成田 崇信:管理栄養士、健康科学修士
・厚生労働省「食中毒統計資料 過去の食中毒事件一覧」
・厚生労働省「生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&A 」
・食品安全委員会「鶏肉中のカンピロバクター・ジェジュニ/コリの食品健康影響評価(pdf)」
・鹿児島県「生食用食鳥肉等の安全確保について」
伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19を病原体とする、小児中心の流行性発疹性疾患だ。頬に蝶翼状の紅斑が出現してリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれる。頬以外にも手足や胸腹背部に発疹が表れることもある。1週間前後でこれらの発疹は消失するが、症状が長期化したり、一度消えた発疹が短期間のうちに再発したりするケースが見られる。成人の場合は頬の発疹症状は少ない一方で、関節痛をはじめとする全身痛を訴えるのが特徴だ。
主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、頬の発疹が出現する7〜10日ほど前に微熱や感冒様症状などの前駆症状が見られ、この時期にウイルスの排泄量が最も多くなる。一方で、成人が伝染性紅斑にかかったときは症状による判断が難しいため、伝染性紅斑患者との接触の有無や職業などの問診に加え、血中のIgG(保険未収載)、IgMの測定により感染を判定する。日本産婦人科感染症学会の文書では、IgMが陽性の妊婦の場合、最近初めて感染した可能性があるため、抗体検査や超音波検査を受けることを勧めている。
また同学会は文書で、日本人妊婦におけるヒトパルボウイルスB19の抗体保有率は20〜50%であり、妊婦が初めて感染した場合、6%で流死産や子宮内胎児死亡を、4%で胎児貧血や胎児水腫を引き起こす可能性があると説明。妊娠後期よりも妊娠初期の感染が、これらのリスクを高めることから、こまめな手洗いやうがい、マスクの使用などで感染を防ぐよう呼びかけている。
厚生労働省も12月6日に医療機関や自治体に向けて、伝染性紅斑の増加に注意喚起に関する事務連絡を公開している。
【参考】
・妊婦さんはパルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)に注意しましょう(日本産婦人科感染症学会)
・パルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)はお腹の赤ちゃんに影響することがあります(日本産科婦人科学会)
・伝染性紅斑の増加に伴う注意喚起について(厚労省)
・・・もしもマイコプラズマに感染した場合、どのくらい学校や仕事を休むことになるのでしょうか?・・・
▶ マイコプラズマの症状
マイコプラズマは、上気道炎や気管支炎などの軽症にとどまることも多いです。発熱、のどの痛み、強めの咳などが出現します。痰の少ない乾いた咳になることが多いです。
<マイコプラズマ感染症の特徴>
肺炎を起こすと、咳が重症化・長期化し、全快までに長期間を要することがあります(図3)。
・・・
▶ いつまで休むか?
マイコプラズマ肺炎の感染症法上の分類は、インフルエンザや新型コロナと同じ5類感染症です。学校保健安全法においては、新型コロナとインフルエンザは第2種学校伝染病、マイコプラズマ肺炎は第3種学校伝染病に指定されています。
学校保健安全法では、インフルエンザは「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日が経過するまで」、新型コロナは「発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで」という出席停止期間がもうけられていますが、マイコプラズマ肺炎は「感染のおそれがないと認めるまで」とされており、少しふわっとしています。
こども家庭庁では「発熱や激しい咳が治まっていること」(3)、日本小児科学会では「発熱や激しい咳が治まり全身状態がよいこと」(4)が登校の目安とされています。
働いている大人の場合、学校保健安全法は適用されませんので、常識的な判断で出勤することになります。
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<参考>
(1) 感染症発生動向調査週報.2024年第40週(第40号)(URL:https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/idwr/IDWR2024/idwr2024-40.pdf)
(2) 特効薬が効かない「耐性マイコプラズマ」が増えているって本当? 感染予防策は(URL:ttps://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9024c84478cb83e8e2b138a91cad44437c72e593)
(3) こども家庭庁.保育所における感染症対策ガイドライン (URL:https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/cd6e454e/20231010_policies_hoiku_25.pdf)
(4) 日本小児科学会.学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説(URL:https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240513_yobo_kansensho.pdf)
- 秋の花粉症は、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの草の花粉が原因で、咳やくしゃみ、鼻詰まりなどの症状が出る。スギやヒノキの花粉症とは異なり、ブタクサの花粉は小さいため気道に侵入しやすく、咳の症状が特徴的である。
- 例年9~10月がピークだが、今年は猛暑の影響で夏に草木が生い茂り、花粉量が増加している。また、残暑の影響で遅れてピークを迎えている。市販のかぜ薬では改善せず、専門医による抗ヒスタミン薬の処方が必要。
- さらに、寒暖差の激しい時期には寒暖差アレルギーの発症も懸念されるため、咳や喉の痛みがある場合は専門医に相談することが重要。マイコプラズマ肺炎、秋の花粉症、寒暖差アレルギーと、秋は呼吸器系の症状が複雑に絡む季節である。
日々の気温が乱高下すると、自律神経が乱れ、寒暖差アレルギーを発症しやすくなるという。
マイコプラズマ肺炎、秋の花粉症、寒暖差アレルギー…とは実にやっかいだ。
「週刊実話」11月28日号より