80才のハツラツ日記

愈々名実共に80才を迎え、人一倍好奇心を燃やして、元気な行動の随筆日記です。

終戦が決まった後の8月20日に戦死?--占守島の攻防(3)

2010年10月07日 | シニア日記
一昨日のブログの続きです。占守島の攻防に関する書評等です。
(少し長いですが、お許し下さい)

文庫版の大野芳著の「・・・・、ソ連軍上陸す」については、
完全なノンフィクションであると書きました。

同島攻防の生存者である、軍使を務めた元将校の講演を元に、彼我の記録を探り、
他の生存者からの聞き取りなど、徹底した調査に基づいての記事です。

8月17日以降の日本側戦死者は約700名です。
武装解除後、ソ連側は「ダモイ、トウキョウ」(日本に帰す)と嘘をついて
生存者1万数百名を捕虜として、ナホトカ経由でシベリヤに送り、
厳寒の中で奴隷の如く過酷な労働にこき使ったのです。


この本の内容は日本とソ連の標準時間の差に迄気を配り、
詳細な戦闘の模様が具体的に記されていました。


片や、浅田次郎著の「終わらざる夏」は、これは小説です。
そろそろ終戦になるかも(陛下の意向を察した軍上層部)の予測の元に、

英語の通訳の出来る人間や、若い医学生、それに歴戦の強兵(つわもの)ながら、
指を欠落して、銃も打てない様な予備兵を刈り出して占守島に送り出す処から始まります。
その関わり合った人々の実に丁寧な人となりの描写、その抱く思想を述べ居ていますが、

もう確かに戦争否定の記述の外なりません。
実に様々な身分、立場の人が出て、当時の様を詳述します。

島の攻防戦については、やっと終章近くで、シーンが出て来ますが、
それもソ連兵の上司への報告や手記の如き体裁で書かれています。


著者が多年温めた題材かもしてませんが、生き残りの聞き取りは一人だけで、
大半は記録の調査でこの本が書かれたものでらしい。

何れも比較が出来ない別個の質の異なる書体のものですから、
良否を判定する事は出来ません。


以下は私の独断です。
もし、占守島で日本軍があっさり降伏していたら、ソ連軍はその勢いで、
北海道を占領していたかも知れない。ソ連の遣り方から想像して、
アメリカが沖縄を返した様にはならなかったでしょう。
つまり、北海道はソ連領になってしまった可能性が大きいのです。

何れにしても戦後に戦われた、最果ての地での激戦ーー戦死は、
我々に多大の感興(感銘と思考)を与えて呉れるものでありました。


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