◇将軍の娘 エリザベス・キャンベル(1999年 アメリカ 117分)
原題/The General's Daughter
監督/サイモン・ウェスト 音楽/カーター・バーウェル
出演/ジョン・トラボルタ マデリーン・ストウ レスリー・ステファンソン ジェームズ・ウッズ
◇ちょいと強引な動機
将軍の娘にして美しく有能な女性士官が、まっぱだかに剥かれて地面に磔にされたまま殺害されているのが発見される、というのは、たしかに、かなりセンセーショナルな出だしだ。
くわえて、品行方正で通っていた彼女が捜査途中で発見されてゆくVTRなどから、秘密の地下室やSM趣味に走っていた事実が暴かれてゆくってのもまた、中々猟奇的でぞくぞくする。
ところが、この晒し物になっていた娘の過去が暴かれるにしたがい、彼女がいかに軍隊内における男女雇用均等法の犠牲になり、脅され、殴られ、甚振られ、乱暴され、暴行され、強姦されていたかが知れ、さらには、過去にレイプされた事実が、父親の栄職のために隠蔽されていたって話になり、愛し、かつ尊敬していた父親に対する強烈な反抗と主張が語られてくると、ちょっと肩透かしを食らった感じになる。
レスリー・ステファンソンはがいうことなしに綺麗な分、一気に好奇心の昂揚が下がってくるんだ。
これは、たぶん、ぼくが下世話な人間だからかもしれない。
ま、主役の扱いが蚊帳の外になっているのが、ちょいと不満ではあるけど、これは探偵の宿命みたいなものかもしれないね。ただ、これって、なにも軍隊に限ったことじゃない。一流の企業でも、有名な進学校でも、ともかく名の知れた、プライドの高そうな集合体であれば、共通した動機になる。
人間の持っているプライドってやつは困ったもんで、そんなものは粉々にしてしまえば楽なんだろうけど、それができないのが人間なんだよねっていうのが、主題なんだろか?