DJみならいのモデルガンブログ

20年近くだらだらと書いています。モデルガン、自転車などの記録。

マルシン ブローニング研究:その2

2006-11-19 15:12:00 | _ モデルガン
・マルシン FN M1910

懲りずに新規作成した旧型・新型それぞれのエキストラクターピンの図。太さは同じで、長さは旧型の方が長い。先細りの部分がブリーチに刺さりエキストラターを固定するのだが、ここを確保する所為で全体が長くなった、というよりは、効率の良い新型がサイズダウンに成功したとする方が正しい。新型は"くびれ"にエキストラクターが収まる。使い古された旧型では先がひん曲がってしまう場合もあるが、ここが太い(くびれの部分が細い)新型を使っての固定は確実。

新旧の互換性は、旧ブリーチに新型ピンのみ×。逆に、新ブリーチに旧型ピンを挿してみたが、ガタつきなく固定することができた。発火できる耐久性があるのかは疑問だが、わざわざ旧ブリーチを探すことも無いだろう。


2種類のグリップスクリュー受け(パーツ名グリップスクリューカラー)。やたら錆びているのは、初めて手に入れたジャンクのABS版の物で、HWとMFには新型が付属。歯車・円と形は違うが、どちらも役割は変わらず使い勝手も一緒。実物の形状が気になったので画像検索してみたが・・・どちらの形も存在するようだ。グリップの形状もよく見ると相違点がある。新型の方は、ネジ受けの収まる箇所にふちがあるのだ。


所有するHWとメタルフィッシュのスプリング類。HW版のストライカースプリングは調整のためか3巻ほど切られていた。前記事で、発火済みだからスプリングの色が曇っている、という風に書いたが、それは違う。発火ガスで錆びたのであれば、端だけが粉っぽくなったり茶色になったりするのが通常であり、全体が変色するとは考えにくい。仮にストライカースプリングはそうなったとしても、スコイルスプリングまで同じ色にはならないだろう。

エキストラクターピンから判断してHWよりMFの方が古いはずなのだが、それより前の旧ネジ受けと旧エキストピンを持つABS版のスプリングはHW版と同じ色であった。これは何故か。もしや、製造時期でなくキットと完成品の違いではないのか。同社のベレッタM84とモーゼルM712は、キットの外観がABS地、完成品はマット調であったと記憶している。M1910もそのような違いが無いとは言い切れない。


そして、製造時期で区別できなくなった最大の要因がこれ。ABS版のフレーム左側トリガーピン上の刻印である。トリガーガード付根のFNマークもそうだが、HW・MFのいずれにもこれが無いのだ。さらに、ABS版のバレルには銀メッキが施されていた。他2種のバレルは黒のABS製。

所有品に限定されるが、ここまでをまとめたのが以下。

-ABS/旧エキストピン,旧ネジ受け,茶スプリング,刻印有り,銀バレル
-MF/旧エキストピン,新ネジ受け,青スプリング,刻印無し,黒バレル
-HW/新エキストピン,新ネジ受け,茶スプリング,刻印無し,黒バレル

記録上HWは後発の製品であり、且つエキストピンの形状からして、この中で最も新しいと見て良いだろう。所有しているのはどれも中古であり、キットなのか完成品なのか定かでないので、現時点でこれ以上を断定することは難しい。そもそも中古で出回るM1910の箱付き完品は希少である。みんなキットを買ってバンバン発火したんだろうなぁ。



マルシン ブローニング研究:その1

2006-11-17 20:12:00 | _ モデルガン
・マルシン FN M1910

「続」というよりは「改」か。
先日、部品交換の為に分解しっぱなしだったメタルフィニッシュの組立をようやく終えた。過去の記事によれば、5ヶ月も部品単位で引き出しに収まっていたらしい。一度バラすと集中力が途切れるので、とんざした計画は数知れず。後半のまとめ用にネタは取っておくが、初回はブリーチ自壊のまとめ。デリケートな奴なのである。


