九段下の画廊でオイルプリントの個展をやった時のこと。何度か書いたし写真もアップしたが心霊写真を撮った。通りの向こうは靖国神社。地下では226事件の将校がビラを刷ったと聞いていた。それは尾を引きながら蠢き飛び回る白い煙状の物であった。フィルム式コンパクトカメラのフラッシュ撮影である。正体はともかく、フラッシュの一瞬にあれだけ動き回るのだから、人の目に見えなくて当然である。 前置きが長くなった。河本の女将さんは表情豊かでくるくるとよく変わる。それがまるで円生の高座での表情を追ったように見えたり、手振りを交えて民衆に訴えかける闘士のようであったり、大口あけて、これ以上ないような笑顔だったり。これこそ変化のスピードが速くて、帰宅後現像しては驚いている。知ってはいるお馴染みの表情のようでいて、他の常連が見ても新鮮であろう。また前述の心霊写真のように、変化するなかで、目でとらえきれない見たことのない顔もある。ほとんどのパターンを撮ったつもりでいて、また本日も、新たな表情を撮ってしまった。
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