OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

立ち上がってご挨拶

2006年11月30日 | 母のこと
この間の食事会の時のことを一つ追加で。

11月26日、息子夫婦を囲んでの食事会の時、まず新顔の花嫁さんに親戚の顔と名前を紹介しなくてはと、次男坊に仕切りを頼んだ。
「自己紹介をお願いしても良いし、お祝いの言葉をもらう形式であなたからみんなを紹介してくれても良いのよ」
で、結局面倒くさかったのだろうか、次男は「じゃあ僕から自己詳記しますから、順々におねがいします」と振った。

席の順で、「yuちゃんの従兄弟です。高1で、ラグビーやってます」だの、「叔父です。今度飲みに行きましょ!」だの、「祖母です。M家の一番古い嫁です。これで嫁が4人にんになったから、4人でまたどこかへ遊びに行きましょう」なんていう挨拶を次々にしてもらった。

で、母の番。
母は車椅子からすくっと立ち上がる。
これには居合わせた全員(多分私以外)がもうビックリ仰天。
「無理しなくても座ったままで良いよ」という弟の言葉に、母は決然と「いいえ、立ってできます。そのほうがうれしいの」
そして「yuちゃんの祖母です。こんな姿でお恥ずかしいですが、今日は呼んでもらってとても嬉しいです。云々」ときちんとご挨拶。
「いやぁ、元気になったんだねぇ」
「おばあちゃんすごいねぇ~」
賛辞の飛び交う中、母の得意そうな顔。

先日は、OT園のレクの時間、ボーリングゲームでは立ってボールを投げたんだとか。
これを聞いたときは、私も驚いた。
「もちろん出来ない人は座ったまま投げても良いのよ。でも私は立てるから立って2~3歩歩いて投げたのよ」
母の勝ち気な積極的な性格が、機能回復にも一役買っているようだ。

逆方向へ

2006年11月29日 | 母のこと
昼食を済ませたであろう母の所へ出かけた。
この頃は寒くなって、日の暮れるのも早くなったので、散歩の時間を確保するのがなかなか難しい。
昼食後の一時間ほど、レクレーションが始まる前の時間をねらっての来園。

今日はいつもと反対の方向へ歩いて見る。
OT園は川の道筋に沿った道の脇に建っていて、道の両側はかなりきつい登りの勾配になっている。
つまり、車椅子での散歩は道沿いに歩くしかない。
いつもは駅の方向へ歩いていくのだが、今日は初めて逆方向に行ってみた。

今日のお目当ては、セブンイレブン。
前からあったお店が移転新築して、広くなった。
通路も広くとってあるので、車椅子であれこれ物色してもつっかえないことを事前に確認しておいた。

「おやつを買いましょ!何がいい?」
母は大はしゃぎであれこれ見て回る。
「いい物がありすぎて何にしたらいかわからな~い」と言いながら、選んだのはエビせんべいと(小豆の)串団子、それに温かいウーロン茶。
私が選ぶのとほとんど同じだなあと思うが、自分で選ぶのは楽しさもひとしおのよう。
大はしゃぎで買い物袋を膝にのせ、OT園へと戻った。

今日は穏やかで暖かい日だったので、園庭でひなたぼっこをしながらお茶にする。
ついさっき昼食を食べたばかりなのに、串団子を2本とおせんべい。
このところ食欲もとても旺盛なようだ。
(写真は散歩道で見かけた楓。みごとな紅の色が目にしみる)

ハリガネムシ

2006年11月28日 | その他いろいろ
ハリガネムシを知っていますか?

最初にこの虫を知ったのは4~5年前、長男がキャンプ場からペットボトルに入れて持ち帰った。
「ホントに虫なの?動かないじゃない」と思って見ていたら、ペットボトルの中で時々形を変えている。
硬直した直線の針金だったものが、らせんになっていたり、カーブを描いた弧状になっていたり。
(後で調べたところによれば、体の形を変えることによって水温の変化に対応しているのだとか)
さわってみようとは思わなかった、でも見ているだけでも、なんだかゾクゾクするような気持ち悪さだった。

拾ってきた長男も「謎の虫」といい、次男と二人あれこれ調べていたが、2~3日経って「わかったよ」というなりそのペットボトルをあわてて捨てにいった。
謎の針金は、見かけの通り「ハリガネムシ」という名前で、水中で孵化し、幼虫は水生昆虫に寄生、その宿主がカマキリなどに食べられると今度はカマキリに寄生して成虫になるらしい。
そしてカマキリを(いかなる方法でかは分からないらしいが)水辺へと導き、お腹を食い破って水に戻り、その後は水中で生活、産卵をするらしい。

