還暦過ぎの阿乱怒論

家庭菜園や工作好きの爺父が日々感じたことを綴る独り言

高齢者の受難?

2014-12-20 23:59:49 | 日記
「今年の6月末で日本国家の借金総額が1008兆円となり、いよいよ財政破綻に近づいたか?」といった議論があります。
一方で日本国民の一世帯あたり平均貯蓄額が1739万あり、外国からの借金はほとんどないので財政破綻することはないという人もいます。
この1739万円というのは8000世帯の平均で、中央値は1023万円だということです。
しかし1割の世帯は貯蓄額100万円未満で、世代別の貯蓄額の平均値と(中央値)は
20代: 365万円(200万円)
30代: 600万円(405万円)
40代: 962万円(640万円)
50代:1524万円(900万円)
60代:2175万円(1398万円)
となり、20代と60代では約6倍(中央値では約7倍)の開きがあります。

60代で多いのは退職金を手にした事と、収入が年金だけになり健康や生活面で老後の不安が大きいのが原因なのでしょう。
約40年間一生懸命仕事に励み、やっとまとまったお金を手にしたのですからちょっとは贅沢に使いたいのはやまやまなのでしょうが、
世間では平均寿命を生きるとすると、それなりの老後を送るには3000万円は必要だと言われています(私達の生活実感からはエッと思うのですが)。

しかし政府は景気回復の為にはこの高齢者の貯蓄を何とか吐き出させようと懸命です。
孫の教育資金贈与や子供の住宅建設費贈与の非課税枠の拡大といった施策を次々と繰り出しています。
それでもこれらの施策は本人が納得づくで行使できるので、世代間の所得移転という面では悪くはないでしょう。

本当に恐ろしいのは(ずる賢い官僚や政治家は誰も決して口にはしませんが)、現在アベノミクスと言う名のもと日銀が行っている施策です。
国債保有額が年間80兆円まで国債を日銀が買う、また株(ETF)や不動産投信(J-REIT)を年間3兆円も買うと言っています。
これは紙幣を発行している日銀が何の裏付けもないお金を印刷してばらまいているようなもので、お金の値打ちがどんどん下がっています。
一般庶民は円高やデフレ気味で物価が安定している方が絶対に有難いのですが、世間の風潮はインフレ歓迎ムード。
これは政府やマスコミが一丸となって国民を洗脳しているせいなのでしょう。

原油が下がって物価が安くなるのは国民にとっていい事の筈なのに、日銀は2%のインフレ目標の達成が難しくなったと渋い顔をしていますが、なんかずれています。
まるでカンニングをしてでもいい点を取ろうとする学生みたいです。

原油が下がったせいでロシアは物価が短期間で1.5倍になり、ルーブルを売って外貨に替えたり、商品の買いだめに走る人で大変なようです。
このまま際限なきお金の増刷をしていると、我日本もインフレがコントロールできなくなりハイパーインフレになるのは目に見えています。
小学校時代の社会化の教科書に載っていた第1次大戦後のドイツの「パン一切れを買うのに乳母車一杯のお札」の絵が目に浮かびます。

ハイパーインフレで物価が10倍になれば、高齢者の平均貯蓄も217万円、国家の借金も100兆円となり、国の財政破綻は一挙に解決です。
当然勤めている人の給与もそれ相応に上がるので、全体としては生活レベルが極端に低下することはないかも知れません。
問題は我々のような年金だけが頼りの高齢者層です。
財源がない上に、今年から年金積立金を株等のリスクの大きいものに投資をするようになったので年金の物価スライドは難しくなっていると思われます。
こういう形で個人の意志を無視した世代間の所得移転を進めようとしている勢力があるのでは・・・と勘ぐりたくなります。

もうすでに円安のせいもあって金も相当高くなっていますが、我々も余裕があれば少しは「金」とかの現物資産で備えをしておいたほうがいいのかも知れません。
我が家にはガラクタの金属くずはたくさんあるのですが「金」は・・・。