明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

入稿  


『回転禁止の青春さ』は青春歌謡の傑作だと、相変わらず飽きずに聴いている。「俺は行くのさマイペース。一人歌って一人で褒めて♪」私がマイペースという言葉を初めて知ったのは、小学生の時、渡された通知表に書かれているのを見たときであった。てっきり褒められていると勘違いし、通知表をもらうと、いつもは家に帰る覚悟ができずにグズグズしているのに、寄り道せずに帰ってしまった。作品を個展で発表するようになったころ、一人歌って一人で褒めるのもなんなので、せめてお前等だけは俺を褒めろと、友人に強制したものである。美樹克彦がTVに映るたび、前は目方誠という名前だった、と父はいっていた。
前日、時間も迫りヒヤヒヤしながら雨の中背景を撮影したが、これが大逆転の大成功であった。こうしてみると、先月すでに撮っていた背景は、面白くも可笑しくもない。危ない所であった。やはり迷った時は危ないほうに行くべきである。Yが“その筋”の人、ということが表現できたのも良かったが、アダージョの中でも、かなりの出来のような気がする。そう思うのも例によって、出来立てで目が慣れていないせいかもしれない。4時半にデータを送信し、5時に木場で待ち合わせた南陀楼綾繁さんをK本に案内する。ディープサウスの黒人だらけの店に、一人訪れた白人の気分にならないように。 昔『本とコンピューター』という雑誌で南陀楼さんに、宮武外骨の制作を依頼されたのは随分前になる。撮影したのは早稲田大学の図書館だったろうか、その頃は片手に人物像、片手にカメラで撮影していた時代である。その時のカットは拙著『Objectglass12』にも番外で載せた。出来たばかりのYの首をカウンターの上に置いて、Yのことや、出版の話などして過ごす。『洲崎パラダイス赤信号』の舞台、洲崎に行ってみたいということで、パラダイス入り口に立つ、私が昔アルバイトで作った恥ずかしの銅像や、舞台になった千草あたりを案内する。帰宅後、いよいよ明日で定年で仕事を終える運送会社勤務のKさんから「寂しいから来てよ」などと電話があり、徹夜で寝てないのに行ってみると、すで酔っ払い状態のT屋のHさんと笑っていた。帰ったのは午前4時に近かった。

過去の雑記
HOME

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )