エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;IT革命はスマートグリッド革命の序曲に過ぎない!)

2010-12-02 06:01:48 | Weblog
最近、日本国内でも様々な場面で「スマートグリッド」という言葉が用いられるようになりました。新聞紙上にも、ほとんど毎日のように関連する話題が載っています。しかし私は、「スマートグリッド革命」の本質というものがしっかり議論されていないと感じています。
次世代電力ネットワークの整備といっても、それは電力会社に関係することで自分にはあまり関係がないというのが一般の人々の意識だと思われます。いまのところ、単に「家庭にスマートメーターが設置されたり、グリーンテックという新しいベンチャーが登場したりする」といった話が多いためか、企業やビジネスマンにとっても、関係する業種以外のところでは自らの企業戦略やビジネス基盤に影響する大きな事象だという感覚が必ずしも共有されているわけではないように感じられます。
これは、スマートグリッドの引き起こす「You Energy」へのパラダイムシフトについて、十分な理解が進んでいないためです。実は、現在の「You Tube」に至る現象が15年前の米シリコンバレーで起こりました。インターネットによるIT革命の勃興です。当時、私は,シリコンバレーに駐在していました。eコマースなどインターネットの商用利用が始まるとともに、ネットスケープ、ヤフーなどのITベンチャーの勃興期で,様々な企業が誕生しつつあったときです。そこで私は、インターネットが登場し瞬く間に社会やビジネスの在りようを大きく変革していく様を目の当たりにしました。インターネットによるパラダイムシフトを臨場感持って感じることができました。
そのインパクトというか、社会を変革する力というのはすさまじいものでした。私は「これこそが革命だ!」と直感し、1994年10月、日本に一時帰国をして800人の聴衆を前に「シリコンバレー・モデル」という「革命」「が起こっていることをお伝えし、パラダイムシフトの前向きな取組みを訴えました。それまでは「マルチメディア」という言葉がよく使われていたのですが、以来「インターネット」がIT革命を主導するネットワークを形容する言葉となりました。その後、IT革命の大きなインパクトについて国内外に情報発信したり、シリコンバレーに「シリコンバレー・マルチメディア・フォーラム」(SVMF)という団体を立ち上げたりするなど啓蒙的な活動を進めました。それらの一連の取組みの成果を、『シリコンバレー・モデル』(1995年、NTT出版)という本にまとめています。
そうした経験から言うと、今回の「スマートグリッド」には、90年代半ばにインターネットが登場してきたときと同じような“うねり”を感じます。それどころか、スマートグリッドが起こす変革の大きさというのは、IT革命をはるかに凌駕する規模になります。それは,ネットワークの規模を比較すると一目瞭然です。IT革命は、「スマートグリッド革命」の序曲にすぎないとさえ言えます。