私が入手した中古のM1910は、どれもことごとくブリーチが破損。新同扱いでもこいつが生きているとは限らないので、購入の際はぜひ排莢口を覗いて確認して頂きたい。

矢印の順に壊れていく過程。全て私物(泣)。左はメーカーから取り寄せた新品ブリーチお値段300・・・あ、違った、数日前に値段を確認したら500円に値上げされていた。他のパーツについては不明。

右端は、ジャンク状態の物に付属していたのだが、最初はまだ皮一枚で繋がっていたと思う。その後、空撃ち一発で臨終。しかし、撃ちまくりのジャンクでなく、未発火・観賞用空撃ち皆無(店員曰く)の中古で入手しても真中の状態だった。そこで私は、新品でも、ストライカースプリングのテンションが、脆い亜鉛の隔壁をジワジワといたぶってこのようになると推測。つまり、弄らなくとも、組み上げたままだと自然にブリーチが破壊されるということだ。

対策は、スプリングを切るより、いっそストライカー・ストライカースプリング・スプリングガイドの3パーツを取り除くのが手っ取り早いが、この場合、ストライカーのエジェクターとしての機能もキャンセルされる為、カートの装填・排莢不良が頻発する。取り付けは簡単なので、必要時のみ組んでやれば良いだろう。



新日本模型 SIG P210-6:その3

2006-11-15 20:21:00 | _ モデルガン
・MGC × SNM シグ P210-6 ノバックサイトカスタム

 トリガー、スライドストップ、ハンマーの3つには、特別に銀メッキが施されている。例えば、マルシンP210の銀メッキは皮膜が薄く、はっきりと銀色を主張しているのに対し、こちらはパーツ全体を包んでいるかのようで、やや乳白色がかっている。また、通常版のスライドストップは金型の経年劣化からか表面に凹凸が見られるが、メッキをかけられたノバックカスタムの物は幾分か滑らかである。したがって、新日本模型の銀メッキは、外観の向上により貢献していると言える。

 メッキの色合いの好みは人それぞれ。実銃で銀色をしている部分は、ステンレスや合金の輝きであったり、剥げたブルーの下に覗く地銀だったりとこちらも多様。だから、トイガンで再現される銀色のパーツも個性に溢れていて構わない。MGCのP210で銀メッキパーツとくれば、思いつくのがSFガンである。実銃では在りえないカラーリングも、玩具だからこそ存在しうる。再現度か、性能面か、はたまた遊び心か、メーカーの意図は自ずと製品に反映されるものだ。

 グリップはHW樹脂に赤茶色の塗装仕上げ。フレームから外して裏の地肌を見るまで、ひょっとしてABSなんじゃないかと疑っていた。この色はそうとしか思えなかったのだ。ダミーの木グリとしては赤が強い気もするが。・・・ひょっとしてこれはマルシンP210を意識しているのか? メッキパーツも殆ど同じ箇所で、グリップも茶系、そして名称も「-6」と共通している。パッケージには「ノバックカスタム」とは一言も書いておらず、あくまで「P210-6」なのだ。私なりの考えだが、ノバックサイトカスタムは、P210を欲した我々へ向けての新日本模型の回答ではないだろうか。

 しかし、「その1」でも述べたが、発売直前ですらWeb上の反応は冷ややかであった。おそらく、多くは基本設計の古さを嘆いているのだと思う。マズルの隙間さえ埋めてくれれば、と私は数度書いているしそう思っているのだが、現在の基準で比較すると、全体の形状は"なんちゃって"程度。プラ製第1号機に文句は付けないが、MGCのP210はとっくに現役を引退していてもおかしくないのである。それでも、こうして形を変え再販されることを、私は拍手をもって迎えたい。


 ただ、こんな様で商売が成り立つとは思えない。マルシン8mmとこちらでは、下手をすれば売り上げの桁が2つほど違うのではと心配してしまう。一般的に考えれば、今後金型を全面改修、或いは新規設計により、モデルガンP210の決定版を発売すべきであるし、それを望まれている方も多いことだろう。もちろんそれは私も同じだし、新日本模型も把握しているはずなのだ。どうにかして、起死回生の一撃を放てないものか。

