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天使の分け前

2013年04月26日 16時47分19秒 | 洋画2012年

 ☆天使の分け前(2012年 イギリス、フランス、ベルギー、イタリア 101分)

 原題 THE ANGELS' SHARE

 staff 監督/ケン・ローチ 脚本/ポール・ラヴァーティ

     撮影/ロビー・ライアン 美術/ファーガス・クレッグ 音楽/ジョージ・フェントン

 cast ポール・ブラニガン ジョン・ヘンショウ シヴォーン・ライリー チャーリー・マクリーン

 

 ☆ほう、キルトの下はふりちんなのか~

 初めて知った。

 でも、ひとつ、知りたいことができた。

 女性の場合は、どうなんだろう?

 ま、そんな下世話な好奇心はおいといて、

 チャーリー・マクリーンという人は、

 ほんとに、テイスティングの世界で名を馳せてる人なんだね。

 この人をテイスティングの名人役で出演させて、

 その上で、オークションの結果、

 味のわからない金持ちの米国人に満悦至極の表情をさせるってのは、

 いや~勇気のいる皮肉だな~と。

 プラス、軽犯罪を犯したことで何百時間かの勤労奉仕をさせられている連中が、

 天使の分け前のさらに分け前を頂戴することで更生されるかといえば、

 そんなことあるわけないじゃんっていうのも、かなり効いてる。

 ただ、どうなんだろうね。

 チンピラだった青年が、

「恋人に子供もできたことだし、なんとか更生したい」

 とおもっているのに、グラスゴーのチンピラどものせいでなかなかできずにいるのは、

 とってもよくわかる設定で、たぶん、こういう青年は多いんだろうけど、

 その踏み台に選んだものが、

 自分にテイスティングの才能があるとわかったため、

 発見された300年前の幻のウイスキーの樽から、

 天使の分け前を盗んで金にすればいいじゃないか、

 っていうのは、どうなんだろう?

 ぼくのせちがらい、偏狭な、かつクソまじめな考え方でいくと、

 自分の置かれている理不尽な境遇から立ち直ろうともがいている青年が、

 どれだけ心やさしくて、どれだけピュアであっても、

 人生の旅立ちに、醸造所への不法侵入と盗難を選んだ場合は、

 それが発覚して、もう人生まっくらじゃんってな立場に立たされて初めて、

 ほんとうの意味での旅立ちになるんじゃないのかなっておもうんだけど、

 そのあたりのことはさらっと受け流してしまってもいいんだろうか?

 せっかく人並みはずれた才能があることがわかったんだから、

 最後の最後にはそれを公に活かして旅立つべきじゃないかな~と。

 ケン・ローチはさすがに上手で、

 人間には多かれ少なかれ裏があるんだよ、

 だからそのあたりの機微を承知した上で、人生のきっかけをお祝いしてやろうよ、

 てな感じの曖昧さを、小気味良さでくるんでる。

 もうひとついうと、醸造所に忍び込んで、幻のモルトを4本分盗み出すくだりは、

 ものすげー緊張させられました。

 このあたりは、ほんと、上手だよね。

 役者たちがみんなグラスゴーもしくはその周辺の出身ってのも、リアルでいいし。

 あ、そうそう。

 子供を授かったシヴォーン・ライリーは、気持ちのいい美しさでした。

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