エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;リチウムイオン電池は家庭用にも用途拡大)

2010-12-27 07:07:10 | Weblog
 リチウムイオン電池の家庭用2次電池としての用途が新しいフェーズに動き出しています。家庭用リチウムイオン電池の最近の動きとして報道されたのは、三菱重工の「エコスカイハウス」(横浜)や新日本石油(現JX日鉱日石エネルギー)の「創エネハウス」ですが、いずれも、家庭用リチウムイオン電池の役割が電力単価の安い夜間電力を充電して昼間に使うという光熱費節減型です。これに対して、東北大学の田路教授が環境省の「エコハウスプロジェクト」の支援を受けて主導しているのは、太陽光発電(3・8kW)で発電した直流の電力をリチウムイオン電池(10kW)に貯めておき、直流のままLED照明や液晶テレビ、パソコンなどの情報機器に電力を供給する仕組みです。パナソニック電工に依頼して直流配電盤が完成し、10年3月に竣工しました。
家庭用リチウムイオン電池に関しては、10年1月から伊藤忠商事が太陽光発電と組合せたシステムを導入した分譲マンションの販売を開始していますが、本格的な普及は家庭用太陽光発電がグリッドパリティに到達する15年頃と想定されています。ただ、再生可能エネルギーエネルギーの全量買取り制度の内容によっては、自家消費分の多いビルや4500万世帯の日本の一般世帯に太陽光発電が急速に浸透する可能性もあり、むしろ、市場を先取りする対応が必要です。特に、アメリカでは電気自動車普及への超難問(conundrum)として、リチウムイオン電池の家庭・オフィスにおける2次利用の際の市場創出、そこにおける価格形成の必要性が指摘されています。これは、リチウムイオン電池生産世界一、巨大な市場を有する日本がイニシアティブをとって推進すべきでしょう。
 今後のリチウムイオン電池の用途は自動車用や家庭用に限りません。今はニッチ市場的な色彩がありますが、バックアップ電源、建設機械、鉄道車両など産業用リチウムイオン電池も着実な需要拡大が見込める市場として有望です。中長期的には、太陽電池や風力発電に併設される電力貯蔵用のリチウムイオン電池の市場拡大、現在主流のNAS電池の代替としての期待もかけられています。