参議院の選挙制度で10増10減が提出されたが、一般の国民はどれくらい関心があるのだろうかとちょっと疑問に思った。この区割案について今回は論じないが、以前からずっと思っていた事がある。それは衆議院と参議院がそれぞれ得意分野を持ち、両院で協議するというものだ。
参議院は不要な法律を削除
まず参議院だが、六法全書には時代に合わなくなって、事実上機能していない法律がたくさんあるのだが、一つ一つの法律について点検していき、可能な限り法律をスリム化して、六法全書を薄くさせるのが得意分野とする。衆議院は従来通りに新たな法律を作り、六法全書を厚くさせるのが得意分野とする。
このように両院のもつ性格が真逆になるので、活発に議論が行われるようになる。今議論されている安全法制法案においても、衆議院で新法が可決しても、参議院は従来の法律で済ませられないか、徹底的な議論が行われるようになる訳だ。 このように参議院は得意分野を持つことで、衆議院のカーボンコピーと皮肉られなくなるし、参議院の目的意識を再認識できる。つまり衆議院は基本的に地域の代表であるのに対し、参議院は大所高所から見て判断するのが参議院の役割なのだが、選挙制度がそっくになった為に違いがわかりずらくなっているが、国会ごとに古くなった法律がメディアに流れるので「こんなくだらない法律があったんだ」と、いつも政治にたいして関心を持つようになる。
もちろん、両院が衝突する事は圧倒に増えるので、両者物別れになってしまうのを、両院協議会により落としどころを考え、両院に持ち帰り最終的な法律とする。これはアメリカ議会のような日ごろから議論が見えるようにしてほしいのだ。
市民団体がスポンサー
日本は実質的に行政(役所)が行っていて、国会である立法府の実態は役所で法律を書いているのだが、故意に衆議院と参議院の役割を変えた場合は、衆議院=役所(霞が関)=業界団体の従来からある日本型政治の構図と、参議院=消費者庁=庶民の構図に変わる。
あらためて現状の政治を考えると衆議院議員は日ごろの活動が見えるので、自分の選挙区については議員の名前は知っているだろう。だが参議院は選挙においては最も遠い存在であり、しかも任期は6年なので、かなりの国民は議員の名前も覚えておらず、せいぜい自分の投票した政党名くらいなものだろう。しかし、私の考える制度に変更したら、参議院がもっと身近な存在になり、法律を点検して、市民団体と共に国民が抱いている不満を政治は叶えてくれるかもしれない。
先の選挙で自民党が大勝し、民主党は危機的な状況に陥っているが、ちょっと前までは民主党が大勝しており、結果的に両党とも庶民には失望してばかりだ。だが根本的な部分で官僚(役所)の制度を変えない限り、どの党が変わっても政治は変わらないとおもう。だが、参議院から行政及び立法の制度を変える事ができたら、迷走している日本を立て直す事ができるとおもうのだ。
今回はたまたま10増10減の区割り法案が出たので、このような選挙制度改革ができれば良いなと昔から思っていた。