どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

東映動画まつり2020 @ユジク阿佐ヶ谷(4)

2020年01月29日 22時30分00秒 | イベント・ライブ
「わんぱく王子の大蛇退治」終映後、ただちにロビーへ移動!

お楽しみである、小田部羊一さんのトークイベントです(^_^)

お話しを聞くのは今回で3回目ほどになりますが、本当に穏やかな紳士という感じで、とても和やかな空気に包まれるんです(*^o^*)

「わんぱく王子〜」は小田部さんが入社して2〜3年ほどの時、「動画」としてクレジットされているが、実際は「原画」として参加した想い出深い作品で、シネスコのワイドスクリーンで大きく映し出されることを強く意識して臨んでいたそうです(逆にTVアニメの時代は画面も小さいし誤魔化しも効くと思ったし、リテイクも大かた目をつぶっていたと)。

今回デジタルリマスター版をみて、あまりに鮮明で細かい粗までみえて冷や汗ものだと(^_^;

当時の東映動画はあらゆる作画から撮影まで部署が一箇所に集まり、まさにアニメの工場という感じで、楽しかったし色々と教わりもした。「わんぱく王子〜」は最初「虹のかけ橋」というタイトルだったが、格調高すぎて判りやすいタイトルになったと(これは「太陽の王子ホルスの大冒険」が企画当初「チキサニの太陽」だったことと同じですね)。

極彩色に溢れた日本画調の美しい背景は、美術の小山礼司さんの熱い想いで実現されたものだそうです。

キャラクターデザインは森やすじさんを中核とし、スタッフ皆でアイデアを出し合ったものですが、方向性としては埴輪をモチーフにしたとのこと...観ているこちら側としては自然に受け止めてますが、この作品で古代日本のイメージが定着したとも言えますよね。

制作にあたって、ディズニーを代表する西洋の「マス」(塊)に対し、東洋の「フォルム」(平面)を念頭においてデザインを進めていったとのことですが、今回の鑑賞で物凄く仰る意味が伝わってきた気がします。立体的な奥行き感ではなく、絵巻ものや屏風絵のような端正な世界観...川でイザナミがスサノオの身体を洗う美しいシーンが脳裏に浮かびます(^_^)

小田部さんが抱く「わんぱく王子〜」のイメージは串団子らしく、小さな場面(エピソード)一つ一つが塊で、それを串で繋いで一本の映画にしている...確かに元となる「古事記」は当時に起きた様々な事件や政治的な出来事を神話としてアレンジしている感があって、スサノオがツクヨミやアマテラスに会いにいく時の物々しさと警戒する様子は、どこか異様で穏やかでない雰囲気がありますし、本作にもそれがありありと映し出されています。

やはりクライマックスである八岐大蛇との格闘で、月岡貞夫さん、竹内留吉さん、彦根範夫さん達と一緒に創り出していったのが思い入れが深いと...。天翔る白馬アメノハヤコマも最初はもっとリアルな馬のフォルムだったが、ブラッシュアップしてシンプルなデザインになっていったそうです。

本作が世界に与えた影響で、現在の作品「サムライジャック」や「ロングウェイノース」があり、特に「サムライ〜」のアクションにそれを強く感じる...東映動画はスタイルではなく、方向を示したのだと。

60年近く経っても決して古くない...温故知新とも言えますし、小津安二郎さんも言う「古いくならないことが新しいことだと」に通じますね(^_^)

そんな中からタネを見つけて欲しいという小田部さんのメッセージでトークイベントは締めくくられました。

流行を追いかけるようなものは、結局は二匹目三匹目のドジョウを追うことでしかなく、アッと言う間に廃れて消えていく...東映動画の名作群(特に昭和30年代のもの)はそんなものに囚われていませんし、後世にキチンとした形で遺し伝えていく文化だと思います。

いいお話しが聞けて、今回も嬉しく大満足です(*^o^*)




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