「カマキリに寄生する虫」という事実に衝撃を受け、長男は得意げに机に飾って眺めていたペットボトルを躊躇なく外のゴミ置き場へと移動させた。
私も気味の悪い物が一つなくなって(他にもカエルで出来た財布や小さな蛇がとぐろを巻いている文鎮や蜘蛛の標本などはあるんだけどネ)、ちょっとホッとする。
そして「カマキリに…」という何とも不思議な、気味の悪い虫をしっかりと記憶した。

ところで、ついこの間、このブログをお休みしていたときに、また再会してしまったのよね、このハリガネムシに。
犬を連れての散歩の帰り。
駐車場で腹広カマキリが潰れて死んでいる。
その横で不気味にうごめいているハリガネ!
宿主の不慮の死によって、あわてて宿主から離れたものらしい。
近辺に水もないからその後どうなったのかは分からないけれど、背中がゾクゾクするような瞬間だった。


お赤飯

2006年11月27日 | 家族の話題
今日も、昨日の食事会の話題。
昨日の会のお土産(引出物)は、ザッハトルテ(ウェディングケーキを作ってくれたお店の物)と、紅白ワインを用意したが、その他にちょっと早起きをしてお赤飯を炊き折り詰めにして持って帰ってもらった。

この頃では祝い事の時にお赤飯を炊くということも少なくなっているのだろうが、私は合格祝や卒業時など、節目節目に必ずお赤飯を炊いている。
先日、息子の結婚式の朝にも炊き、朝ご飯として食べさせた後式場へ向かわせた。
成人式にも、母の退院祝にもお赤飯を炊いた。
特に喜ばれるわけでもないし、家族に赤飯好きが居るわけでもない。
でも、う~んと将来、子ども達が「そういえばお袋は祝い事のたびに赤飯炊いてたなあ」と思い出してくれたりするかもしれないと期待して、お赤飯を作る。
そして、黙ってそれを出すことにしている。(「お祝いだ」と、うるさく口に出すよりそっとお赤飯を出す方が効果的だと信じて…)

昨日は1kgの餅米を炊いて5つのパックに分け、お土産として持ち帰ってもらった。
田舎臭くってスマートではないかもしれないが、家に帰ったときにちょっと口に入るものがあるのって主婦としても助かるのではないかという気持ちもある。


みんなでお祝い

2006年11月26日 | 家族の話題
長男の結婚式は家族だけで行ったので、今日はお祖父ちゃんお祖母ちゃんや、叔父ちゃん叔母ちゃん、いとこ等を招いての食事会を行った。
朝から空はどんよりと曇って「雨が降るかも」と思わせるような天気だったので、みんな空を見上げては雨の心配をしていたけれど、なんとか保って楽しい時を過ごすことが出来た。

お嫁さん・娘・姪・私の4人が着物を着た。
朝から美容院に行って大事だったけれど、それもまた楽しみのうちかもしれない。
日常とはちょっと違った晴れやかな気分でお客様を迎えることが出来た。

OT園へは弟が母を迎えに行き、介護タクシーに乗せて会場のレストランまで連れてきてくれた。
舅姑は夫の弟夫婦と一緒に来てくれた。
高校生の甥は午前中のクラブ活動(ラグビー部)を早めに切り上げて、大急ぎで駆けつけた。
そして、それを迎える今日の主役、息子のお嫁さんも余り硬くならずに楽しげにみんなと談笑して居る。

前夜ふと思いついて、食事会の進行を次男坊に依頼した。
次男は、「急だなぁ…」とぼやいていたが、ちゃんと仕切りを勤めてくれた。
「兄貴からの挨拶」「お祖父ちゃんによる乾杯の発声」「それぞれの自己紹介」「お父さんから締めのお礼」etc.

食事中はなごやかにおしゃべりが続いてとぎれることなく、しばしば笑い声も聞かれる楽しい集まりとなった。
母は大はしゃぎでよく食べ、シャンパンを飲み干している。
中高生の甥達はコースの料理だけでは足りず、ステーキを追加したり、このレストランの名物「牛肉の握り寿司」をいくつも追加注文して大人達を驚かせている。
「こんなに美味しいお肉、次はいつ食べられるかなぁ」なんて、泣かせる言葉も言ってくれたりして。

最後はウェディングケーキのカット。(写真のケーキ。果物が色とりどりで綺麗でしょ!)
持ち込んだ大きなケーキに新夫婦がナイフを入れ、その後、みんなでその大きなケーキをペロリと平らげる。
「皆さん、楽しそうでしたねえ。それによく召し上がりますね」と、レストランのご主人に感心されてしまった。
沢山食べ、沢山おしゃべりをし、沢山写真を撮って、我が家の大行事終了!

