DJみならいのモデルガンブログ

20年近くだらだらと書いています。モデルガン、自転車などの記録。

BWC SIG/Sauer SP2022:_2

2006-12-28 10:39:00 | _ その他ASG
・Cybergun × B.W.C. シグザウエル SP2022
 最初に触れておくと、この製品はエアコッキングガンである。一口に"エアコキ"と言っても、100円で手に入る駄菓子屋銃から、パートの給料も消し飛ぶ長物まで様々だが、価格や形は異なっても基本とする構造は同じ。なぜそこまで開きがあるのかと訊ねれば、自作も成せる単純な機構は条件により多様な製品を生み出すことができるからだと答える。トイガンの場合、それは「対象年齢」と「価格」である。

 近所の駄菓子屋で手に入る"てっぽう"の購買層は無論チビっ子たち。なけなしの小遣いを叩くか大人に買ってもらう。この時期に遊んでおかないと、反動で将来ガンマニアになる(笑)。東京マルイが販売しているハイグレードシリーズなど、価格にして3,000円手前までの物は、対象年齢がはっきり提示され、形も一層リアルになり、小学校高学年の児童から大人までが一緒になって楽しめる製品だ。アカデミーを始めとする海外からの輸入品も多い。

 ここから価格が4桁ギリギリまでの物は俗に"高級コッキングガン"と呼ばれ、古くは啓平社やマルシン、最近だとS2Sのヘビーウエイトモデルシリーズが該当する。10,000円のラインを越してくると、先に示した条件に「目的」が加わり、ハンドガンはもはや競技用のAPSシリーズまで絞られ、マルコシのスーパー9や、コレクション向きのKTW製ボルトアクションなど長物の独壇場になる。

 このように、エアコッキングガンは幅広い層に支持を得ている。評価するにあたって大切なのは、購買層を見極め、コストパフォーマンスを考慮し、用途を明確にすること。前置きが長くなったが、これらを踏まえた上でSP2022の細部を見ていく。

 左側刻印「SP2022」は実銃だと「SIG SAUER」のような囲まれた文字なのだが、こういうバージョンもあるのかもしれない。違和感は無いので一歩譲ろう。しかしフレームの凸刻印「MADE IN TAIWAN」が雰囲気ぶち壊し。アウト。「(ザウエルロゴ) FRAME MADE IN GERMANY」が正解。字体も全く違う。本来なら、分解用ノッチとスライドストップノッチの間に「SIGARMES INC (改行) EXETER-NM-USA」と入るが、それも無し。

 実は2つのノッチの間が狭すぎるのだ。エアピストンを組み込む制約上で分解法を再現する為に、ノッチの位置を変更せざるを得なかったのだろう。確かに、ノッチ間に刻印があるのと、外にあるのとでは印象も異なるはず。逆に好判断とするべきか。

 デコッキングレバーは可動も、機能は安全装置に限定されている。適度なクリック感があり、下げている時はトリガーを引けないが、その時もハンマーは平気で起こすことができるのでコックアンドロックが可能。実用性は皆無、というかリアルじゃないし。ブリーチピンはモールド。

 シグプロの特徴的なマズルフェイスは健在だが、デフォルトで個体差と思われる傷が付いていたので減点。特にスライドの平面部分は傷に敏感らしいので、扱うのに注意が要る。何故かエアコキは部屋で気軽に構えたりしてブン回すのが面白いのだが(端から見ると奇人だよねぇ)。インナーバレルは真鍮と見える。リコイルスプリングガイドは実銃もプラなので良し。

 ピカティニーレイルの他にSP2022で独特なのはチャンバーのロッキング部分だ。これの再現が無かったらおそらく私は購入をためらっていただろう。実銃において新設計のエキストラクターは、ローディング・インジケーターどころかスライドと一体のモールドに落ち着いてしまっているが、トイガンではよくあることなので気にしない。

 前作では不評だったので改められた新規格レイル。いや、前のSIG専用のが新規格だったのだが、他社との互換性が無く失敗に終わった。私はSP2340と2009の内に隠れた縦型レイルが好きなんだけど。下の楕円形凹部の意味は? 底に「651597」。どうせならここにメイドインタイワンを持ってくれば良かったのに。パーティングラインがそのままなのは実銃も同じ。

