濃厚接触者の隔離期間はたびたび変わり、
現場は振り回されてきました。
現時点での私の基本認識は、
・陽性者と接触した翌日から数えて、無症状者は7日間
・陽性者と接触した翌日から数えて、有症状者は10日間
ですが、無症状者では検査を併用すると短縮できる場合がありますね。
・陽性者と接触した翌日から数えて4日目と5日目の両方が検査陰性なら解除
・エッセンシャルワーカーは、その日に検査をして陰性なら就労可能
さて、私の認識は正しいのでしょうか?
倉原優Dr.によるこちらの記事を参考にして、
現在の状況を確認しておきましょう。
まず、濃厚接触者と陽性者が同居しているのか、していないのかでスタートが異なります。
非同居者では接触日が特定できるので単純です(⇩)。
しかし同居者の場合は「はじまりはいつ?」と素朴な疑問が生まれます。
便宜上「感染対策を講じた日」を0日目とし(⇩)、
その「感染対策を講じた日」は具体的には「陽性判明した日」ということになります。
家庭内では、家族や兄弟が波状攻撃されるように次々と発症する場合が希ではありません。
すると、隔離期間がゴチャゴチャになっていつまで自宅待機すべきなのかわからなくなりがちです。
基本は下の図のように考えます。
すなわち、新しい陽性者が判明した時点で、無症状の濃厚接触者の隔離期間はリセット(再設定)されることになり、乳幼児期の兄弟がいる家庭ではエンドレスの隔離地獄に陥ります(⇩)。
ただし、この判断は自治体ごとに差があり、
子どもが大きくて感染対策を理解して十分対応できる場合は、
リセットしなくてもよいと判断されるケースもあるようです。
次に、検査により隔離期間が短縮できるお話。
基本は以下の通りです(⇩)。
エッセンシャルワーカーの内容も以前より明確化されていますね(⇩)。
勤務する場合は当日の検査で陰性確認できれば可能であることは私の理解通りです。
エッセンシャルワーカー以外の一般市民も、
検査を併用することにより短縮が可能ですが、
検査内容(抗原キットかPCRか)で多少差別化されているので注意が必要です。
濃厚接触者の具体的な生活について、倉原Dr.は以下のようにまとめています;
さて、濃厚接触者に指定された場合は以上のルールに従うことになりますが、
実は現場ではその濃厚接触者かどうかの判断に迷うグレーゾーンの患者さんが多くて悩ましいのが現状です。
濃厚接触者の定義そのものも変遷があり、
現在は保健所が判断するのは家庭内やクラスター(5名以上)のみで、
他は施設や現場に任されています。
基本的には「同居者」「1m以内、15分以上の接触」ですが、
私は小児科医ですので、後者の定義に悩まされます。
なぜかと言えば、
子どもに大人と同じような感染対策を強いても無理があるからです。
マスクも遊んでいる内にずれたり外れたりしますので。
なので、集団生活の場で「陽性者が発生したけど濃厚接触者と言われていない」という子どもでも、
「グレーゾーン」として症状のある患者さんには検査希望の有無を聞き、
希望される場合はPCR検査に誘導しています。
するとその半分くらいが陽性になります。
当然希望されないご家族もいるわけで、
しかし濃厚接触者ではないからこちらから強制もできません。
連日「本日の陽性者は〇〇名でした」と報道されていますが、
現実にはその数倍の陽性者がいるのではないか、と感じています。