今シーズンは早々とインフルエンザ患者が発生したと前回のブログで記しました。
今度はRSウイルスです。やれ忙しい。
昨夜「RSウイルスが流行中」というニュースがNHK他で流れました。
■ RSウイルス感染症、去年の2.7倍(2012年9月25日 17時39分、NHK)
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が全国で急増し、この時期としては、統計を取り始めて以降、最も多かった去年の2.7倍に上る異例の流行となっていることから、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼びかけています。
RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、かぜに似た症状の出る病気で、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、初めての感染では肺炎や脳炎を引き起こして重症化することがあります。
国立感染症研究所によりますと、今月16日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は3789人で前の週を1000人余り上回りました。
この時期としては統計を取り始めた平成15年以降、最も多かった去年の2.7倍に上る異例の流行となっています。
都道府県別に見ると、福岡県が643人、東京都が358人、宮崎県が353人、大阪府が225人など、都市部のほか九州で多くなっています。
RSウイルス感染症の流行は例年12月ごろにピークを迎えることから、患者数は今後もさらに増えると見られています。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「流行は、これから患者数が少ない地域に拡大していくと考えられる。0歳児の場合、呼吸状態が悪化して入院が必要になることも珍しくないので、熱が下がってもせきが続いているようであれば早めに医療機関を受診してほしい」と注意を呼びかけています。
やはり・・・。
最近、乳幼児でゼーゼーしたり気管支炎~肺炎になるケースが増えてきている印象がありました。先日肺炎で病院へ紹介入院となった患者さんも「RSウイルス陽性」とのこと。
RSウイルスは本来冬中心に流行する呼吸器感染症で、乳幼児は年齢が小さいほど気管支炎になりやすく、とくに生後3ヶ月くらいまでは重症化しやすいことで知られています。大人が罹ってもふつうの風邪で済んでしまうのも特徴です。
■ 当院HP「かぜ」ページの「RSウイルス感染症」を参照
風邪症状のある高齢者が「孫が生まれた」と喜んで面会し、その後お孫さんが気管支炎を起こして入院してしまうという例を時々経験しますのでご注意を。風邪症状のある大人は安易に赤ちゃんに近づかないようにしてください。
また、乳幼児が集団で生活する保育園・幼稚園ではやっかいな感染症です。
「手洗い・マスク着用」とテレビでは感染対策を謳いますが、小さな子どもには限界があり、みんな体をすりあわせて遊ぶので、感染拡大を防ぐことは至難の業。
究極の感染対策は「個別保育」で接触を避けることですが、現実的に無理ですね。
園でRSウイルス陽性患者が発生すれば、その時に風邪症状のある園児たちはほとんどRSウイルスに感染していると考えて差し支えないでしょう。子どもを預けている親御さんは「うつっても仕方ない」という覚悟が必要です。
なお、感染すれば全員が重症化するわけではありません。
生まれて初めて感染した赤ちゃんでは、ふつうの風邪で終わるのが約70%、ゼーゼー気管支炎を起こすのが30%、呼吸が苦しくなり入院治療に至るのが約3%と云われています。
2年目の冬以降に罹っても、最初よりも軽く済むのがふつうです。
そして、乳幼児が感染すると、感染力(他人にうつす力)は数週間続きます。症状がおさまっても感染力はゼロにはなりません。よく保育園・幼稚園から「治癒証明」を要求されることがありますが、感染力ゼロを保証するには1ヶ月の期間が必要です。
1ヶ月園を休ませるなんて無理・・・よって、この場合は「治癒証明」ではなく「登園許可」という内容が現実的です。「感染力は少し残るけど元気になったので園生活に戻れます」くらいの意味です。
TVでは「感染が疑われたら早めに病院を受診しましょう」と勧めています。
しかし小児科医にとって、RSウイルスは効く薬がないことで有名な悩ましい感染症なのです。
ウイルスなので抗生物質は効きません。
早期乳児に鼻水止めを使うと、かえって粘稠になり苦しくなることもあります。
家庭療養で一番有効な治療は「鼻水を吸って取る」こと。市販の赤ちゃん用鼻吸い器を購入してせっせと吸ってあげてください。
今度はRSウイルスです。やれ忙しい。
昨夜「RSウイルスが流行中」というニュースがNHK他で流れました。
■ RSウイルス感染症、去年の2.7倍(2012年9月25日 17時39分、NHK)
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が全国で急増し、この時期としては、統計を取り始めて以降、最も多かった去年の2.7倍に上る異例の流行となっていることから、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼びかけています。
RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、かぜに似た症状の出る病気で、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、初めての感染では肺炎や脳炎を引き起こして重症化することがあります。
国立感染症研究所によりますと、今月16日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は3789人で前の週を1000人余り上回りました。
この時期としては統計を取り始めた平成15年以降、最も多かった去年の2.7倍に上る異例の流行となっています。
都道府県別に見ると、福岡県が643人、東京都が358人、宮崎県が353人、大阪府が225人など、都市部のほか九州で多くなっています。
