2016年09月21日 国際 ハーバードビジネスオンライン
「環境最悪企業」と言われるモンサントを買収したバイエルの狙い
より一部抜粋
バイエルの狙いは新興国市場での拡大
これらのような「悪評」もあり、バイエルの本拠地であるドイツ人の90%はモンサントが開発したグリホサートを含んだラウンドアップ除草剤の使用に反対しているという。同様に大半のドイツ人は遺伝子組み換え種子(GMO)の導入にも反対している。それは他のEU加盟国においても同様の意見である。
今も交渉が進められている米国とEUの環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)は失敗に終わる可能性が強い。ドイツのガブリエル副首相兼経済・エネルギー相が8月にTTIPの交渉は実質的に成立しないと判断していると表明した。
TTIPの交渉がヨーロッパで支持を得ない理由は米国とEUで根本的に認定基準に考え方の違いがあるということ。そして、交渉が米国側の要望で余りにも秘密裏に進められて来たことにある。市民にとってどのような交渉内容が展開されているか全く不明の状態で進められていた。合意に至れば、市民が知らない内にGMOの種子も導入される恐れも出でくるため、根強い反対の声があるのだ。
今回のバイエルとモンサントの合意はまだ関係当局の承認が必要であるが、バイエルが考えているのはヨーロッパへのモンサントの製品を導入するということではない。ブラジル、インド、アルゼンチン、中国などの巨大市場をバイエルの開発能力を利用して拡大することを目標にしている。また合意が承認されれば、<世界の殺虫剤の28%、バイオテクノロジーで操作されたコーンの36%、大豆の28%のそれぞれの市場を占有できることになる>という。(参照:「La Nacion」)
文/白石和幸