 右側刻印「SP 206 005 GN」。元はここがのっぺらなので、トイガンオリジナルか採寸した実物の刻印をそのままコピーしたかどちらかだと思う。チャンバー側面に「206005GN (改行) 6mm」とあるので後者が若干有力。「6mm」は「9mm」の改変。規制か訴訟回避(「9mm」って書いてあったから9mmの弾を突っ込んだのに撃てねぇぞゴルァ!とか)の為か。これも海外産トイガンではよくあること。

 フレーム凸刻印「READ MANUAL (改行) BEFORE USE」は英語が苦手な私でも何とか意味が読み取れる。実物通りだが微妙に字体が違うかもしれない。HKのUSP辺りにもこんな文が入っていた記憶があるが、ャ潟}ーフレイムオートでは警告表示が当たり前なのだろうか。

 スライドストップの軸の周りが窪んでいるので、分解時に指を痛めずに済む。スライドストップを爪でつまむとフレームを傷つけるし無駄な力が入ってかなわんので、"使える"デザインは歓迎である。その下、トリガーピンは驚くことにモールドで、実銃の「◎」型とも異なる。レメ[トを書くのに凝視するまで全く気が付かず、減点どころか感心してしまったが、実際のところ、トリガーピンは金属製の物が内部に挿入されているようだ。

 光を反射しているのが、グリップ上部に貼付されている「ENERGIE:0.5J MAXI」と印刷されたシールだ。昨今、国内でもいよいよ明確な規制が敷かれつつあるが、実銃が悠々と出回る外国は、既にパワー表記が明示されているらしい。それは構わないとして、本体にベタっとシールが貼ってあるのには閉口する。マルイのホップアップステッカーみたく針金で巻きつけるのではダメなのか。思い出せばWAのマグナテックも酷かったなぁ。今回は面唐ネので外さなかった。反省はしていない。

 このSP2022は、スライドとフレームがそれぞれ一体成型で、握ってもギシギシ歪まず頼もしい。これは海外製コッキングガンに多い特徴であるが、もう一つの長所に、亜鉛合金を主とする金属パーツの多用があり、日本に比べ生産コストが安上がりな、特に韓国、台湾製品に見られ、外観の向上と重量増加に貢献している。しかし、単にチベたくすれば良いという物でもなく、表面の荒れやテラテラした玉虫色の仕上げは、逆に安っぽいイメージを手に取った者へ与えてしまう。見た目だけの問題でなく、安物は耐久性も疑問視される。どんなに磨いても、ャbキリと折れてしまっては元も子もない。

 国産コッキングハンドガンの雄といえば東京マルイ製品が思いつくが、これの外装に金属は使われていない。ハンマーやトリガーなど、一定の強度が必要な部品は、ジュラコンという粘りのある樹脂が素材として選ばれている。プラスチックの仲間で、冷たい感触は無く、接着すら難しいのだが、必要十分な強度とコストパフォーマンスを備えている。サイバーガンのSP2022は、海外製としては珍しく金属外装パーツは使用されておらず、あるべき箇所には全てジュラコンでできた部品が配置されているので、まるでマルイの新製品を弄っているような錯覚がときどき起こる。メイドインタイワンさえ見なければ・・・。

 造型は悪くないし、むしろ全体の剛性と両立して製品に一体感がある。詳しくは分解の項に書くが、フレームに金属のインナーシャーシが入っていて、そのせいもあるだろうが、尻重でなくマガジンを外しても腑抜けにならない。また、梨地のフレームとツヤを抑えたスライドという上下で異なる表面処理は見事である。本体価格(単品販売不可)は40ユーロ、日本円だと6,000円と少しの"高級コッキングガン"に相当する。今時のエアコキならこのくらいは当たり前!と、考えによっては値段相応ないしはそれ以下の出来という結論になるが、判断するのはまだ早い。中身にこそ40ユーロの神髄があった。つづく。



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