正義が勝つには時間がかかる、といったのは森田健作だったか。正義はともかく、良いことだろうと悪いことだろうと、何かしようと思えば時間がかかる。長い間やっているうち、考えるな感じろで行く方が結果が良いのは、人間も草木同様自然物、肝心な物はあらかじめ備わっているからで、感じたまま行くとその肝心な物が発動する仕掛けになっているのではないか?その肝心な物が〝己の中に仏はいる“の仏なのかは私にはわからないが、ここに至り最大の関心事ではある。 鍵っ子時代、中井英夫編纂の百科事典の別巻『日本の美術』の頂相あるいは頂相彫刻を、畳に腹這いになって飽きることなく眺めていた半ズボンの私を思い出すと、あれがシナリオのプロローグではなかったのか?最近かなり本気でそう考えている。