徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

スギ花粉症と思ったのに、検査でスギは陰性? → ハンノキ花粉症の可能性

2024年04月21日 06時59分47秒 | 小児科診療
春に花粉症の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ)が揃い、スギ花粉症だと思って医院を受診し、検査してもらったところ…
「スギとヒノキは陰性で、スギ花粉症ではありません」
と言われた経験のある方、いらっしゃると思います。

その際、考えられる原因としていろいろなパターンがあります。

・風邪症状と勘違い。
・アレルギーが原因でない鼻炎。
・ダニアレルギーによる通年性アレルギー性鼻炎の症状がたまたま強く出た。
・グレーゾーンなので検査はまだ陽性になっていない(今後なるかもしれない)。
・他の花粉症

まあ、経過を見ていると正体がわかることが多いのですが、
最後の「他の花粉症」でチェックすべきは「ハンノキ花粉症」です。
この花粉に反応する人は、1〜5月と長い間花粉症症状が続く傾向があります。
参照した記事によると、関東地方のハンノキ花粉飛散時期は「1月中旬から5月いっぱい(ピークは3月中旬〜4月中旬)となっていますね。
1月から花粉症が始まる人は、スギ花粉症にすごく敏感な人の他に、ハンノキ花粉症が混在していると考えて説明しています。
アレルギー検査では「ハンノキ」あるいは「シラカンバ」でチェック可能です。

さらにハンノキ花粉症は食物アレルギーと関連しており、やっかいです。
食物アレルギーの中でも、口の中だけに症状が出る「口腔アレルギー症候群」(最近では「花粉-食物アレルギー症候群」(pollen-food allergy syndrome, PFAS)と呼びます)というタイプ。
これは、ハンノキ花粉に似たアレルゲン構造を持つ果物・野菜類を、ヒトの免疫システムが「ハンノキ花粉だ!排除しろ!」と誤認識&誤爆することで発症します。
ただ、消化酵素や加熱などの加工で容易に分解されてしまうので、生の果物・野菜では反応するものの、缶詰や加熱調理したものでは症状が出にくくなります。

ハンノキ花粉症に注意! 食物アレルギーとの関連も?
大正製薬HP)より抜粋;

・ハンノキは、カバノキ科に属する落葉樹です。成長すると、10〜20mもの高さになります。
・ハンノキは日本全国に生育しており、とくに北海道と北陸地方に多いようです。山地などに多くみられますが、公園に植えられていることもある身近な樹木です。
・1月から6月頃まで花粉が飛散します。

・ハンノキ花粉の大きさは約25μmでスギ花粉よりも小さく、色は淡黄色です。雄花の花粉を風に運ばせて雌花に受粉させる風媒花の仲間なので、花粉は風に乗って遠くまで飛散します。
・スギ花粉症と併発することもあり、スギ花粉症の人の約20%がハンノキ花粉にも反応するといわれています。
・ハンノキの花粉とスギの花粉は飛散する時期がほぼ重なるため、ハンノキ花粉症に気づかないこともあるようです。ハンノキの花粉は、スギよりも少し早く飛び始めるので、1月から症状が出たり、主な症状として咳やのどの違和感などがある場合は、ハンノキ花粉症を疑ってみましょう。
・症状は、スギ花粉症などと同様にくしゃみ・鼻みず・鼻づまりがあり、ほかにも咳やのどの違和感、のどのかゆみなどが特徴としてあります。咳が主症状のこともあります。
・北海道に多く生育するシラカンバ(白樺)も、ハンノキと同じカバノキ科の樹木で、花粉症の原因になります。

・リンゴやモモなどを食べると、数分後(15分以内)に口の中のかゆみ、のどのイガイガ感などの症状がみられることがあります。これを、「口腔アレルギー症候群(OAS)」といいます。重症の場合は、じんましんや喘息、ときにはアナフィラキシーショックのような重い症状があらわれることがあります。
・ハンノキ花粉症の人がOASを起こしやすい食物は、リンゴやモモ、ナシ、サクランボなどのバラ科の果実のほか、ウリ科のメロンやスイカがあります。ほかにもキウイやアボカド、トマト、ヘーゼルナッツに反応することもあります。
・ハンノキ花粉症の人の約半数にOASがみられるといわれており、ハンノキ花粉の飛散時期に起こりやすいとされています。
・ハンノキ花粉症の人でOASが起こるのは、ハンノキ花粉に含まれているアレルギーを起こすたんぱく質と、リンゴやモモに含まれるたんぱく質が、とてもよく似ているからです。
・OASの発症を予防するには、原因となる食物を食べないことに限りますが、このたんぱく質は熱に弱いので、加熱して食べれば症状は出にくくなります。例えば、生のリンゴではなくアップルパイにするなどすれば、食べられる可能性があります。また、酸にも弱いので、胃酸によってアレルギーを起こす力が失われます。


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