DJみならいのモデルガンブログ

20年近くだらだらと書いています。モデルガン、自転車などの記録。

BWC Walther P990:_2

2007-08-31 22:35:00 | _ ASG
・KWC × B.W.C. ワルサー P990
 エアャ塔vの収納を要するエアコッキング版で再現を見送られたチャンバーの形状は実銃に倣った角型へ改善されたものの、誇張して刻まれたヘアライン(?)は東京マルイのP7M13スライドのようで蛇足。スライドと比較しても色調の差異と光の生温い反射が気持ち悪い。フロントサイトは白点入り、上部のセレーションは若干潰れているが中古なので参考にならない。

 グリップウエイト・・・でなくてバックストラップは着脱可能。マルゼン(ワルサー)純正との互換は未検証だが、小加工で取り付けが可能だと思われる。コッキングガンの同部も、素材の収縮か判明しないが苦し紛れに装着できた。直に手と金属が接触する部分は、皮脂が要因となる劣化の進行が速いと相場が決まっている。M1911系拳銃のグリップセフティ、ハウジングを始め、規制後のオートマチックトイガンにおいて金属の感触を味わえる数少ない部位が「背中」であろう。掌からの熱伝導を有効利用したガスブローバックガンが過去数種発売され、その合金部位が早期に傷む弱点が知られている。

 どちらがガスガンで、コッキングガンのマガジンかは明記せずともお判りか思う。現状、実銃のマガジンは上のタイプだと推測され、下はP99のオンラインマニュアル上のみで確認。初期に製造された物が該当するのだろうか。ご存知マルゼン製は上、KWCコッキング及びKTW(Y&P)製、M-トレーディング(HFC)は下の形。初のトイガンP99であるY&P製を揃って模倣した可能性も。コッキング版マガジンは弾の装填方法が特殊で何かと不便、ガスガンはというと本体一体型リップがBBを傷つけやすく要加工。ガスマグのEリング付バルブが何かに似ていると思ったらMGCのP7M13だった。P7ネタが多いことと新製品の噂への期待は多分関係無いね。

 コッキングインジケーターは省略されて間の抜けた顔に。何に似てる?リックディアス?(失礼) スライドとフレームの噛合わせは思い切りアレンジされているが、割と自然に処理できているのではないだろうか。分解の際、Y&PとHFCに馴れた身だとここを弄りたくなるが、KWC製の場合は一切関係ないので注意したい。私? ガチャガチャやりましたが?(泣)

 KWC製のP990は、機構を選ばずどれも独特のマズルフェイスが格好悪い上、パーティングラインがこれでもかという位残っていてマイナス。第一にマズルとリコイルスプリングガイドの間隔が狭く空気嫁みたいな顔に整ってしまっているのが泣ける。また、スライドは斜面が急すぎるのに加え、ガイド周りの半円が歪であり面長に印象付ける結果となった。唯一、ライフリングの表現は評価したい。

 テイクダウンラッチ、と見せかけてマニュアルセフティである。分解は右にあるピンを叩き出してスライドを前へ抜けば良い。KWCの公式サイトで一連の様子をWMV形式の動画にて公開しているので参考にされたし(Top→TECHNOLOGY→113HW ASSEMBLY)。

 トイガンセフティ作動時を1枚目の画像へ組み忘れてこの2枚目。

 ワルサーP99は、グロックに代表されるャ潟}ーフレイムオートの影響を少なからず受け、それにワルサーブランド独自のアイデアを付加して開発された拳銃である。グロック、具体的なモデル名を挙げるならばG17と比較した場合、P99の主たるアドバンテージは、射手に安全を直訴するデコッキングシステムと、個性に乏しいフレームにおいてユーザーのオリジナリティを補う交換式バックストラップの採用であろう。

 トリガーがコッキングャWションに位置しようと、意図しない激発を合理的に不可能へ追いやったグロックの3重セフティは、露出する激発のプロセスをトリガーに限定することで完成する、拳銃に対する射手の絶対支配を実現した。しかし、その過程で削ぎ落とされた安全を意識する射手の感情こそワルサーの着眼点である。百聞は一見にしかず、と言われるように、人は伝聞や知識より可視の現象を優先する。同じコッキングャWションで、トリガーセフティを備えるグロックと、「デコッキングボタンを押す」という行動の選択肢が存在するP99では、機能面において互角であったとしても、「安全」を「行動」で購入できるP99が心理面では有利なのではないだろうか。ただし、グロックは選択肢を捨ててまで合理性をあえて追求した、とも言えるが。

 バックストラップに関してはP99に軍配を上げるが、後発であるこちらの方がメリットの備蓄を容易とするので、フェアな勝負ではない。兎に角、グリップパネルを省略した肉薄な横幅と、小さな手(私の手は標準以下の大きさだと思う)でも楽に握ることのできる前後長を実現し、手の中で膨れるような複列弾倉特有の感覚を軽減するグリップは秀逸。親指を乗せる楔型の突起に加え、トリガーまでの距離を短縮する削り込み、そしてそれら以下は幾何学的な模様で構成されおり、他に類を見ない形状である。規則的に並ぶシボがどれだけの意味を持つか想像がつかない。滑り止めなら王道のチェッカリングが有効だろうし、表面積を増やしたければH&K USPのような斑の方が効率的だ。P99以降に発表されたワルサー製品のグリップが拳銃長物を問わず大抵この形であることから、ブランドを示す一種の記号のようなものではないかと思う。

 ワルサーP990であることを主張するKWC製トイガンのグリップフィーリングは、前述した通り賞賛の的として不足しない出来であるが、それを除外すれば玩具へ特化した点、例えば金属製バックストラップや、HW樹脂のフレーム、そして致命的なスライド造形が模型の役割を瓦解させ、果たして色物然とした製品に仕上がってしまったのは残念である。ただ、P99を含めたワルサーの雄であるマルゼン社が君臨する国内市場へ乱入させ、一部の愛好家を刺激したB.W.C.のラインナップはあながち間違っていない(社長の趣味なのか?)。コレクションへ加えれば、これまでと異なるベクトルからユーザーを楽しませてくれるはずだ。