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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

今年の花粉症はすごい。

2011年03月10日 15時55分48秒 | 小児科診療
 今週に入り、目を赤く腫らした子どもたちの受診が増えてきました。
 みな、スギ花粉症です。
 今年の症状は例年と比べてひどい傾向があり「大量飛散」を実感してます。

 例年、怪しい症状が出ると「花粉症かどうか検査してください」と希望される患者さんが多いのですが、今年に限っては検査希望者が少ないので不思議に思っていました。
 その理由は「症状がとにかく強いので迷う要素がない」からでしょう。
 昼は鼻水が止まらず、目が痒くて腫れるほどこすり、夜は鼻づまりが苦しくて眠れず・・・もう花粉症以外の何者でもありません。
 検査よりも「この症状をなんとかして!」という切羽詰まった状況です。

 先日、妊婦・授乳婦さんの花粉症治療について書きましたが、今日は一般患者さんの治療について記してみます。

 花粉症の薬物治療は内服薬と局所療法(点眼・点鼻)を組み合わせて行います。

 内服は抗アレルギー薬。

 以前は効く薬ほど眠くなるのが玉に瑕だったのですが、近年、有効かつ眠くならない薬が次々開発されてきました。なかには飛行機のパイロットにも許可されている薬もあり、かぜ薬の鼻水止めで眠くなりやすい方はご相談ください。

 点眼・点鼻薬は軽症なら抗アレルギー薬、中等症以上ならステロイド薬。

 点眼もしみるタイプとしみないタイプがあり、お好みで選べます。
 私はしみない方が好きですが、たまに「しみないと効いた感じがしない」という患者さんがいらっしゃいます。
 重症者で使うステロイド点眼薬は副作用として眼圧が上がることがありますので、眼科の先生の管理の下で使う必要があります(当院では処方していません)。

 点鼻薬は液体タイプと粉タイプがあります。シュッと噴霧するのと同時に鼻をすすって奥まで薬を送り込む必要がありますが、鼻が完全に閉塞しているとすすることさえできませんから、鼻閉が強いときは粉タイプを選択します。
 なお、点鼻のステロイド薬は長期間使用すると鼻出血が多くなる程度で深刻な副作用は報告されていません。

 以上が小児科(あるいは内科)で行うスタンダードな薬物療法です。
 これでも症状が治まらず辛い日々が続くときは、一番強い症状が出る場所の専門医(目なら眼科、鼻なら耳鼻科)へ相談してください。

 当院ではスタンダードの治療法の他に、漢方薬を使用しています。
 小青竜湯、越婢加朮湯、葛根湯加川芎辛夷、苓甘姜味辛夏仁湯、麦門冬湯、柴胡桂枝湯・・・などを症状・証(虚実・寒熱など漢方的診断法)に基づいて使い分けます。
 概して眠気を覚ます薬が多く、西洋薬と併用すると眠気が消えて効果倍増、を期待して処方しています。評判は上々(?)かな。

 なぜ漢方薬を使いようになったかと云えば、それは自分自身が飲んで効いたから。
 花粉症を発症した30歳台は抗アレルギー薬を飲んでいましたが、症状を抑える程まで効かず、点眼・点鼻薬が手放せませんでした。
 某漢方セミナーを聴講して花粉症は漢方薬の得意分野であることを知り、早速自分で試したところこれがよく効きました。点眼・点鼻薬が必要なくなりました。
 それから患者さんにも処方するようになったのです。

当院HP「花粉症」も御参照ください。

 私自身の現在の治療は・・・朝はアレグラ、夜はアレロック、それに漢方薬の苓甘姜味辛夏仁湯を併用(大量飛散を見込んで最初から併用)し、点眼・点鼻薬も使って今のところ何とかなってます。
 もちろん、外出時はマスクとゴーグル型サングラスを着用して完全防備(鏡を見ると怪しい中年男・・・)。

<ステロイド薬との賢いつきあい方>
 重症のアレルギー疾患の治療はステロイドの力を借りる必要があります。喘息の治療は吸入ステロイド、アトピー性皮膚炎はステロイド軟膏、花粉症ではステロイドの点眼・点鼻薬などなど。
 ここで注目すべきは、「アレルギー疾患に使うステロイドは内服薬(全身投与)ではない」点です。
 内服薬は腸から吸収されて全身を巡るので全身性副作用が問題になります。そこで病気のある場所だけにステロイドを使う局所療法(吸入・軟膏・点眼・点鼻)が発達してきたのです。

 中には注射薬(白い混濁液の「ケナコルト」)を使う先生がいらっしゃいますが、あの薬はステロイドなので全身性の副作用が心配な方は避けるべきでしょう(当院では使いません)。
 また、内服でも「セレスタミン」という薬もステロイドなので、他の治療でよくならない場合に限り最後の手段として使います。
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