明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

GW中  


フットボールの試合を観たあとは赤い色が違って見える。みたいなことをいったのは寺山修司だったろうか。オイルプリントは手技の要素が多く、データ通りやれば上手くいく類の技法ではない。プリント時の作者のコンデションが反映される。むしろそんなところが面白いと思っているが、細かくデータを取り写真制作をしてきた写真家にとっては勝手が違うかもしれない。 当初大正時代のテキスト通りやっているつもりなのに上手くいかなかった。今にして思うと、文章だけで解説しても、手技の微妙な部分は伝わってこなかったのであろう。それでもなんとか画が出たときには、画用紙を使うとか、ゼラチンを厚くひく、とかすっかり“石塚式” になってしまっていた。よって下部にインキング映像がリンクしてあるが、これも見る人が見ると、かなり変わった様子のはずである。 こういう技法であるが、だからこそ当てずっぽうではいけないだろう。私がかつて目指した陶芸の世界は、窯の中の炎の偶然が作用していたとしても、前提には技術があってこそであった。ここへきてようやく私も“運天まかせ”から脱却しつつあり、撮影の時点で完成作をイメージし、そこまで持っていくこともできた。それでも何故そうなったか、判らない作品もある。水と油の反発作用といえば簡単なのだが、そんな簡単な作用も、解明しきれたとはいえない。しかしそれは頭でなく、むしろ身体が解決する領分であろう。 画廊には連休中も、時間こそ適当ながら毎日顔を出している。人形を出品している県立神奈川近代文学館の『没後50年 谷崎潤一郎展』も鵜の木からだと近い。あわせて是非。

石塚公昭個展『ピクトリアリズムⅡ』
2015年4月25日(土)〜5月9日(土)
 

オイルプリント制作法

インキング映像

過去の雑記

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