一人で夕飯

2006年11月25日 | 家族の話題
今日は土曜日、明日の準備があるので、朝からバタバタと準備をしていた。
夫がなんとなくすまなさそうな顔で、「今日は恒例の同期会があるからでかけるよ」という。
毎年11月の第4土曜日は、高校のクラス会と決まっていて、お友達のやっている早稲田界隈の店に集まるらしい。

「キャー、ラッキー!」
「夕飯の支度しなくて良いじゃない」
今日は娘もサークルの集まりとかで、「夕飯はいりません!」といって出かけていった。
土曜日なのに一人でご飯なんて珍しいこと。
でも、あれこれ忙しいのと、たまの出来事なので、ちょっとウキウキ気分で夫を見送った。

その後、用事を済ませ、買い物ついでに鯖鮨を購入。
母のおやつにどら焼きも買って、OT園に寄った。
OT園に母のよそいきを届け、介護士さんに明日の外出の支度を依頼した。
「あら~!楽しみね~」は、いいのだけれど。
「私はどうすればいいの」
「何時に出かけるの?」
「何を用意すればいいかしら」
こう書くと実にまともな質問のようだけれど、母は興奮して同じ質問を何度も繰り返す。
そのたびに丁寧にきちんと説明するのだけれど、余り何度も聞かれるとからかわれているんじゃないかしらという気持ちにもなってくる。
そうかと思えば、「そう、みんな明日集まるのねぇ、私はいけないからよろしく言ってちょうだいね」等とも言う。
どこかが壊れていることを、しみじみと感じるのはこんな時である。

さて、夕方ゆっくり犬と散歩を楽しみ、私は一人で鯖鮨とナスの味噌炒め、キャベツ・きのこ・わかめのサラダで夕飯を済ませた。
なかなかリッチな一人の晩ご飯。
たまならこんな夜の過ごし方も幸せ。

着物

2006年11月24日 | 趣味(読書・洋裁・音楽・映画)
息子の結婚式に留め袖を着た。
次の日曜日には、おじいちゃん・おばあちゃんなど親しい親戚と一緒に息子夫婦のお披露目のための食事会をする。
その時にも、お嫁さん・娘・姪・私が着物を着る予定。

今年は1月に娘の成人式もあった。
何となく着物が気になって、実家の母の箪笥と私の着物箪笥の整理をしている。
30年近く手を触れていなかった物もあり、傷んで手入れの必要な物も多い。
大事な物は、洗ったり、縫い直しに出したりしなくてはとボチボチ重い腰を上げた。

「せっかくの着物はたまに着て楽しまなくちゃ」と、着付けの勉強も始めた。(無料講習だけどネ)
子育てに忙しく、着物にさわらずにいたあいだに、私の着物はすっかりハデになって娘やお嫁さんの方にふさわしい色や柄行きになってしまった。
その代わり、母の着物がわたしにちょうどよくなってきたよう。(まだ地味な気もするけれど)
たまには着物を着て出かけてみたいなあと、着物の手入れと勉強に励んでいる。

日曜日には4人そろって着物を着るので、今日は3人分の長襦袢に半襟を付けた。
結構手間がかかるのよね、着物って!

腕の筋肉

2006年11月23日 | 母のこと
OT園に行き、お散歩へ出かけようとエレベーターを待っていたところ、介護士さんが急いでこちらに向かってきた。
「何事か?」、「また何かトラブルでも?」と思って内心ビクビクしたのだが。
「聞いてください、すごいんですよ~!」
「昨日、玄関のスロープを車椅子を自力で漕いであがれたんですよ~!!」
「この頃ホントにお元気で、腕の筋肉が付いたんですよね~」
このことが報告したくて私の顔を見るなり駆けつけてきてくれたらしい。

母は、介護士さんの言葉にニコニコと頷いて満足な様子である。
「すごいね~、あそこは傾斜があるから重くて大変でしょう?」
「そうよ、だから必死で頑張ったのよ」
得意そうに答える。

気持ちも比較的安定し、OT園での生活にもそれなりになじんで、体調も良いようで、ここのところの母はとても元気で明るい。
自由時間は、部屋で過ごしたり、集会室で他の入居者さん達とおしゃべりをしたり、テレビを見たりしているよう。
以前のように介護士さんが決めた場所にいるのではなく、自分でいる場所を選び、ある程度は自力で移動できるのでそれも快いようだ。
トイレへの移動もとてもスムースである。
洗面所とトイレにある手すりを使って、かなりスムースに掴まり歩きで移動している。(驚くほどすばやい動き!)
身体が動くことが、気持ちの安定とも関係しているのだろう。

