2023年になりました。
この冬は、地球上の人類が初めて“ツインデミック”を経験するシーズンになりそうです。
当院でも年末から新型コロナ陽性者以外に、
A型インフルエンザ陽性者が散見されるようになりました。
年明け以降もまだ患者数は少ないですが、
その傾向が続いています。
さて、熱が出た場合、
症状で新型コロナとインフルエンザは区別できるでしょうか?
答えは・・・区別できません。
武漢株やデルタ株では初期の強い咽頭痛や味覚・嗅覚障害が特徴でしたが、
オミクロン株では目立たなくなってきました。
検査をタイミングよく行い、
鑑別するしか方法がありません。
そのタイミングとは・・・
インフルエンザは発熱後12時間(最低6時間)経ってから、
新型コロナは随時OKなのですが、
私自身の経験から、熱がない場合は連日数回の検査が必要と考えます。
私は2022年8月に新型コロナ陽性となりました。
その時点でワクチンは4回接種済み。
1日目:咽頭違和感と声がれ、無熱 → PCR検査陰性
2日目:咽頭違和感と声がれ、無熱 → 抗原キット陰性
3日目:咽頭違和感と声がれ、微熱 → PCR陽性
という経過で、なんと3回目・3日目でようやく陽性になったのです。
当院では新型コロナとインフルエンザが同時にわかる抗原キットを導入しています。
それを上記のタイミングで行っていく予定です。
新型コロナとインフルエンザを比較した記事が目に留まりましたので、
紹介&引用させていただきます。
読んで私が感じたポイントは、
・2つの感染症の症状はオーバーラップするので、「この症状があるからコロナ」「この症状がないからインフルエンザ」などという区別はできない。
・各症状の“強さ”は①新型コロナと②インフルエンザに差が認められる。
(例)
咽頭痛 ①>②
頭痛 ①>②
節々痛 ①<②
味覚障害 ①>②
・・・ただ、これらの知識があっても、
目の前の患者さんがどちらか判定するのは至難の業です。
■ この症状は新型コロナですか?インフルエンザですか?
倉原優:呼吸器内科医
(2023/1/6:Yahooニュース)より一部抜粋;
・・・症状によって、新型コロナかインフルエンザか当たりがつくのかどうか、書きたいと思います。
◇ 症状に違いはあるのか?
コロナ禍初期は、咳や息切れがしんどかったり、味覚障害・嗅覚障害などの特徴的な症状があったりした場合、「新型コロナかな?」と当たりをつけることが可能でした。とはいえ、コロナ禍初期はインフルエンザ自体が流行していなかったので、そもそも両者を区別する必要がなかったのも事実です。
さて、症状によって新型コロナとインフルエンザの当たりがつくのかと問われると、オミクロン株以降は正直区別が厳しいです(⇩)。
表. 新型コロナ(オミクロン株)・インフルエンザ・かぜの症状(参考資料1, 2などをもとに筆者作成)

・・・
あくまで私見ですが、発熱や筋肉痛が急速にやってくる「典型的なインフルエンザ」っぽいときは、やはりインフルエンザのことが多いという印象はあります。新型コロナでも、急速に多彩な症状が出現することがありますが、ワクチンの効果もあって、ゆっくり症状が出現したり普通のかぜのような症状になったりすることも多いです。
また、潜伏期間が新型コロナより短めなので、「あの人からうつったのかな」というのが明確に分かりやすいのがインフルエンザでもあります。とはいえ、オミクロン株以降、新型コロナの潜伏期間もどんどん短くなっているため、この差もいずれなくなるかもしれません。
◇ 同時流行下では同時検査すべき
新型コロナとインフルエンザが同時流行している現在、同居家族がすでにどちらか陽性と分かっているような場合を除き、基本的に同時検査するほうが望ましいと考えます。
現時点では、発熱者のほとんどが新型コロナですが、今後インフルエンザの割合が増えて逆転する時期が来るかもしれません。そうなると、「まず新型コロナの検査をしましょう」という現在の推奨は体をなさない可能性があり、やはり同時検査キットの使用が望ましいと個人的に考えます(図)。
図. 同時検査キットを用いたフロー(筆者作成)

同時検査キットは、すでにドラッグストアやオンラインで市販が開始されています。第1類医薬品に該当するため、本来であれば薬剤師からの口頭説明が必要なのですが、事態が事態ですから、オンラインで問診に回答し、薬剤師からのメールを確認した後でも購入が可能となっています。
症状が出て間もない場合、インフルエンザ陽性がまだ検出できないことがあり、早すぎる検査は推奨されません。
・・・
新型コロナとインフルエンザに同時感染する患者さんはまれですが、もし同時感染すると死亡リスクが大きく上がることが示されています(3)。
・・・
◇ まとめ
症状のみで新型コロナとインフルエンザの当たりをつけるのは至難の業なので、現状検査に頼らざるをえません。
重症化リスクが高くない人は、うまく自己検査を活用することが望まれます。
・・・
<参考>
(2) Pata D, et al. Mediterr J Hematol Infect Dis. 2022; 14(1): e2022065.
(3) Dao TL, et al. J Clin Virol Plus. 2021; 1: 100036.