ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

助産師の業務範囲

2007年09月26日 | 地域周産期医療

*** 医療タイムス、長野、2007年8月29日

助産師外来 助産師の業務範囲の明確化を

県助産師支援検討会が初会合

 県内で産科医不足が深刻化する中、助産師の活用に向けた支援策などを話し合う県の「助産師支援検討会」(座長・坂口けさみ信大医学部保健学科教授)は27日、松本市で初会合を開いた。助産師外来は、助産師の業務範囲でモデルが示されれば比較的容易に進むとの見通しや、院内助産所の定義を明確化する必要性などが指摘された。

 会合では、県内の産科を取り巻く現状について、県産科・小児科医療対策検討会(会長・小西郁生信大医学部産科婦人科教授)の委員を務めた金井誠委員(信大医学部産婦人科講師)が「来春までに2次医療を担う医師がさらに15人減る予定。産婦人科医は予想を超える速度で減っている」との危機感を示し、実効性の高い対策を早急に検討する必要性を強調した。

 意見交換では、助産師外来の課題として、超音波検査など助産師のスキルに対する問題や産科医の考え方の相違などが挙がり、助産師の委員からは、助産師が行う業務範囲の明確化を求める声が相次いだ。

 これに対し、金井委員は私見とした上で「妊婦健診は平均14回とすると、3~4回は(助産師に)任せてもいい。一般健診は当然で、超音波検査では体位、妊娠中期以降であれば心拍を確認する。37~38週ぐらいでは内診とNST(ノンストレステスト)の所見さえ取れていれば、問題ないと思う」などと述べ、超音波検査のモニターの見方など、必要な研修を行えば、多くの助産師が可能になるとの認識を示した。

 また、金井氏は、外来スペースの確保が現実的に困難なことや産科を閉鎖する医療機関が相次いでいることを背景に、地域で健診・分娩の連携システムや助産師、医療機器の活用を柔軟に考えていく必要性にも言及した。

 検討会は年内に2回ほど開催。県は検討結果を早ければ来年度予算に反映していく考えだ。

(医療タイムス、長野、2007年8月29日)

*** 医療タイムス、長野、2007年9月25日

助産師外来研修会の参加対象者で意見分かれる

県助産師支援検討会

 「県助産師支援検討会」(座長・坂口けさみ信大医学部保健学科教授)は21日、2回目の会合を開き、来年1~2月に開催予定の「助産師外来研修会」の実施内容や対象者の範囲などについて意見交換した。研修内容は超音波検査を主体とすることで意見が一致したが、対象者に関しては、助産師外来の早急な設置が必要な産科医療機関の助産師のみを対象とするべきか、潜在助産師を含めた全助産師を対象とするかで意見が割れた。次回以降の会合で引き続き検討し、研修会の早期実施につなげたい方針だ。

 研修内容は、超音波検査をメーンとし、医療機関によって所見基準や判断方法が異なるNST(ノンストレステスト)などを補足講習する方向性を確認。しかし、参加対象者については県内産科医療機関の置かれている状況に差異があるとし、話し合いは平行線となった。金井誠委員(信大医学部産婦人科講師)は、一部の医療機関では「産科医の疲弊が待ったなしのところまで来ている」とし、まずはこうした医療機関の助産師を対象とした研修会を実施すべきと主張。これに対し、保谷ハルエ委員(日本助産師会長野県支部長)や小海保美委員(県看護協会助産師職能委員)らからは、「潜在助産師の掘り起こしや現場にいる助産師全体のレベルアップを図る必要がある」との意見が出た。このため、具体的な研修会内容については、次回以降の会合で引き続き検討を重ねていくこととなった。

 このほか、県内の産科医療機関44施設で助産師外来を設置している施設が14ヵ所にとどまっていることから、坂口座長は検討会による助産師外来開設のガイドラインを作成する考えを示した。同様のガイドラインは、岩手県医師会ですでに作成されており、医療機関の助産外来の設置に役立っているという。

 坂口座長は、研修会の実施について「安全な産科医療を提供する上で、技能レベルの標準化は必要不可欠」とし、今後は助産師外来の導入理由の明確化を検討していくとしている。

(医療タイムス、長野、2007年9月25日)