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マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

仕組み商品,デリバティブでの被害者勝訴判決続出

2011年10月15日 | ⑨投資被害
昨年の3月から,仕組み債,仕組み投資信託,金利スワップ,通貨オプションについて,画期的な被害者勝訴判決が続いています。


①大阪地裁平成22年3月30日判決・・・株式会社の代表者に対する30年満期の為替連動型仕組み債の販売について錯誤無効を認めた(被告は野村證券)。

②大阪地裁平成22年8月26日判決・・・79歳の女性に対する日経平均株価連動のノックイン型投資信託の販売について違法性を認め,地方銀行に対し損害賠償を命じた(被告は池田銀行(現・池田泉州銀行))。

③大阪高裁平成22年10月12日判決・・・①の控訴審,原審維持。

④大阪地裁平成22年10月28日判決・・・不動産投資ファンドの販売について違法性を認め,証券会社に対し損害賠償を命じた(被告は高木証券)。

⑤東京地裁平成23年2月28日判決・・・②に続いて,81歳の男性に対する日経平均株価連動のノックイン型投資信託の販売について違法性を認め,証券会社に対し損害賠償を命じた(被告は静銀ティーエム証券)。

⑥福岡高裁平成23年4月27日判決(1)・・・株式会社に対する金利オプションの販売につき,違法性を認め,銀行に対し損害賠償を命じた(被告は三井住友銀行)。

⑦福岡高裁平成23年4月27日判決(2)・・・⑥同様,株式会社(しかも地方の中堅企業)に対する金利オプションの販売につき,違法性を認め,銀行に対し損害賠償を命じ,さらに金利スワップ契約自体が信義則違反により無効として銀行の反訴請求を否定した(被告は三井住友銀行)

⑧大阪地裁平成23年4月28日判決・・・④に続き,不動産投資ファンドの販売について違法性を認め,証券会社に対し損害賠償を命じた(被告は高木証券)。

⑨東京地裁平成23年8月2日判決・・・②⑤に続いて,79歳の女性に対する日経平均株価連動のノックイン型投資信託の販売について違法性を認め,信託銀行に対し損害賠償を命じた(被告は中央三井信託銀行)

⑩大阪地裁平成23年10月12日判決・・・輸入業者(株式会社)に対する通貨オプション取引の勧誘について違法性を認め,証券会社に対し損害賠償請求を命じた(被告は日興コーディアル証券(判決時の商号・SMBC日興証券))。


②,⑤,⑩は,投資信託の損害について,顧客の属性や銀行・証券会社の説明の内容によっては,すべてが自己責任であるわけではないことを認めたという意味で,先例としての価値が高いです。
高齢者が同様の物を買わされ損をしたが,自己責任と諦めていたという話は,少なくないです。

⑥,⑦,⑩は,中小企業のデリバティブによる損害についても,すべてが自己責任ではないんだという意味で,画期的な判決でです。
銀行・証券会社から勧誘されたデリバティブ取引により,損を出し,倒産の危機に瀕している中小企業が少なくないと言われていますので,特に重要な判決です。

一昔前は,証券会社や銀行を相手にしても,なかなか勝てないと言われた証券事件でしたが,最近は必ずしもそうではありません。


①~⑨の判決は,大阪地裁のものが多いです。
私が顔を出している大阪の証券被害研究会の先生方が頑張っておられるからです。
大阪の証券問題研究会では,おそらく日本の証券被害について最先端の議論がさせています。


この手の被害は,弁護士の敷居が高いのか,なかなか弁護士のところに相談にきません。
(実際には,お年寄りの場合は消費生活センターなど,中小企業の場合には税理士や経営コンサルタントのところに,弁護士の所に来るよりもかなり相談案件があるようです。)

しかし,上記のような裁判例もありますので,すぐに自己責任と諦めず,一度,証券問題を重点的に取り扱っている弁護士に相談に行かれることをお勧めします。
相談だけなら,そんなに高くないでしょうし,30分5250円なら,ダメ元でも話を聞く価値は十分あると思います。



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