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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

動物園でうつる病気2つ

2011年11月07日 21時49分21秒 | 小児科診療
 子どもの大好きな動物園、でもそこにも感染症のリスクが潜んでいます。
□ 「動物由来感染症ハンドブック2011

 記憶に残るものとして、動物とのふれあい体験で病原性大腸菌O157が感染した事例が数年前に報道されました。
 最近オウム病も報告されましたので両方の記事を紹介します;

触れ合い動物園でO157 米で続発、専門家警戒(2006/01/12:共同通信)
 【ワシントン11日共同】ヤギや羊などに餌をやったりなでたりできるため家族連れに人気がある「触れ合い動物園1 件」で、幼い子供が病原性大腸菌O157に集団感染する事例が米国で相次ぎ、米疾病対策センター(CDC)は11日までに、感染症週報で予防対策の強化を呼び掛けた。  日本でも過去に観光牧場での感染が見つかったことがあり、国内の専門家は関心を寄せている。
 CDCによると、2004-05年にノースカロライナ、フロリダ、アリゾナの3州で4、5歳の子供を中心とする計173人がO157感染で激しい下痢などを訴えた。死者は出なかったが、22人が貧血などを伴う溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こした。


 こちらにも詳しい報告があります;
搾乳体験で腸管出血性大腸菌O157による感染が疑われた事例-2006年、横浜市

 牛・羊・ヤギなどの反すう動物は腸内にO157を保菌しても症状がなく、感染経路としてはふんとして排出されて動物の体や土に付着した菌が、子供たちの手などから口に入った可能性が高いそうです。予防法は「近づかない」「手を洗う」につきます。
 今後、乳牛の搾乳体験はできなくなるのでしょうか・・・と思ったらこんなHPを見つけました。
□ 「家畜とのふれあいイベントを安全に行うために 」(東京都家畜保健衛生所)

 次はオウム病の記事です;

「オウム病」で動物園閉園…長野・飯田市 来園者ら3人感染の疑い(2011.11.5:読売新聞)
 長野県飯田市は4日、同市立動物園の男性飼育員(28)と女子中学生ら来園者2人の計3人が、小鳥から伝染する「オウム病」に感染した疑いがあるとして、同園を閉園した。再開時期は未定。市は「感染の危険性がなくなるまで閉園する」としている。
 市によると、飼育員は先月28日に高熱を出して病院にかかり、精密検査を受けたところ、医師から「オウム病に感染し、高熱が出た可能性がある」と診断された。また、同26-29日にかけて職場体験や飼育体験のため来園した市内の女子中学生(14)と主婦(37)に発熱などの症状が出ていたことも確認した。
 市は4日から本格的な調査に入り、感染源となった疑いがあるルリコンゴウインコのふんや血液を検査する一方、同園の清掃を行っている。症状の出た飼育員は先月22日頃、ルリコンゴウインコが飼育されている施設の清掃を担当していたほか、中学生と主婦はインコ舎や近くのビーバー舎で木の廃棄作業や餌やりなどを行っていたという。


注)オウム病
 細菌による感染症で、高熱や頭痛、全身の倦怠(けんたい)感などの症状が出る。鳥類の排せつ物から感染することが多く、ヒトからヒトへ感染することはないという。


<参考資料>
□ 「動物園と人と動物の共通感染症」(東京都多摩動物園 成島悦雄)
□ 「動物展示施設における人と動物の共通感染症対策ガイドライン2003」「同追補版
□ 「人と動物の共通感染症に関するガイドライン」(2007年、環境省)
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