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コスタリカ再訪(53) 主の祈り:神様に対する呼びかけ

2016-03-22 19:03:26 | コスタリカ
  義父の16回忌では『主の祈り』などが唱えられたが、『主の祈り』の冒頭は次にようになっている。
 Padre nuestro, que estás en el cielo. (天にましますわれらの父よ)
 『主の祈り(英語)』の冒頭はこうだ。
 Our Father, who art in heaven,
 英語版の art は be 動詞の直説法現在2人称単数の活用形である。今なら、“you are”と言うところを、かつては“thou art”と言っていたのである。
 スペイン語のほうも英語同様の言い方である。英語の art に当たるのが estás で、やはり、この場合の英語の be 動詞に相当する動詞 estar (語源的には stay と関連がある)の直説法現在2人称単数の活用形である。
 神様に対する呼びかけで始まる祈りの言葉であるが、英語では2人称親称の thou が使われている。スペイン語でも同様に、2人称親称の tú が使われている。神様には敬意を表しないといけないので、2人称敬称(活用は3人称単数)の usted でなければならないかとも思うのだが、usted だと、神様を身近に感じられないのだろう。敬意を表しても tú を使うものらしい。
 コスタリカを始め、2人称親称の tú を使わない地域があることはすでに述べている。
 
 『主の祈り』のスペイン語版はスペインのスペイン語を基に作られているものと思うが、tú を使わない地域でも、理解はできるし、いちいち tú を vos に置き換えるのも面倒だろうし、バチカンの許可も必要なのではなかろうか。
 ただ、幸いなことに、estás という活用形は vos を主語にしたときにも同じになっている(他の動詞でも、いつも同じになるとは限らない)。しかしながら、読み進んでいくと、やっぱり、主語は vos ではなく、tú だということがわかるのである。決まりきった祈りの言葉であるから、いつもお祈りしている人はいちいち疑問に思わないのかもしれない。疑問に思うのは信心が足りないからであろう。 
 
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