RSウイルス感染症の流行は例年12月ごろにピークを迎えることから、患者数は今後もさらに増えると見られています。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「流行は、これから患者数が少ない地域に拡大していくと考えられる。0歳児の場合、呼吸状態が悪化して入院が必要になることも珍しくないので、熱が下がってもせきが続いているようであれば早めに医療機関を受診してほしい」と注意を呼びかけています。
やはり・・・。
最近、乳幼児でゼーゼーしたり気管支炎~肺炎になるケースが増えてきている印象がありました。先日肺炎で病院へ紹介入院となった患者さんも「RSウイルス陽性」とのこと。
RSウイルスは本来冬中心に流行する呼吸器感染症で、乳幼児は年齢が小さいほど気管支炎になりやすく、とくに生後3ヶ月くらいまでは重症化しやすいことで知られています。大人が罹ってもふつうの風邪で済んでしまうのも特徴です。
■ 当院HP「かぜ」ページの「RSウイルス感染症」を参照
風邪症状のある高齢者が「孫が生まれた」と喜んで面会し、その後お孫さんが気管支炎を起こして入院してしまうという例を時々経験しますのでご注意を。風邪症状のある大人は安易に赤ちゃんに近づかないようにしてください。
また、乳幼児が集団で生活する保育園・幼稚園ではやっかいな感染症です。
「手洗い・マスク着用」とテレビでは感染対策を謳いますが、小さな子どもには限界があり、みんな体をすりあわせて遊ぶので、感染拡大を防ぐことは至難の業。
究極の感染対策は「個別保育」で接触を避けることですが、現実的に無理ですね。
園でRSウイルス陽性患者が発生すれば、その時に風邪症状のある園児たちはほとんどRSウイルスに感染していると考えて差し支えないでしょう。子どもを預けている親御さんは「うつっても仕方ない」という覚悟が必要です。
なお、感染すれば全員が重症化するわけではありません。
生まれて初めて感染した赤ちゃんでは、ふつうの風邪で終わるのが約70%、ゼーゼー気管支炎を起こすのが30%、呼吸が苦しくなり入院治療に至るのが約3%と云われています。
2年目の冬以降に罹っても、最初よりも軽く済むのがふつうです。
そして、乳幼児が感染すると、感染力(他人にうつす力)は数週間続きます。症状がおさまっても感染力はゼロにはなりません。よく保育園・幼稚園から「治癒証明」を要求されることがありますが、感染力ゼロを保証するには1ヶ月の期間が必要です。
1ヶ月園を休ませるなんて無理・・・よって、この場合は「治癒証明」ではなく「登園許可」という内容が現実的です。「感染力は少し残るけど元気になったので園生活に戻れます」くらいの意味です。
TVでは「感染が疑われたら早めに病院を受診しましょう」と勧めています。
しかし小児科医にとって、RSウイルスは効く薬がないことで有名な悩ましい感染症なのです。
ウイルスなので抗生物質は効きません。
早期乳児に鼻水止めを使うと、かえって粘稠になり苦しくなることもあります。
家庭療養で一番有効な治療は「鼻水を吸って取る」こと。市販の赤ちゃん用鼻吸い器を購入してせっせと吸ってあげてください。
今、2歳の娘が正にRSウィルス感染症かな?という状況にあります。ただ、街の小児科での診断のためか、検査キット等は使っていません。
以前からそうなのですが、インフルエンザが疑われるような症状の時も検査キット等を用いての検査は行われずに薬が処方されました。
一般的に、街の小児科では病原菌を特定するような検査は望めないものなのでしょうか??
(よくTVのニュース番組で子供の鼻に綿棒のような物を入れて検査している映像を見るのですが、そういった検査を今までかかりつけ医にして頂いたことがありません。)
迅速診断を行う意義・価値について記してみます。
現在、外来で施行可能な迅速診断検査には以下の7つがあります;
(○は採用、×は不採用、△は準備中)
1.インフルエンザウイルス(○)
2.アデノウイルス(○)
3.ノロウイルス(×)
4.ロタウイルス(×)
5.RSウイルス(△)
6.溶連菌(○)
7.肺炎マイコプラズマ(×)
この中で当院が採用しているものは3つ(1・2・6)のみ。
他の検査をなぜ導入しないかというと「治療・診療に反映されないから」です。
1のインフルエンザは陽性なら抗インフルエンザ薬を、6の溶連菌が陽性なら有効な抗生物質の処方を考慮することになります。
2のアデノウイルス(学校伝染病に指定されているプール熱の原因)が陽性の場合は、治療に反映されませんが、感染対策として一定期間集団生活を休んでもらう義務が発生します。
3のノロ、4のロタは嘔吐下痢の原因として有名ですが、残念ながら特効薬はなく、脱水予防対策は共通しているので区別する必要性が少ないと考えています。
経口補液など家庭療養のポイントをプリント渡して説明しています。
7のマイコプラズマは他の検査と異なり、病原体そのものを検出するのではなく、感染後に人体が産生した免疫抗体を検出する検査です。
なので、発症後すぐには陽性にならず、信頼できる結果は症状が出てから1週間以降とされています。つまり、こじれてからでないと陽性にならないことになり、「迅速」ではありますが「早期」という意味ではなく、治療に反映しにくいのが欠点です。
さて、RSウイルスですが、ブログに記したように特効薬はなく、診断しても治療は変わりません。乳児の場合は家庭療養のポイント、重症化徴候のチェック方法などを、これもプリント渡して説明しています。
以上、迅速検査はその結果により患者さんにどれだけメリットがあるかを判断して導入・採用していることをご理解いただければ幸いです。
また、目の前の患者さんに迅速診断検査を行うかどうかは、周囲の流行状況や重症度を勘案してその都度決めていますので、「心配だから」という理由だけで全員には施行していません。
以上のように当院で行う検査は限定されており、「なにがなんでも検査をして欲しい」という患者さんは他院を受診されているようです。
貴殿通院先の先生が迅速診断検査を導入していないのか、あるいは導入していても必要性がないと判断して行わないのか私には判りかねますので回答にはなりませんが、参考意見として読んでいただければ幸いです。
大変よくわかりました。
一度かかりつけ医の先生に治療の方針をお聞きするよう、努めてみたいと思います。
本当にありがとうございました!