明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



河童に最初に取りかかったのは昨年の今頃ではなかったか。作っているうち気が変わって色や髪の毛、甲羅など変えることになったが。 河童の三郎は姫神様に、自分にケガを負わせた人間どもに対して仇討ちを願い出る。自分勝手な三郎だが、空を飛べるのに、上から飛込んでは失礼だ、と長い石段を登ってくる。さらに案山子の着物を剥いで着てくる。そこである。 三郎の背負う甲羅は、最初があまりに亀っぽいので大分変えた。それでも身体からはみ出す程度に大きい。作るときは後で案山子の着物を着たらどうなるかまでは考えなかった。つまり甲羅を背負った上から着せると不細工なのである。もっと身体にフィットした、小さめの甲羅にさらに作り替えるか。または着物を着る際は、甲羅を背負っていないかのように作る。つまり鉄腕アトムが空を飛ぶ時は、赤いブーツはどこかへ消えている。というようなことである。物心ついた時にはすでに活躍していた鉄腕アトムのブーツの謎について、一度も見聞きしないまま今に至っている。そんなことを問題にさせない手塚治虫である。そう思えばこちらにしても幻想文学の鏡花作品である。あまり細かいことを気にするのもどうか。だがしかし、アトムの角や丈矢吹の前髪はいったいどちらを向いているのだ、ということはおかまいなしの漫画とはちがう。明日には決めよう。 それにしてもそろそろ考えなければならないが、表紙に相応しい作品は未だにできていない。河童ができていないのだからしかたがないが、せめてイメージだけでも、と過去に撮りためたデータをチェックしていると、これぞ、というカットが一つ見つかった。季節その他のこともあり、そのままで使える物ではなかったが、幸い都内で撮影したカットだったので、いずれ再撮することに。何もかも湿気って写る旧東ドイツ製レンズの出番である。何故か緑色が鮮やかに写る。梅雨時の河童用に設計されたレンズのようである。

過去の雑記

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