デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

セクシーなモンローのピクチャーレコード

2009-05-03 07:41:02 | Weblog
 恩田陸さんの短編「あなたと夜と音楽と」は会話だけのミステリで、ラジオ番組の男女ディスクジョッキーが会話の間に曲をはさむ形式で物語られる。かかる曲はジャズヴォーカル・ファンお馴染みのナンバーで、「じゃあ、ここで、本日の一曲目。アニタ・オデイ『私の心はパパのもの』。この曲、マリリン・モンローが歌ってるバージョンでも有名ですよね。ではどうぞ(曲)」、つい歌を聴きたくなる展開だ。こんな番組があるなら毎週聴きことだろう。

 原題「My Heart Belongs To Daddy」は、DJが言うようにモンローが、映画「恋をしましょう」で歌ってから一躍知れ渡った曲だ。歌詞の内容から察してパパはお父さんではなく、所謂パトロンのパパさんで、そのパパに焼きもちを焼かせたい女心を歌っているだけに古くは猫なで声のアーサー・キットがヒットしたのも頷けるし、小悪魔のようなモンローがよく似合う。作詞作曲はコール・ポーターで、弾むようなメロディは得意とするところだが、歌詞の「Da-da Da-da-da Da-da-da?ad」が面白い。歌い方によってはクールな女性になり、また色っぽさやセクシー度をアピールできる部分でもある。

 写真は、「帰らざる河」や「ダイアが一番」等、モンローが主演した映画のヒット曲を集めたピクチャーレコードだ。普通のレコードは円盤の中心にレーベルが貼ってあるのだが、ピクチャーレコードは円盤全体にレコードジャケットやオリジナルの写真がコーティングされていて、当然両面とも溝が刻まれているので音が再生される。ターンテーブル上で写真がぐるぐる回転するというのは見ているだけで楽しく、それがモンローとなると視覚的にもかなり妖しい。そのチャーミングで蠱惑的に歌う姿は、セクシーなモンロー・ウォークとともにセックス・シンボルとして今でも不動だ。

 映画「恋をしましょう」で共演したイヴ・モンタンと映画を地でいく恋をしたモンローはスキャンダルにもなったが、表裏のない正直な性格なのだろう。このピクチャーレコードの裏には表とは違うモンローの写真がある。モデル時代の写真といえば想像が付くだろうが、こちらも裏のない正直な姿である。
コメント (36)
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