制作していて一番楽しいのは頭部がすでに完成していて、身体の制作に入り、乾燥させるところに持っていくまでである。乾燥後は足首から下を作る。靴を履いていれば靴を作り、細部の修正をして完成する。 楽しい部分は、盛り上がって制作する分、どう引き延ばしてもすぐに終わってしまう。要する時間は増々短くなってきている。締め切りがある場合は、ギリギリまで肝心の頭部に時間をかけられる利点はあるのだが。 河童と見つめ合う柳田國男。本作で私の独想があるとしたらこのシーンであろう。昨年からずっとこの競演シーンを手がけるのを楽しみにしていた。一つには気持ちのどこかに、柳田が盟友鏡花のこの作品を、『河童を馬鹿にしてござる』と評していたことを知っていたこともあるだろう。その分、自分勝手な河童の三郎に愛情深く接する翁として、柳田を描かなければならなかった。 それにしてもあっけなく乾燥に入ってしまった。このシーンを思いついた時、すぐK本に飲みにいってしまったことは何度か書いた。この時の私は、三国連太郎と佐藤浩市の共演を思いついた人物と同じ心持ちではなかったか?いや、多分大分違う。
過去の雑記
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