一昔前までは「食物アレルギー発症が心配な赤ちゃんは、その摂取開始を遅らせた方がよい」という指導がされていました。
近年、口から食べてもアレルギー反応を誘導せず、しかし皮膚から浸入するとアレルギー反応を起こすようになることがわかってきました。
それを受けて、「避けるのではなく早期から食べさせた方がよいのではないか?」ということが検討され、実際に調査したらこれが正しいと証明されるに至りました。
そして今回、日本小児アレルギー学会による提言につながりました。
その内容は「アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、皮疹をコントロールできた状態で卵を早期開始すると卵アレルギーの発症リスクが減る」というものです。
ここで注意すべき点がいくつかあります。
・「皮疹のコントロールできた状態」が重要です。湿疹で痒がっている状態では、皮膚バリア機能が低下しており、どうしてもそこからのアレルゲン侵入が阻止できませんので早期摂取開始の効果が期待できません。
・「卵アレルギーの発症リスクが減る」とは、ゼロになるわけではありません。また、卵以外(例:牛乳、小麦)ではまでデータがありませんので推奨できません。
・既に卵アレルギー症状がある赤ちゃん(卵を食べると蕁麻疹が出る、湿疹が悪化する)は対象外です。検査で陽性であっても、症状がでない場合は対象になります。
というわけで、無条件に「食べさせてもいい」という単純なことではなく、やはり主治医(アレルギー専門医)の指導下に行うことが安全ですね。
■ 鶏卵アレルギー発症予防に「生後半年から鶏卵の微量摂取を」
(2017/6/16:日経メディカル)
日本小児アレルギー学会は2017年6月16日、「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」を発表した。提言では、アトピー性皮膚炎の患児には、鶏卵アレルギーの発症を予防するため、生後6カ月から医師の管理下で鶏卵の微量摂取を開始することを推奨した。これは、アトピー性皮膚炎の乳児では、鶏卵の摂取が遅いほど鶏卵アレルギーを発症するリスクが高まるというエビデンスに基づいたもの。
従来、食物アレルギーの検査として、特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストが行われているが、これらが陽性だったとしても、アトピー性皮膚炎が寛解していれば生後6カ月後から微量の鶏卵摂取を開始できる。「安易に離乳食から食物除去され、摂取開始時期が遅くなることで食物アレルギーを起こしている状況を変えたい」と日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会委員長の海老澤元宏氏は説明した。
この提言は、成育医療センターなどが2016年に発表したPETITスタディーの結果などを踏まえたもの。PETITスタディーでは、アトピー性皮膚炎と診断された乳幼児を、生後6カ月から鶏卵を摂取させた群と生後12カ月までは鶏卵を除去した群とに分け、その後の鶏卵アレルギーの発症率を調査。その結果、12カ月群の発症率は37.7%だったのに対し、6カ月群では8.3%と有意に低かったことが報告されている。
微量の加熱卵摂取が導入できたあとは、従来通り「授乳・離乳の支援ガイド」に準拠して鶏卵を含む離乳食の摂取を進める。経過中にアレルギーを疑う症状が出現した場合は、「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した精査を進め、その後の摂取継続の可否を診断する。
なお提言では、「鶏卵の摂取を開始する前に、アトピー性皮膚炎を寛解させることが望ましい」としているが、この「寛解」とは皮疹が消失した状態を指し、外用薬を使用しているかどうかは問わない。また、「すでに鶏卵アレルギー(即時型、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)の発症が疑われる乳児に安易に鶏卵摂取を促すことは極めて危険」とし、『食物アレルギー診療ガイドライン2016』に準拠した対応を求めている。
近年、口から食べてもアレルギー反応を誘導せず、しかし皮膚から浸入するとアレルギー反応を起こすようになることがわかってきました。
それを受けて、「避けるのではなく早期から食べさせた方がよいのではないか?」ということが検討され、実際に調査したらこれが正しいと証明されるに至りました。
そして今回、日本小児アレルギー学会による提言につながりました。
その内容は「アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、皮疹をコントロールできた状態で卵を早期開始すると卵アレルギーの発症リスクが減る」というものです。
ここで注意すべき点がいくつかあります。
・「皮疹のコントロールできた状態」が重要です。湿疹で痒がっている状態では、皮膚バリア機能が低下しており、どうしてもそこからのアレルゲン侵入が阻止できませんので早期摂取開始の効果が期待できません。
・「卵アレルギーの発症リスクが減る」とは、ゼロになるわけではありません。また、卵以外(例:牛乳、小麦)ではまでデータがありませんので推奨できません。
・既に卵アレルギー症状がある赤ちゃん(卵を食べると蕁麻疹が出る、湿疹が悪化する)は対象外です。検査で陽性であっても、症状がでない場合は対象になります。
というわけで、無条件に「食べさせてもいい」という単純なことではなく、やはり主治医(アレルギー専門医)の指導下に行うことが安全ですね。
■ 鶏卵アレルギー発症予防に「生後半年から鶏卵の微量摂取を」
(2017/6/16:日経メディカル)
日本小児アレルギー学会は2017年6月16日、「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」を発表した。提言では、アトピー性皮膚炎の患児には、鶏卵アレルギーの発症を予防するため、生後6カ月から医師の管理下で鶏卵の微量摂取を開始することを推奨した。これは、アトピー性皮膚炎の乳児では、鶏卵の摂取が遅いほど鶏卵アレルギーを発症するリスクが高まるというエビデンスに基づいたもの。
従来、食物アレルギーの検査として、特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストが行われているが、これらが陽性だったとしても、アトピー性皮膚炎が寛解していれば生後6カ月後から微量の鶏卵摂取を開始できる。「安易に離乳食から食物除去され、摂取開始時期が遅くなることで食物アレルギーを起こしている状況を変えたい」と日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会委員長の海老澤元宏氏は説明した。
この提言は、成育医療センターなどが2016年に発表したPETITスタディーの結果などを踏まえたもの。PETITスタディーでは、アトピー性皮膚炎と診断された乳幼児を、生後6カ月から鶏卵を摂取させた群と生後12カ月までは鶏卵を除去した群とに分け、その後の鶏卵アレルギーの発症率を調査。その結果、12カ月群の発症率は37.7%だったのに対し、6カ月群では8.3%と有意に低かったことが報告されている。
微量の加熱卵摂取が導入できたあとは、従来通り「授乳・離乳の支援ガイド」に準拠して鶏卵を含む離乳食の摂取を進める。経過中にアレルギーを疑う症状が出現した場合は、「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した精査を進め、その後の摂取継続の可否を診断する。
なお提言では、「鶏卵の摂取を開始する前に、アトピー性皮膚炎を寛解させることが望ましい」としているが、この「寛解」とは皮疹が消失した状態を指し、外用薬を使用しているかどうかは問わない。また、「すでに鶏卵アレルギー(即時型、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)の発症が疑われる乳児に安易に鶏卵摂取を促すことは極めて危険」とし、『食物アレルギー診療ガイドライン2016』に準拠した対応を求めている。