 新日本模型製P210-6は、より戦闘的なスタイルに仕上がっている。マズルが厳つく感じるのは、上段の面取りが省かれたのが原因であると思われる。そもそも実銃のマズルに面取りなど端から無いので、説明上は本物の姿に少し近づいたことになる。が、近づいても遠いものは遠い。面取りを無くそうが、ノバックサイトを付けようが、本質は変わらない。何時ぞやのG誌にも書かれているが、"モデルガンとして遊べるP210はこれだけ"であり、今やそれのみが存在価値になってしまった。

 結論は、欲しくなければ手を出すな、である。実売17kなら他に幾らでも選択肢はある。私は欲しかったので満足しているが。MGCのP210はこんな形なのだから、気に入らなければ自分で手を入れるまでだし(できません(´・ω・`))、玩具的なアレンジと割り切っても良い。

 もし、これから新規設計で、メーカー純正の完全版モデルガンが発売されれば、それは間違いなくモデルガン史に名を残すだろう。マルシンはスイスアームズから実銃の図面提供を受け、独自の規格8mmBB弾を使用したガスブローバックガンを完成させた。昨今、タナカのシグシリーズがモデルガン化されているように、マルシンからP210のモデルガンが発売され、P210と言えばマルシンという日が来るかもしれない。来れば、「MGCのP210」の息は確実に止まる。一般ユーザーの立場から言えば、適者生存という言葉があるように、強者が生き残るのは当然である。しかし、あえて言うならば、P210を、 SP47/8を最初に市場へ送り出したMGCのブランドで新しいモデルガンが見たい。だから、来たるべきその日を、私は待っている。



新日本模型 SIG P210-6:その2

2006-11-13 23:53:00 | _ モデルガン
・MGC × SNM シグ P210-6 ノバックサイトカスタム

 パッケージはこれ
では無い。「SIG P210-6」の文字が私個人で付け足したように見えるが、それも違う。同社製「SIG P220 自衛隊バージョン」と同じ箱に、画像の文庫本サイズのステッカーを貼り、ノバックカスタム用に流用しているのである。ところが、自衛隊verの箱は灰と緑の配色であり、サーモンピンク調のステッカーと相性が悪く、はっきり言って不格好。P210なら通常版の黒い箱があるだろうに。

 取説も違う意味で気合が入っている。ペラペラとページをめくる冊子だった物が、文やイラストはそのままに、1枚の紙へまとめてしまったのだ。ご丁寧に「ご愛用者カード」まで一緒に印刷してある。切り取って使えってか。台東商事の住所を黒マジックで消してあっただけの連絡先は、さすがに新日本模型表記に修正されていた。あれ? 電話番号も書いといてくれよ・・・。


 マニュアルと、いつもの警告が書かれた半ピラ以外に、もう1枚たこ焼きの包み紙のような色をした専用パーツリストが封入されている。裏には、「P210のすべて」と題され、実銃のイラストが4機種描かれており、その内、'06年現在MGCから発売されていない「SIG P210-5 ターゲット・カスタム」と「SIG P210-6 ローランド・カスタム」については、今後のバリエーション展開を否が応でも期待してしまう。

 ノバックカスタム本体に関してだが、画像に写っているのが今回の目玉。新日本模型により新たに追加された刻印も魅力だ。・・・ちょっと太すぎやしないか? いや、実銃もこんなもんか。にしてもなぁ。

 パッケージステッカーに写っている製品には、トリガーガードの根元にSPG刻印が打ってあるが、私の個体だとスライド右側の「SIGARMS INC.」と「Tysohs Comer Virginia」の間にある。スライドストップ軸の右斜め上。量産品製造にあたって変更されたようだ。通常版はノバックカスタムと同じ位置で「MADE IN JAPAN SPG」だが、そもそも字体が違うので、単に「MADE IN JAPAN」を省略したのではないらしい。


