エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

政府の新成長戦略・グリーンイノベーション政策の盲点(「グリーンカラ-・エコノミー」という視点が必要)

2010-12-16 00:32:57 | Weblog
注目すべきは、オバマ政権の「グリーン・ニューディール」がトップダウンの政策スローガンから国民運動へと進化しつつあることです。この点で、『The Green Dollar Economy』(邦訳『グリーン・ニューディール』)は、アメリカの「グリーンカラー・エコノミー」(Green Collar Economy)への動きを迫力をもって伝えてくれます。著者のヴァン・ジョーンズは、アメリカではいち早く「グリーンカラー・ジョブ」(Grenn Collar Job)の重要性を訴え、わずか2年で一介の市民運動家から普遍的なグリーン・エコノミーを創出する国民運動の旗手に駆け上がった人物で、グリーン・エネルギー産業への職業訓練の強化を求める国際NGO「グーン・フォー・オール」(GREEN FOR ALL)を主宰しています。
ヴァン・ジョーンズは、①地球環境問題と②アメリカ経済の弱体化および格差の拡大を現在のアメリカの2大危機として捉え、この2つの危機を同時に解決するための国民運動を展開するとともに、環境負荷の少ないグリーン産業の発展とそれによる経済的恩恵をあらゆる社会的階層の人々が享受できるようにする「グリーンカラー・エコノミー」の実現を唱え、ロサンゼルス(エネルギー効率の向上)、ウィスコンシン州ミルウォーキー(エネルギー効率の向上)、ペンシルベニア州(風力発電)、カリフォルニア州リッチモンド(太陽光発電)、シカゴ(食物)、ヒューストン(廃棄物)、ボルティモア(建設資材)などでの豊富な実例を紹介しています。アメリカのグリーン・ニューディール国民運動は、市民層の草の根型の参加により「グリーンカラー・ジョブ」(Grenn Collar Job)の創造を目指すというより明確な目標を実現するための合目的的な国民運動となっています。