心楽しく、おしゃべりしながらのお散歩へ出かけた。
OT園の回りの風景も暖かな色に変化し、晩秋の装いを見せている。
ミカンは色づき、柿の木の取り残された実にはたくさんの小鳥が群がって冬に備えての栄養補給に余念がない。
いつも同じ道をぐるっと歩くだけだけれど、自然は毎回いろいろな変化を見せて、母と私の目を楽しませてくれる。



幻の赤い花

2006年11月22日 | その他いろいろ
犬を連れての散歩道。
前方から年配の男性がやってくるのを見て、道をよけた。
するとすれ違いざま、「気を遣ってもらってすみませんネェ」と声をかけられる。
そして、「奥さん、あっちに行くんだったら、あのマンションの左手のところに今キレイな赤い花が咲いてますよ。イヤァ実にキレイだから見ていらっしゃい」とおっしゃる。
「まるで奥さんの若い時みたいにキレイな赤い花だから」だって。

「イエイエ、とんでもないです」と答えて別れたけれど、よくよく考えてみれば、「今の私って若くない?」「きれいに咲いてる花じゃない?」と、つまらないところで引っかかる。
まあ、確かにおっしゃるとおりで、若くもないし、花ならウ~ン…。
正直なおじいさんだ!
お世辞のつもりで言ったんだろうなぁ。

「せっかくだから、その赤い花とやらを見ておこうじゃないの」と、指差された方向へ向かった。
この辺りかと思うところをぐるっと歩いてみたが、結局赤い花は見つからずじまい。
どこにどんな花が咲いていたのだろうか。
ぜひ、私の若い頃に対面してみたかったのだが…。

秋のコンサート

2006年11月21日 | 趣味(読書・洋裁・音楽・映画)
この秋、あちこちコンサートに出かけた。
バリトン歌手中西勝之さんを追いかけてあちこち、9月の新百合ヶ丘から始まって都合5回のコンサートを聴いた。
毎回同じようなプログラムだったけれど、それでも毎回違う印象を受けたり、伴奏の違いで曲の持つ雰囲気が変わることを楽しんだりと、飽きることなく幸せな気持ちをもらっていた。

先週は、オペラシティーのホールで、イギリスのテノール歌手イアン・ボストリッジの冬の旅とブリテン歌曲集のコンサートを聞いた。
何とも美しいのびのある歌声、躍動感のある表現。(少~し違和感はあるけどネ…)
そしてスマートで凛々しい立ち姿。
うっとりと2時間が過ぎた。

そして今晩は、この秋のメインイベント、バスバリトン歌手のブリン・ターフェルを聞きに出かけた。(同じくオペラシティー)
ヴェルビェ・フェスティバル・オーケストラとの共演でもうこれは素晴らしいの一語に尽きた。
曲はモーツァルト・ワーグナー・プロコフィエフから。
それに一部と二部でそれぞれアンコールが2曲ずつ。

ターフェルの歌声は、時に力強く、豊かに、そして甘く、ただもうウットリと聞き惚れてしまう。
チケット代をけちったのでB席でステージを見下ろしながらの鑑賞だったが、演奏中はほとんど椅子の背にもたれることなく、身を乗り出して夢中で聞いた。
アンコールの一曲目、ウェールズの民謡(題はど忘れ!)をハミングで歌ったときには不覚にも涙が出てしまった。
そして2曲目は、ドン・ジョバンニの「さあおいで、窓辺へ」。
赤い薔薇を持って客席に降り、女性客の手を取りながらの大サービス。(これも愛嬌があって楽し~い!!)

ヴェルビェ・フェスティバル・オーケストラは17歳から29歳までの世界各地の音楽家を志す若者達によって構成されたオケということで、音に不安定な部分はあるものの(時々だけど)、明るくてフレッシュな感じがとてもよかった。
特に私の席から一番よく見えたチェロの主席奏者、エジプトの青年らしいのだが、髪の感じ、生え際のカーブの具合、眼鏡、目鼻立ち、額のしわのより具合、指揮者を見上げる目つきなどが、我が家の次男坊にそっくり。(正面の顔は全然似てなかったけど、見下ろして見える部分がよく似てた!)
「え~!!daiちゃんチェロなんて弾けたっけ?」と言いたくなるくらい。
学芸会の我が子を見るような気分で楽しめました。(ほんの一節だけどソロ部分もあって素敵だったのよ!)

とにかく大興奮、大満足の一夜。
この秋のメインかつ最後のコンサートが終了しました。