらしたのだろうか、ちょっとおっかないオールドミス(死語だなぁ)でした。
10年ほど前の同窓会でのご挨拶で、「癌にかかっています。医者からは治療法がないと言われましたが、東京在住の卒業生たちが勧めてくれて、こちらに移住してきました。医者は私を見放しましたが、神様からは見捨てられていません。」と、話された。
その後も、ちょくちょくお元気な様子を見かけていたので、昨日は「お元気そうですね、癌の方はいかがですか?」と尋ねてみた。

先生は、「糖尿病はあるけれど、その他はすこぶる元気よ」とおっしゃる。
そして、出席者全員に、お祈りの本やおメダイ(マリア像などの付いたメダルのようなもの)、おせんべいなどを配って下さった。

マイクを握って、壇上で挨拶をなさった時には、こんなお話しを。

私は、電車やバスで、若い人に席を譲られるのが大嫌いなんです。
だって、若い人はこれから仕事や勉強に行くのでしょう。
そんな人から席を譲ってもらうほど、わたしはたいした人間じゃあない。
病院に行ったり、遊びに行ったりの私が、若い人を立たせるなんて、申し訳ないじゃないですか。

電車に乗る時はね、まず真剣に席取り合戦をします。
これは、私も若い人も、平等にできるから良いの。
がんばって、昔取った杵柄の技術を駆使して、席を確保して座ります。

でもね、座れなかった時は、私よりあきらかに年寄りの人とか、同年配の人が固まっている場所を探して、そこに立つんです。
そうすれば、席を譲られないでしょ。
若い人の前なんかに立ったら、ぜったい「どうぞ」って、立ってくれるから、それだけは絶対しないようにしています。

まあ、なんていう心意気でしょう!
帰宅して、夫にその話を聞かせたら、「すごいなぁ~!だから、癌もびっくりして、悪さしないんだろ」
「ホント、我々も見習わなくっちゃね」と、夫婦で話し合った。

いい先達が、また一人。
恩師って、いつまでたっても、ありがたいものだなぁと、しみじみと感じました。