dm_on_web/日記(ダ)

ダンスとか。

ダンス トリエンナーレ TOKYO '06(Fプログラム)

2006-11-06 | ダンスとか
青山円形劇場。
ダニエル・デノワイエ/ル・カレデロンブ 『DUOS POUR CORPS ET INSTRUMENTS』は昨日見たので欠席。
▼ルイーズ・ルカバリエ×今津雅晴 『Cobalt rouge Remix Duo 1』
Louise Lecavalier x Masaharu Imazu.
振付/テッド・ロビンソン Tedd Robinson。
ロビンソンは数年前に「CJ8」というイヴェントで川野眞子と笠井瑞丈に振付けた作品を見たことがある。舞台上手にミュージシャンがいてサックスとサンプラーを使って生演奏する他、途中でウルフ『オルランド』の仏訳からの朗読が入る。中央奥に白いドレスのような衣装があり、ルカヴァリエと今津がこの中に入って細々としたやり取りをする出だしの後、即興的な細部に富んだデュオに移行する。動きの量は多くなく、また体幹をあまり使わずに四肢の末端方向へ偏っているので派手さには欠ける振付だが、余分な力が抜けたルカヴァリエの筋肉質の体は奇妙に軽やかで、きわめて細かく割れているためにちょっとした動きにも「密度」が感じられる。滑らかな線のフォルムが浮き立って来たり、鋭い一閃が残像を残したりするのではなく、ごく小さな部品が緻密に噛み合ってチャリチャリと音を立てながら着実に作動するさまを余すところなく伝えてくる種類の動きだ。かと思うと、目で追っているのにいきなり視線が追い抜かれ、見逃したその動きを数瞬遅れて自分の体が目に教えてくれるということも何度かあった。今津もよく付いていっているのだが、もし真剣を持って立ち会いでもすれば一瞬で勝負が決まってしまうだろうと思った。23分。
▼ルイーズ・ルカバリエ×エリック・ボーシェーヌ 『Cobalt rouge Remix Duo 2 -Lula and the Sailor-』
Louise Lecavalier x Eric Beauchesne.
振付/テッド・ロビンソン Tedd Robinson。
パートナーを変えてもう一番。黒い衣装もそうだが、全体に武術的な動きで、やや腰を落とした素早い移動と、短い線を強く刻み込むダイナミックな振付。シンプルなインパクトはあるがもう少し広がりが見たかった。11分。
▼ルイーズ・ルカバリエ 『"I" Is Memory』
振付/ブノワ・ラシャンブル Benoit Lachambre。
ラシャンブルはメグ・スチュアートとのデュオや、オン・ケンセンの演出によるソロなどを見たことがある。ヴィデオダンスでマリー・シュイナールと共演したりもしていた。イスの上にスポーツウェアがあり、その後ろにバーレッスン用のバー。ゆっくりそこに近づいて、ウェアとスニーカーを身に付け、さらに延々と低速で取り留めなく動き続ける。ルカヴァリエに対する観客の期待をかなり平凡な仕方で裏切る作品だが、何か始まりそうで始まらない焦らし上手なテクノが効果的で、焦らされる自分をいつしか楽しんでしまっていた。様々に姿勢を変化させ、イスに絡んだりバーに絡んだりしながら、決してフレーズらしきものを生み出さず(これだけ重心を移動させ関節を使っていながら、動きからは分節が消去されているのが凄い)、どこへもたどり着かない一続きの動きが、ポッピングとか舞踏とかいった既成の様式に寄りかかることなく行われる。とはいえ終盤近くにはちょっとした盛り上がりがあって、ルカヴァリエはブレイクダンスのような動きを鋭利に繰り出してみせる。43分。
コメント