 さて、ここまでは、出来はどうあれカスタムモデルの長所を紹介してきた。しかし、次は、明らかにカスタムによって発生した負の側面である。この傷は、新日本模型自らによるものだ。開封一番、ノバックサイトを見るさらに前に目に入り、購入店に連絡した。得られた答えは、スライドの加工過程において、画像部分で本体を固定した際に付いた傷であり、大小の差はあろうとも基本的には仕様の範囲内、という趣獅ナあった。某社の黄紙も(#^ω^)ビキビキものだが、破損が明確でありながら何故対策を講じないのか理解に苦しむ。防ぎようが無いなら、それこそ断り紙の1枚でも挿むなり、小売店に知らせるなりの対処があるのではないか。何とも腑に落ちない。



新日本模型 SIG P210-6:その1

2006-11-11 20:40:00 | _ モデルガン
・MGC × SNM シグ P210-6 ノバックサイトカスタム

 マルシンからガスブローバックのP210が出ると聞いた時は驚いたが、新日本模型のカスタムモデルが一般販売されるという広告を見て、ディスプレイの前で飛び上がったこちらに比べればどうということはなかった。国内初のプラスチック製モデルガン「SIG SP47/8」が発売されてからおよそ30年後、材質は異なるも、同じ構造で「ノバックサイト」なる物体を装着し、名称を変えて出回るなど誰に予想がついただろうか。と、半分は喜んでいいのか分からないな。とにかく、私はたまげたのである。

 しかし、ノバックサイトカスタムとは何ぞや? 軽く検索して、広告のイラストと最も近かったのがこれ。・・・うーむ、スライドはともかく、フレームは似ても似つかんのだが。さらに、ネット上の反応が悪い。皆は期待などしていなかったのである。それでも私は購入を止めなかった。なぜなら、新しいP210の感触が楽しみだったから。


 そして、品はやって来た。
開封一番、セールスャCントであるノバックサイトをしげしげと眺める。テックGSR程ではないが、お世辞にも良いと言えない。金色の地が少し見える。真鍮製なのだろうか。テックのノバックサイトは、スライド裏側からのネジ留め固定により六角ネジが死んでいたが、こちらの場合はおそらく生きていると思われる。断定できないのは、取り外しを試みていないのと、取説中、パーツ単品での注文はできず、スライド・フロントサイト・リアサイトの3点セットでずばりお値段9,450円、という表記になっているからである。それはさて置き、スライドの、このやっつけ仕事感バリバリの加工跡はいかんだろ。右側なんてセレーションすらまともに入ってないし。


 金属製別パーツになったフロントサイト。おおっ、後ろに比べ精悍で格好良いではないか。ホワイトの塗りが雑な気もしなくはないが、それを除いても及第点はある。最大のネックである例の隙間は目立つが致し方あるまい。他はとにかく、ここさえ直れば今でも十分通用すると思うのだが。MGC製P210の弱点をほじくるのは止すが、残念な箇所は、スライド上部のセレーションがボロボロなのである。へたれた手袋をはめてモデルガンを弄っているが、そのホコリが付着しているのではなく、実物も画像の調子なのだ。これでも私なりに彫刻刀で整えた、と書けば判りやすいか。

 特にスライドにおいて湯ジワが酷い。じっと睨んでいると、ゲシュタルト崩壊が起きて、湯ジワなのかどうか疑問に思えてくるほど全体に渡っている。私の最初のアルバイトはプラスチック部品の検品・組立であったが、もし作業中にこのスライドが流れてきたとしたら、不良品箱にほうるか、これってこんなもんですかと上司に訊ねたに違いない。


 こちらもカスタム対象のリコイルスプリングガイド。このような段差付ガイドの正確な名称は把握していないが、M1911辺りのカスタムガンで同じ類の物を見たような。普通の物より先の径が太い。通常版のように、ガイドとスライド穴の隙間から銀色のリコイルスプリングが覗いてしまうことは無くなった。だが、資料で確認する限り、実銃のSPガイドはさらに一回り太い。現状では、スライドを引いた際にバレルとの対比で力負けし、少々興ざめてしまうというのが率直な感想である。

 バレルクラウン上部のメッキが剥げているが、これはインサート装入時に誤って傷つけたものと思われる。また、バレル内のインサートを滑り込ませる溝の淵は、削れた銀メッキがめくれ上がっている。こうした細かな箇所にも、旧製品との仕上げの差というか、現況の苦しさが表れている。雲行きは怪しい。