祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ 異次元緩和、気になる「副作用」

2015-11-19 23:28:52 | アベシ政府


経済を良くする知識も国民の生命・安全を維持する意欲も、何にも持たないアベシがいよいよ国民総玉砕に突入するようです。嘘とデタラメをやり続け、国民生活は苦しめながら海外には金をばら撒くことで、自分は偉いと思われている・・・と錯覚しているアベシ。良くこれだけ狂っている人間をトップにおいて、なんとも思わない自民党の体質も理解できないですね。
異次元緩和について毎日新聞の東京夕刊ニュースを転載します。



特集ワイド:異次元緩和、気になる「副作用」 
  円安加速で激しいインフレへ/もはや進むも退くも地獄?

毎日新聞 2015年11月17日 東京夕刊

日銀

「副作用」も心配される異次元緩和。日銀に打つ手はあるのだろうか=東京都中央区で、関口純撮影


アベシ

 薬も過ぎれば毒となる、という。ではアベノミクスの柱「異次元の量的金融緩和」はどうだろう。デフレ脱却と経済成長のための「物価上昇率2%」を掲げ華々しく始まったものの、目標達成時期の先送りを繰り返し、ずるずると「投与」を続けて2年半になる。むしろ「副作用」の方が心配になるのだが……。【吉井理記】

 何かと話題に上る「1億総活躍」どころか、1億総玉砕らしい。

 冒頭から暗雲が漂うが、元大蔵官僚で早稲田大ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄さんが「異次元緩和」の先の日本をそう言い表せば、元銀行マンで100冊以上の著書がある経営コンサルタント、小宮一慶(かずよし)さんも「緩和はすぐにでもやめるべきだ」と手厳しい。

 2人の専門家がともに危惧する異次元緩和、政府の触れ込みはこうだ。金融機関が持つ国債を日銀が大量に買い上げれば、金融機関のお金が増え、融資する際の金利の基準となる「長期金利」が低くなる。その結果、ローンで家を買ったり企業が設備投資をしたりしやすくなり、消費が活発化して景気も良くなり、デフレ脱却が図れる--。

 長期金利は国債(償還期間10年)の利率を基に決まる。競馬で強い馬に賭ければより安全だが配当は減り、人気のない馬なら万馬券を狙えるのに似て、国債の需要が高ければ価格は上がるが金利は下がり、逆に需要が減れば価格は下がって金利は上がる。重要なので覚えておいてほしい。

 もう一つ大切なことは、金利が外国より下がれば日本で円で資産を運用するより、外国でドルなどの外貨で運用したほうが有利だと考える人が増え、円が売られて外貨が買われる、つまり円安になることだ。

 2013年4月の異次元緩和開始から2年半。現在も日銀は年80兆円もの国債を買い取っている。我々庶民の懐はちっとも温まらないけれど、かつて1ドル=80円前後だった為替は今や120円の円安。輸出産業を中心に一部企業の業績が好転して株価も上がり、金利も0・3%の超低水準だ。安倍晋三首相や日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁らの説明を信じれば、これからいいことずくめのはずなのだが……。

 「実質実効為替レート」というものをご存じだろうか。ニュースでおなじみの為替相場の数字とは違い、物価変動の影響などを加味し、その国の通貨の「本当の実力」を示す指標だ。円の実質実効レートは日銀が公表、スイスにある国際決済銀行がドルや中国元など59カ国・地域の通貨についてまとめている。

 それによると、10年の円の実力を100とすると、今年9月は72・59。つまり3割も円の力が失われた計算で、ブラジル、コロンビア、南アフリカに次ぐワースト4位だ。民主党政権だった12年まで100前後で推移しており、安倍政権の異次元緩和による円安誘導が始まってから急落した。

 野口さんの声が高くなる。「要は、日本がそれだけ貧しくなったということです。輸出企業の利益は増え、それで株価は上がったが、ドルベースで見れば、売り上げはあまり変わらず働く人の給料が下がった。これで消費が増えるわけはないし、食品など輸入品の値上げも続いています

 確かに食品の値札を見るたびため息が漏れる。今でさえ厳しいのに、野口さんは、今後も円安がとめどなく進む恐れがあるという

黒田日銀総裁

 日銀が金融機関から大量に買い上げた国債の代金は、各金融機関が日銀に開いている当座預金口座に入金される。今年10月の総額は異次元緩和前の4・25倍、247兆円に膨らんでいる。この口座のお金には、一部を除いて0・1%の利息が付く。問題は昨秋に金融緩和をやめた米国が、近く金利を引き上げると見られていることだ。

 「米国の金利が上がり、日銀当座預金より有利にお金を運用できれば、各銀行は当座預金からお金を引き出そうとするでしょう。日銀は日銀券を刷って銀行に渡さざるを得ない。すると円の価値がさらに下がり、一般投資家も円を売りドルを買う。円安がさらに加速します」

 「円暴落」で1ドル=数百円、まさかの1000円などという事態も絵空事とは言えないのだ。「輸入価格はさらにハネ上がり、デフレ脱却どころか激しいインフレは避けられません

 しかし、である。さっさと異次元緩和をやめればこんな事態は避けられるのでは?

 小宮さんが無情にも首を振る。「簡単ではありません。日銀が抱え込む国債は緩和前の2・5倍、317兆円。最大の保有者です。その日銀が『緩和をやめる』と言えば何が起きるでしょうか」

 最初の説明を思い出してほしい。国債の需要が減れば、国債価格は下がり、金利が上がる。最大の買い手が市場から去れば、国債価格の暴落を招きかねない。日銀のバランスシート(貸借対照表)上は、国債は資産として計上される。「国債暴落で日銀は巨額の含み損を抱えることになり、信用性に疑問符がつけられます。信用が揺らげば通貨価値がさらに下がり、やはり激しいインフレを招く恐れがある。しかも『銀行の銀行』である日銀不安は、日本の金融システム全体に波及します」

 おまけに金利が上がれば、国の借金である国債の利払いも増える。0・3%の超低金利に抑えられている現在の利払いはおよそ年10兆円だが、異次元緩和をやめれば上昇する。安倍政権の財政再建目標ですら、今から5年後の金利を4%、今の10倍以上と試算した。単純計算できないが、利払いだけで年数十兆円に膨らむ恐れをはらむ。事実上の財政破綻である。国民の莫大(ばくだい)な税負担や社会保障費の大幅削減は避けられない

 別のリスクもある。昨秋、日銀による大量買い入れで品薄になった国債の入札で、金融機関などからの「買い」が殺到。購入額が償還額を上回る事態が発生した。日銀は、そうした「マイナス金利」の国債をさらに高値で買い取っているとみられる。それらを満期まで持ち続ければ、含み損どころか実損が発生するのは必至だ。同様の事態が今後も頻繁に起きれば日銀のダメージは計り知れない。

 「いずれにせよ、もう日銀は緩和策をやめられない。『1億総玉砕』といったのはそういう意味です」と野口さん。小宮さんは「何が起きるか予想できない状況」とことわりつつ、「何とか国債の買い入れを少しずつ減らしていき、保有する国債を、ゆうちょ銀行などに買ってもらうしかないのではないか。国民も預貯金などの資産を外貨で持つといった防衛策が必要になるかもしれません」。

 進むも地獄、退くも地獄。高まる不安が杞憂(きゆう)に終わることを祈るばかりだ。


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