WBOフェザー級タイトルマッチ
メキシコのWBO王者オルランド・サリド選手(Orlando Salido)に前王者のプエルトリカン、ファン・マヌエル・ロペス選手(Juan Manuel Lopez)が挑んだ両者にとって約1年ぶりの再戦は初戦同様ロペス選手の地元プエルトリコで行われ、サリド選手が10回TKOで勝利して王座防衛に成功しています。(体格比較)
フットワークと右フック・右ジャブのリードとでのリズムを意識したボクシングで戦おうとしているように見えたファンマ選手の立ち上がりですが、スタートから出てきたサリド選手のプレスに巻き込まれて意図するようなボクシングがなかなかできません。
サリド選手の真っ直ぐ伸ばす右ストレートや前戦でも猛威を振るったオーバーハンドの右、そして左フックなどの強く正確な攻撃がファンマ選手をキャッチする場面が続いていきます。2回には早くもサリド選手の右フックを浴びて軽く効いたように見えたファンマ選手。3回には左フックや左アッパーを浴びてロープに詰まる場面もあり、サリド選手のプレッシャーがペースを徐々に圧倒していきます。
5回にもサリド選手の強烈な左フックがクリーンヒットしてファンマ選手の動きが鈍ります。しかしここで詰めに出たサリド選手に対してインサイドからのコンパクトな右フックをカウンターで当ててファンマ選手が逆転のノックダウンを奪って試合が大きく動いて行きました。
初回KOを連発していたころよく見せていた力まず放たれるファンマ選手のパーフェクトな右フックを食って倒されたサリド選手のダメージは浅くはなかったように見えたのですが、続く6回に勝負を仕掛けたのはサリド選手でした。
6回開始からそれまで以上にプレスを強めてファンマ選手に迫り、強い左右を次々に決めて一気にダウンを挽回させてみせたサリド選手。あとのないファンマ選手も8回からは接近戦での打ち合いを仕掛けていくのですが、前に出て押し込んでいくのはファンマ選手だけれどもインサイドからの正確で強いショットを決めるのはサリド選手、という状況でよりダメージを蓄積させてしまい、さらに一気に出たことでスタミナも急激に消費してしまったように見えた地元の前王者。
10回開始早々にサリド選手のアッパー気味の右フックを浴びてグロッキーに陥り、そこからフォローされた左右アッパーも直撃されて痛烈なダウンを喫し、なんとか立ち上がったもののレフェリーが続行を許さず試合は終わっています。
ShoStats: Salido Doubles Juama in Power, Lands at 40%
9回終了時点でのスコアは86-84が2人、85-85が1人の2-0サリド。シロート採点87-83サリド。
ファンマ選手が見せた8回からの捨て身の逆襲。特に9回は強い攻撃を食い続けながらも形勢を引き寄せかけていて、サリド選手はこの局面かなり苦しかったようにも見えました。両目下の腫れもかなり悪化していました。
ただファンマ選手の攻勢ってのはスタミナ配分無視した一か八かの賭けで、この結果ってのはある意味必然だったのかもしれません。
サリド選手は38勝(26KO)11敗2分。ファンマ選手は31勝(28KO)2敗。
Salido vs Lopez II: Live Results and Round-By-Round Coverage(Scott Christ/Bad Left Hook)
Salido Knocks Juanma Out Again, This Time in The Tenth(BoxingScene)
Salido Stops JuanMa In 10th Round of Fight of the Year Candidate(Michael Woods/The Sweet Science)
SALIDO STUNS 'JUANMA' LOPEZ AGAIN TO WIN BY 10TH ROUND TKO(Ronnie Nathanielsz/PhilBoxing)
Same As It Ever Was: Salido Wins Another Classic in PR(Jake Donovan/BoxingScene)
Salido stops Lopez in 10th round of barnburner(Doug Fischer/Ringtv)
Juanma faces suspension until September 2013(Fightnews)
試合直後のリング上でのインタビューでストップに不満のファンマ選手がレフェリーに対して「あいつはギャンブルの問題を抱えてる」との暴言を吐いてしまってこれが大きな問題に。
その後ファンマ選手がレフェリーに謝罪したりもあったのですが、13年9月までのサスペンドということになりそうな状況？
口は災いの元とは言いますが… ただまぁ、ここいらで休養を取るってのは今のファンマ選手にとっては必要なことかも。この試合で受けたダメージもかなりなものに映りましたし、ゆっくり休んでリフレッシュして戻ってきて欲しいものです。
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隙もありますが、強いです。ジョニゴンとの打ち合いを観たいです(それぞれ次戦の結果次第ですが)。
一方のファンマですが、強引に攻めにいかず前回の反省が窺える立ち上がりだったんですが…
ガードが甘く、効いてしまうと無理な打ち合いに応じてしまうという欠点は相変わらずでした。
結果ありきかもしれませんが、以前に比べて左ストレートが軽くなってる気がします。
全体的に腰が浮いていて、腕の力だけで振り回しているというか。
管理人さんも仰るように、ダウンを奪った右フックは全盛期を彷彿とさせるシャープさだったんですが…
この一年でゆっくり体を休めながら、自分のスタイルを見つめ直し、是非またトップ戦線に帰ってきて欲しいです。
サリドのプレッシャーにも押され続けて、ロペスにとっては本当に苦しい試合展開だったと思います。
ダウンを奪った時に、あれ一発で決めていれば・・・。
しかし、サリドも非常にタフな選手ですね。かなり効いたように見えたのですが、あそこから挽回するのは流石です。
ロペス自身はレフェリーのストップに不満のようですが、自分には妥当なストップに見えました。
ナイスレフリーと言いたいです
仰るとおり前戦での経験を生かしたスタートに見えたファンマだったのですが、結局終わってみれば前戦と同じく、不利な博打を打った末の完敗。
多難な前途を思わせる試合内容でした。
ただ、幸か不幸かしばしの休養が与えられることになったので、これをいい機会だととらえて一からの出直しを図ってほしい、ってのも大いに同意です。
＞北陸の通りすがりさん
立ち上がりに見せていた「ボクシング」が上手く機能していなかったですからね。
サリドのプレッシャーに追い回される状況がそうさせた面も多分にあるんでしょうが、ファンマの戦い方が中途半端に見えましたし、ボクシングが機能していないからかパンチの不正確さも気になりました。
ゆっくり休んでリフレッシュが必要な時期なんだと思います。
＞Unknownさん
ストップは妥当だと私も強く思っています。
ダウン自体のダメージも深刻なものでしたし、それまでの試合展開を考えても妥当でした。
しばらく体を休めるとともに、じっくり今後の方向性を考えて再起して欲しいです。
ファンマの試合は、勝っても負けても、面白いです。
負けても、また試合を見たいと思います。
一からの出直しを図ってほしいです。
＞おもろーさん
ここ最近のファンマのボクシングは一か八かのギャンブルですからね。見方によっては面白い、ということになるのかもしれません。
今回はロペスが勝つだろうと思っていたんですが、この試合のサリドは本当に勇敢で見事なボクサーでした。
正直、１１敗という戦績だけでサリドを過小評価してたことを詫びたいです。
あの終始止まらなかったボディワークや手数には驚きました。
レス遅くなってスイマセン
戦績は当てにならない、というのは昔から繰り返し述べてきたとおりです。
前戦でダウン食ったりして、ぼちぼち下り坂なんだろうかとかも感じたんですがまだ31なんですよね。
実力的に安定長期政権も期待できると思っています。